39/58
流れ弾
その時、常に冷静だったアイルが急に振り向いた。
遅れてハイル、カイルも船の後ろを気にし始める。
ミコロのドラゴンたちも同じ様に振り向き、仕切りに何かを気にしていた。
同じ頃、風を急激に切り裂く甲高い音が、後方から迫ってくるのがわかった。
なるほど、ドラゴンたちが何を気にしていたのか見当がついた。
俺は耳をそばだて、近づいてくる音に集中する。
そして、アイルたちの首が向いている方向にも、十分配慮する。
アイルの目が鋭くなった。
ハイルは牙をむき出しにして、風切る音を立てて迫るそれに、咆哮を上げる。
カイルは後ろと、そして隣のミコロ艇を静かに警戒していた。
そろそろ、というタイミングを見て、俺はアイルたちの飛ぶ方向を変える。
直後、真横を高速で通り過ぎる物があった。
船団から流れて来た、砲弾だ。
巨大飛竜艇が搭載している大砲は、当然ながら一般のそれとは異なる。
砲身は大木並みに太く、弾は岩場に転がっている小ぶりの岩石ほどもあったりする。
横を一瞬だけかすめた程度でも、砲弾の影と弾道が、視界を切り刻むようだ。




