表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

はつこい「ジャイロダイン」

作者: まつだ

Mさんは中学一年だけ同じクラスだった。うすくそばかすののこった丸顔。すこしのくせっけをあごのラインでそろえて。すこし京都のなまりが感じられるしゃべりかたも好印象。


つまりかわいらしかった。


ぼつぼつしゃべるような間柄だった。当時はやっかい真っただ中だったので、うれしいやらはずかしいやら、顔に出したくないのやら、それでもどうとやらで、そのちょっと話すだけでも心中嵐が吹き荒れ、コントロールできない自分を持て余した。

初恋だった。

そんな感じで秋ぐらいになったころ、経緯は不明なのだがMさんに対して「乳首がちゃいろ」という噂が流れ始めた。というか、噂ではなくて、本人もそういわれていることを知っていた。

なぜならこれまた級友のNくんが「Mは乳首、ちゃいろなのか?」と直接聞いていたから。その後しばらくちゃいろちゃいろとはやし立てられていたように覚えている。

「ちがうもん!」

と彼女は答えていたのだけれど、その対応はどうなんだろう、と私は見ていた。

もちろん大興奮でした。

当時も今も噂の発生元はよくわからない。多分、NくんもMさんが好きでそういう話になったんだろう、と今は想像する。ほかの話題はなかったのか。よりによって乳首とは。


やがて、そのNくんが言うに事欠いて、Mさんを「ちゃいろダイン」と言い始めたのだ。「ジャイロダイン」のもじりである。

当時の私たちのあいだで「ジャイロダイン」がどれくらい遊ばれていたのかは知る由もないのだが、まさかここであのゲームが出て来るとは、と笑ったのを覚えている。

結局のところ、私はそういう噂を話題にする勇気もなく、変わらずMさんと話していて、ぼつぼつ、から、けっこう、くらいにまでクラスチェンジを果たしたように思いたい(確認する術なし)。これまた級友のIくんから「おまえ、Mと仲いいの?」と聞かれたくらいだ。たぶんIくんもMさんが好きだったのだろう。


そのあとMさんとは同じクラスになることははなく終わった。私もそれを超える勇気はなかった。「ジャイロダイン」も買わなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ