戦車の如く
それと同時に、それまでアタシの船と竜たちがいた所へ、
大砲の弾が一斉に浴びせられていった。
「なるほど、あいつ……こうやって撃ってくるのをかわしてたのか」
ソルベルは、あいつは流れ弾だけでなく、横合いから撃たれる砲弾も難なく避ける。
アタシは実践するのは初めてだが、
確かに、今までの相手の殺気やら意思やらを読むより分かりやすい。
「スゲーな……あいつ」
自然とアタシの口から、そう漏れていた。
そして、さっきまでの怒りは、いつの間にか消えていた。
「やりたいよな……あいつと!」
また、ソルベルとやり合う。
そう思っただけで、頬が上がるのがわかった。
「モタモタして……られないよな!」
竜たちを羽ばたかせ、船ごと急上昇する。
そしてそのまま、巨大船の横っ腹に体当たりした。
竜たちは爪を立ててその船にしがみ付き、
うち一匹が側面を食い破って、
砲列甲板の大砲を薙ぎ倒し、崩していく。
他の二匹も同じようにして船の内部へ侵入した。
もちろん船ごとだ。
巨大船の内部を竜たちに引きずられていくアタシの船は、
古代の騎士の戦車の如く、激しく突き進んでいった。