さようならサンタさん
少女は3歳だった
小さくてちょこちょこ動きまわるので赤い服と靴を身につけさせられていた
どこからでもちらちら見える少女の赤いスカートと赤い靴
時同じくして少女は自分の友達を見つけた
それは赤い服を着たサンタさん
でも、クリスマスだけにいるわけではない
そのサンタさんは教会の通りの角にいるホームレスだった
少女は一輪だったり、時には束であったり、家の庭の花を摘み取った
そしてホームレスのサンタおじさんにあげた
サンタおじさんは大変気の毒に思えた
「こんな怖い人に近づいてはいけないよ」というおとなの声がした
少女は気に留めなかった
3歳の少女はいづれ成長し、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳へとなった
ある時からお花ではなくお金を大きな空き缶に入れるようになった
空き缶は大きいペンキの缶だったがいつもほとんど空だった
少女は10円ときには50円、そして100円をチャリンと空き缶に入れた
不思議なことだが今までサンタおじさんとは一度も会話をしたことがなかった
あるとき交差点を渡って少女がいつものようにサンタおじさんに歩み寄ったとき
一台の車が急に少女のほうに猛スピードで突っ込んできた
その瞬間、少女はあるぬくもりと大きな優しさに自分が途方もなく包まれているのを感じた
ズシーン!!とぶつかる轟音がした
サンタおじさんが自分を抱きかかえに飛び出すのと同じタイミング
サンタおじさんが少女をかばって自分の身を投げ助けてくれたのだ
サンタおじさんは涙を流している少女の前で倒れていた
薄目を開き、やっとの思いでサンタおじさんは少女に「今までありがとう」と感謝の言葉を伝えた
そしてメモを少女に渡し、その場で息を引き取った
その小さなメモにはサンタおじさんの所在が書かれていた
サンタおじさんは隠居した神父さんだったとあとで分かった
少女はときにはサンタおじさんを憎むときもあった
自分の行為に優越を感じるときもあった
サンタおじさんの小さなメモには少女の優しさと勇気と成長ぶりに感謝の意が書きしるされていた
少女は人生で大切なことをサンタおじさんから自分が教わっていたのだと気がついた
クリスマスのイルミネーションが輝く季節になると少女はサンタおじさんのペンキの缶を思い出す
そして仲間を集めホームレスのための募金活動を行う
さようならサンタおじさん
そしてありがとう
心は共に




