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加速。
『気を抜くな。前にデカいのが来てるぞ』
その忠告が届くころ、背の高い木が迫ってきていた。
木々の感覚は広いが、一本一本が塔の様に太く長い。
さしずめ、巨人の牢獄とでも言えようか。
差し込む木漏れ日は、小さい滝ほどの大きさがある。
急な上昇ではあったが、滑空で得た速度はさほど死んではいない。
俺は3匹に指示を出し、思いっきり羽ばたかせた。
一気に船が引っ張られ、座席に背中が押し付けられる。
アイルもカイルも冷静ながら力強く、そしてハイルは嬉々として、翼を目一杯動かす。
俺も僅かながら帆を動かし、船の飛ぶ先を決める。
少し狭いが、木々の間から一直線に光が差し込んでいる部分があった。
俺は迷わず上昇しつつ、その木々の間を行くことを選ぶ。
すぐ下のあいつはバランスを崩しているようだ。
同じ経路は飛べず、体制を直しながら、別の木々の隙間に消えていった。




