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ママの星  作者: ホモはメンヘルちゃん
12/21

閑話:星女の目的とアセトについて

 いつもの夕食を終えて食後のコーヒーを飲んでいたある日、私は以前から気になっていたことを思い出した。それは”星女の目的”である。


 一体なぜ彼女たちはこの地球に攻め入ってくるのだろうか。その根本的な理由が今までわかっているようでわかっていなかったことに気づいたのだ。今はまったりタイムだし、ちょうどよい。ママに聞いてみることにしよう。



「ねぇ、ママ?」


「んぅ?」


「どうして星女たちはこの地球に攻め入ってくるの?そういえば、あれらの目的を私は知らなかったんだよね。」


「……なんだと思う?」


「うーん……宇宙から、たぶんほかの星からやってくるんでしょ? だからぁ……地球にしかないものをもとめてやってくるんだよね?」


「うん、そうね。それは間違いないわ。では具体的には何だと思う?」


「う、うーん……地球でしか取れない希少資源!」


「ぶぶー、はずれでーす。」 ママは顔の前で人差し指を交差させバツと作った。


「えぇー、ヒントはー?」


「ヒントは、私の名前よ」


「ママ……? それがどうしたの?」


「そっ、ママよ。それにとって何よりも大切なもの」


「えー……」



 私はママがヒントになると聞いて、あの夢を思い出した。両親が私のことを宝といっていたあの夢のことを。



「何よりも……子供……」


「うふふ、9割正解よ。あきらちゃん。」


「えぇ、なんで子供が正解なの? ど、どういうこと?」


「遥か昔、もともと星女は人間に母なる神々として崇められていた存在だったの。今は私がこの星から全員追放してしまったから他の星からやってくるわけね」



 ママは一口コーヒーをすすって、口内を潤した。



「そして人間は星女の遺伝子から複製されたリトルコピー、つまり”子供”なんだけど、それらに生活に必要な知恵と技術を授けてきたから星女はお母さんのような神様として人間に崇められきたのね。そうやって星女たちが手塩に掛けて育てた人間たちは、彼女たちにとって時代がどれだけ移ろったとしてもわが子同然に大切な存在なの。」


「……星女が攻め入るのは、自身の子供である人間たちをママから取り戻すため……?」


「そういうことになるわね」


「で、でもそれなら話し合いで解決できないの? 長い間、どうしてそれで争うの?」


「生殖によって次の世代を生み出すことができない星女には、子育てこそが唯一の存在意義なの。人間は私たち星女と違って、人生の中でいろいろな存在意義を見出すことができるわ。恋愛、学問、仕事、奉仕、創作その他いろいろ……私たちにはそれが見いだせないの」


「どうして星女たちはそれらの存在意義を見出せないの?」


「子供たち以上に可愛くて大切なものは母つまり星女にとって存在しないからよ。たとえそれがどんなに愚かなものであったとしても、子供たちの育成は私たちが永年を生きるための存在意義になるの。」


「ははぁ、つまり人間たちの教育方針で死ぬほどもめてるのね? 私の子供たちを返せって意味が強いのだろうけど」


「うふふ、つまりそういうこと」


「じゃあ、この前やってきたアセトっていう星女はどういう教育方針をもっていたの?」


「あれは狩猟によって自然と共生するという教育方針だったのね」


「え、それっていいと思うんだけどなぁ……? 今流行ってるし……」


「うふふ、もちろん自然と共生するのは良いことよ。だけどそれだけに特化しすぎていたの。生きていくためには狩りだけでは行き詰ってしまうものよ。農耕作や畜産、それに自然の中で生きるためにはお家を立てることも必要ね? アセトの場合は、狩りしか教えられるものがなかったから、それだけで生きていけるように人間たちを教育したかったようね。」


「へぇえ……でもなんだか極端だねぇ。それぞれの得意分野を教えてあげるだけでいいのに、なんで人間を独占しようとするのかなぁ」


「最初は私たちも仲が良かったし、自分の得意分野を活かしてそれぞれ人間を育てていたの。でもその内、お互いのやり方に口出ししちゃったりしてね……。お互いに意固地になって今に至るというわけ」


「なんだぁ、普通の人間みたいだね……泥沼の戦い……」


「蛙の子は蛙……ってね。実際、この戦争の根本的なところは人間の親権争いと何ら変わりはないわ……」


「私も将来お母さんになったら、子供に対してママみたいな感情を持てるのかなぁ……」


「うふふ、楽しみにしてて」



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