<家庭教師>
誕生日パーティーから数日たったある日の事である
俺は、あの騒動のおかげで言いそびれた鍛錬などの話と父さんたちにしていた
そして、今日そのための家庭教師が来るというのだ。どんな人が来るのか楽しみでもあり不安でもある
なぜなら、ザマスなんて言うようなスパルタ教師や脳筋のようなガチムチな教師が来たら俺は逃げ出すぞ
そんなことを考えながら俺はそわそわしながら玄関前をウロチョロしていた
コンコン
玄関がノックされ、執事長のバルドが応対した
俺は隠れてこっそりのぞき見た。そこには一部が特徴的な金髪美少女がいた!
「こちらはアレキシス家のお宅でよろしいでしょうか?」
「はい、こちらアレキシス公爵家でございます。私は執事長を務めさせていただいてるバルドと申します。お客様はどちらさまでしょうか?」
「申し遅れました。今日からこちらのコウ様の家庭教師を務めさせていただくシルフィーと申します」
うぉぉぉぉ、この人が俺の家庭教師になるのかめっちゃきれいだしラッキーだな
「それはそれは、ようこそお越しくださいました。どうぞこちらへ」
バルドはシルフィーを応接室に招き入れた
そして、父さん達を呼んでて皆で応接室へと入った
「どうもお待たせしました。アレキシス家当主のアーサー=アレキシスです」
「全然待っていませんよ。私はコウ様の家庭教師役で選ばれたシルフィー=アルバーナです」
そうお互いに自己紹介をして握手を交わした。そしてシルフィーは目線をこちらの方に向けた
「あぁ、そうでしたね紹介します。私の隣に居るのが妻のマリン。マリンの横にいるのが娘のエリナそしてそこにいるのが・・・」
母さんやエレナが紹介とともに軽く会釈をしていき、俺の紹介の所で父さんが目配せをしてきた。俺に自分で挨拶をしろって事だな。俺の家庭教師になるんだし当たりまだな
「はじめまして、あれきしすけじなんのこう=あれきしすです。こんかいはぼくのためにとおいところおこしくださってありがとうございましゅ」
挨拶とともに礼をしたのだが俺は恥ずかしくてすぐに顔を上げれなかった
かなり喋り慣れてきたんだが最後の最後で噛んでしまった。まぁ子供なんだししかたないよな
「それで息子の家庭教師の件はどうなったのでしょう?」
あれ、もしかして家庭教師に選ばれただけで決定ではないのか?ってそうか面接もなしにいきなり採用は難しいか
公爵家には色々あるもんだしな素性の知れない人をホイホイと雇えないな
「村の者で私が適任と選ばれました。そして、直に会ってそこで家庭教師を受けるか受けないかの選別も任されました」
「それで息子はどうでしょうか?」
「最初は年齢を聞いて何を馬鹿な事を言っているのだと思いました。公爵家といえども親バカなのだろうなと」
「はっはっはっ、親バカは否定できませんよ。ただ、これを決めたのはすべて息子であり私たちは息子が間違っていない限りは手助けしてあげたいと思っています」
「息子さん自らですか・・・」
シルフィーはこちらを一瞥し視線を父さんの元に戻した
「先ほどの挨拶を聞いた限りでは確かに利発そうでその歳ではすごい事でしょう。公爵家と私たちの間柄ですからそちらの願いを無碍にはできません」
「では承諾ということでよろしいですか?」
「ですが、さすがに一歳からってのは無茶すぎます。もう少し後からでもよろしいのでは?その時は私は喜んで家庭教師役をやらさせてもらいますよ」
「という事だが、コウどうする?」
父さんが聞いてきた。もちろん俺はここで引き下がるわけにはいかない
今までの様にコソコソ隠れて鍛錬したのでは時間が足りなさすぎる。だからこその家庭教師なのだ
家庭教師が居れば鍛錬や魔法の勉強についてちゃんと教えてもらうことができ、安定した鍛錬時間がありなおかつコソコソする必要がないと言うのが重要である
家族に隠し事をずっとしているのは辛いからな
しかし、ここで引き下がらない納得できる理由を説明できない。納得させる場合転生の話までしなくてはならないからだ
さすがにそこまで話すことはできない。残念ではあるがシルフィーを諦めて他の人を頼むか一人で鍛錬できる時間を確保するしかないか
「しるふぃーさんがおしえてくれないのであれば、しるふぃーさんにはしつれいかもしれませんがほかのひとをさがしてほしいです。それかひとりでたんれんなどをするきょかをください」
「「「「なっ」」」」
一同みんな驚いていた。そら一歳の子供がこんなこと言えば驚くに決まってる
「父さんはまだ一人で鍛錬をするのを許可はできないな。剣術や魔法なら私やバルドでもなんとかなろうが仕事があるから毎日は見れないしな」
「そうね、私も魔法関係なら教えれるけど、普通の知識などの勉強は難しいわね」
「では、とうさんたちにみてもらいいつつ、あいたじかんはべんきょうすることにします。それならしんぱいないでしょう?」
「まぁ、確かにな」
父さんが頷きこれで決まったかのように思えたが、今まで黙っていたシルフィーが俺に質問してきた
「コウ様はどうして今からじゃないとだめなのですか?もう少し成長すれば私が教えると言っていますのに」
「ぼくはみんなをなっとくさせるほどのりゆうはありません。ただひとつもうしあげるならただのじこまんぞくです」
一同はまたしても驚いた。普通なら強くなりたいとか知識欲だとか色々あるだろうにただの自己満足だからな
だが、その言葉に興味をそそられた者がいた。シルフィーである
「そう、自己満足ですか?良ければ、納得させる必要はありませんのでコウ様の本当の理由を教えて頂けませんか?その答えによっては非才なこの身ですがあなた様の為に私の用いるすべてをお教えしましょう」
今度は俺も含めた皆が驚いた。どこに琴線が触れたかわからないがこれは永遠の忠誠と言っても過言ではないほどの言葉だ
「シルフィーさん、本当によろしいのでしょうか?あなたの身は軽くありません。コウの答えによっては本当にそうするおつもりですか?」
「はい、決定権はすべて私に任されておりますので。ただコウ様の答え次第ではありますが」
「シルフィーさんがここまでの事を言っているんだ。コウお前はこの言葉に報いれるか?」
父さんが珍しく厳格な口調で問うてきた。一歳に無茶ぶりすぎるだろう。俺の答えが納得できるかなんて初めからわからないと言ってるのに
ただ、ここまで言われたからには俺も答えるしかないよな
「むくいれるかはわかりません。しるふぃーさんのまんぞくのいくこたえかもわかりません。ただそこまでいわれたからにはぼくもこたえましょう」
大きく息を吸って心を落ち着け俺はどうして鍛錬を早くしたいのかの理由一歳のコウ=アレキシスでもあり神上皇としても語った
「僕はこの世界が優しいだけではない事を知っています。それに、邪神なんてふざけた存在に不条理な目に合わさせられる事があることを知っています」
姉さんを途中で見て話を続ける
「そして、死が身近な事を知っています。」
次は父さんや母さんそしてアリアンナさんやバルドさんを見て続ける
「だから僕は、周りの大切な人だけでも守りたい。できるなら他の人も。例えどんな不条理だろうともねじ伏せるぐらいの力を持って、でも力だけでも駄目かもしれないだから知識もつけて、それでも力も知識も持ってても駄目かもしれない」
今度はシルフィーを真っ直ぐ見据えて
「だからこそ想いも持って、力と知識と想いこの三つを持って僕はみんなを守りたい!!その為にすぐにでも僕は強くならないといけない!!いつ何が起こるかわからないから・・・・これが僕の理由です」
この時の俺は今までとりはっきり言葉を口にしていた
しばらく、誰も喋らなくすすり泣く様な声だけが聞こえていた
この静寂を打ち破ったのは以外にも
「コウ!!あなたは私の話を聞いてそんな事を思ったのね!!あなたは本当に良い子よ。私の大切で素敵な弟よ」
と言いながら抱きしめてきたのである
これにみんなはホッコリとした笑顔になった
父さんは笑いながら
「コウがそんなことを思っていたとは本当に一歳か?」
聞いてきて、母さんが
「そんな事どうでもいいのよ。コウはやっぱり最高の息子よ」
と言いつつ、姉さんと俺を抱きしめてきた
「はっはっ、そうだな!それでシルフィーさん我が息子はどうでしたか?」
目を閉じていたシルフィーさんは父さんの問いに
「感嘆の念を禁じ得ません。先ほど家庭教師との話でしたがこれは受けれません」
さすがに父さんも動揺していた
「それは感動はしたが、満足はいかなかったと?」
「いえ、違います。私は家庭教師などではなく唯、コウ様にこの非才な身なれども身も心も捧げコウ様が行く道を支えたいと思います」
予想の斜めを上を行く結果である
俺はさすがに行き過ぎじゃないかと思い再度確認した
「ほんとうにぼくでよろしいんですか?」
「私はコウ様以外いないと先ほど強く感じました」
「そう・・ですか。それじゃあこれからいろいろおしえてくださいね。おねがいします」
「はい、コウ様の為に」
こうして、家庭教師兼生涯のパーティーメンバーを得たのであった
新しいキャラがまたまた出てきてしかもパーティーメンバーに!!
展開早すぎるって思うかもしれませんがシルフィーが忠誠を誓った理由はいずれ本編又はサイドストーリーなんかで明らかにしたいと思ってます
あと、主人公が理由を独白したとき今までちゃんと喋れなかったのにいきなりって思うかもしれませんが、あの時は心の底から強い意志をもとに喋っているので普通に喋れるようにしました
それ以外にも長い文章がすべてひらがなだと読みにくい上に感情が伝わりにくいかなという理由もあります