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<対決!!コウVSヘッジ>

俺達は互いにショートソードを構えて向き合っている。


「チビが調子に乗り過ぎですよ」


ヘッジは青筋を立ててこっちを睨む。


「それでは、ヘッジとコウの模擬戦を始める。模擬戦だからやり過ぎないように。はじめ!!」


エリオット先生の声で模擬戦が始まる。


「まずは私を罵倒した罪で燃えて頂きます『炎よ 灯れ ファイヤーボール』」


ヘッジは俺に向けて魔法を放つ。一直線にファイヤーボールが俺に向かってくる。

俺は特に動く気配を見せず立っている。


「コウ何かする気ね」


「でしょうね。どんな事をするのかしら」


「あなた達、何を呑気に言ってるの!?あのままじゃ、コウが大変な事に」


姉さんとシルフィーは完全な観戦モードになっており、レティはその様子に慌てていた。


「いいからよく見なさい。レティの為に怒った私の弟は本当にすごいのだから」


姉さんが自慢げにレティに言う。

その言葉に少し動かされたレティは戦いをよく見る事にした。

集中力を高めていた俺はそんなやり取りを聞きながら目の前に迫るファイヤーボールを見つめる。

そして俺は、ファイヤーボールを斬り裂く。


「「「「「「…………………」」」」」」


俺のやったことに対戦相手のヘッジすら驚き固まる。


「コウあんなこともできたのね。私達の訓練の時には見せなかったのに!!」


姉さんは訓練で使わなかった事に少しご立腹のようだ。


「まぁ、敵にあんな芸当ができるようなのがいるなんて殆どないからでしょうね」


シルフィーがやんわりとフォローしてくれる。さすがシルフィー。


「二人は何を呑気な事言ってるの!?コウが何したかわかってるの?魔法を斬ったのよ!!」


「そんなことわかってるわよ。それぐらいコウならできて当然じゃない」


「できて当然って………。エリナ、そんな事出来るのなんて伝承にある勇者とか神とかしかいないのよ!?シルフィーもなんか言ってやって」


レティは常識人のシルフィーの援護を期待した。しかし、コウに関する事では下策であった。


「そうね。魔法を斬る事自体はあまり驚かないけど、普通のショートソードでも斬れる事には驚いたわ」


期待していたシルフィーの援護は味方を誤射する結果に終わった。

姉さん達がそんな事を話してる間にようやくヘッジは驚きから復帰していた。


「ようやくお目覚めかな?敵の目の前で呆けるなんて、さすがやんごとない生まれの方ですね」


俺はヘッジに挑発するように話しかける。


「くそっ!!チビの癖に!!これならどうだ『炎よ 穿て ファイヤーランス』」


ファイヤーランスか。次はどうやって絶望に叩き落とそうかと考え面白い事を思いつく。

俺は迫ってくるファイヤーランスに魔法を放つ。


「『ファイヤーランス』」


「無詠唱だと!?」


ヘッジは俺の無詠唱に驚いているが、そんなのは序の口だ。

俺の放ったファイヤーランスはヘッジの放ったファイヤーランスに一直線に向かっていた。

二つがぶつかり爆発が起きる。


「チッ、互角ですか………」


ヘッジは恨めしそうに俺を睨みながら言う。


「何処が互角なんだ?」


俺がそう言うと、爆発したところからファイヤーランスがヘッジの後ろに炸裂する。


「ぐあぁぁ、貴様何をしたっ!?」


ヘッジは爆風を少し受け前に倒れながらも俺に問いかける。


「何をしたって、俺の魔法の方が強いからお前の魔法を貫いただけの事だが」


「なんだと!?貴様如きが私の魔法より強いわけがあるまい」


「そう思うならどんどん使えばいいんじゃないの?」


俺は挑発して、また魔法を使わせようとする。


「ならこれでどうです!『炎よ 射抜け ファイヤーアロー』」


「『ファイヤーアロー』」


俺はまた同じ魔法を使い、その魔法を狙って攻撃する。

先ほどと同じようにぶつかり爆風がおきる。


「互角なのは癪に障りますがやはり私より強い魔法なんて出鱈目だったようですね」


ヘッジがそんな事を言ってる間にまた、爆発したところから俺のファイヤーアローがヘッジのすぐ後ろで爆発する。


「ぐはぁっ、一体どうなっているんだ……………」


「だから言ったじゃないか。俺の魔法の方が強いからお前の魔法を貫いていると」


実際は俺の魔法の方が強くて貫いているのは事実だが、少し魔法をいじっており、ヘッジの魔法にぶつかると一時停止して、数秒後にヘッジの後ろで爆発するようにしてる。これでヘッジは魔法は互角と誤認するわけだ。


「完全にコウの掌の上で転がされてるね、あいつ」


「そうね。あの戦い方は完全に相手の心を折る戦い方だわ」


「コウってこんなに強かったんだ………。それにさりげなく、全部の魔法が無詠唱だし………」


「私達だって、得意魔法は初級くらい無詠唱できるわ」


姉さんがさりげなく発言する。


「うそっ!?あなた達いったいどうなってんの!?」


「コウの鍛錬メニューをこなせばこれくらい簡単よ?むしろこれくらいできないと付いていけないわ」


「一体どんなメニューなんだか………」


姉さんあんまり情報を流さないようにね。レティだからまだいいけど、俺に教えてもらえたら無詠唱ができるなんて知られたら、色んな人が殺到してくるよ。

姉さん達の会話を聞きながら心のなかでツッコミをいれつつ、この後ヘッジをどうしようかと考える。


「調子に乗り過ぎだ!!貴様はもう消えてなくなってしまえ!!『炎よ 粉砕し 吹き飛ばせ エクスプロージョン』」


「炎の中級魔法!?逃げてコウ!!」


レティが必死に叫ぶ。火の玉はどんどんとコウに向かって行きあたると思われた。

エクスプロージョンはもろに当たれば身体のどこかが吹き飛んでもおかしくない威力だ。全身に強力な装備しているなら無事な可能性もあるが、今のコウはただの学生服である。

そんな者がエクスプロージョンを当たった後の事を想像しレティは目を瞑った。

しかし、いくら経てども爆発は怒らない。恐る恐る目を開けてみると、そこには驚くべき光景があった。


「この程度の魔法で俺を殺せると思ったのか。せめてドラゴンを一撃で屠れる魔法ぐらいないとな」


コウの言葉に全員心の中で、エクスプロージョンが当たれば死ななくても瀕死だ。それにドラゴンを一撃で屠れるレベルの魔法とか一体誰が使えるんだと、ツッコミを入れていたが誰も声は出せない。

それほどに異様な光景だったのだ。

ヘッジの放ったエクスプロージョンをコウは手で受け止め、今も手の中でボールの様にお手玉をしている光景など。


「貴様どんな手品を使ったんだ!?」


もうヘッジの言葉使いは荒れに荒れていた。


「手品も何も普通に掴んだだけだよ。なんなら直接見てみるか?」


俺はまるでキャッチボールをしているような感じで軽くエクスプロージョンの球をヘッジに投げ返す。

しかし、球はどんどん加速しあり得ない速さでヘッジの顔の横を通り過ぎ、後ろで大爆発を起こす。


「ぎゃぁぁぁぁ」


ヘッジは潰れた蛙の様な声を出しながら吹き飛ばされる。


「あぁ、すまんすまん。お前の顔があまりにもムカつくんで思いのほか力が入ってしまった」


クラスメイト達は絶対嘘だ。わざとに決まってると思っていた。


「貴様は何処まで私をコケにすれば気が済むのだ!!」


土にまみれよろよろと立ち上がりながらヘッジは、そんな状態でも俺を睨んでいた。


「お前がレティに土下座して謝るんなら、これぐらいで許してやってもいいぞ」


「ふん。あんな女ぐらいいくらでも変わりは要るんだ。誰が土下座などするものか」


ヘッジはいっそ清々しい程のクズだった。


「へぇ~この状況でそんな事言えるのか…………」


「貴様はあれが俺の切り札と思って調子こいてるだろうが、俺の切り札はこれだ!!!」


ヘッジが出したのは黒い球だった。


「あれは魔物封じの球!!」


レティはあれの正体を知っているようで叫んでいた。


「魔物封じの球って一体何なの?」


「あれは弱った魔物をあれに封じ込める事でテイムできるマジックアイテムで、召喚術や従魔術がめずらしく使い手が少ないためその代用品として開発されたものです」


「詳しいわね。でも、弱った魔物って事は結局自分より弱い魔物しか使えないんじゃないの?」


「基本的にはそうなんだけど、高ランクパーティーに依頼してなんて方法もあるから持ち主より弱い魔物が入ってるとは限らないわ」


などと、レティが説明してるのをドヤ顔で聞いていたヘッジはレティの話が終わると動き出す。

あのアイテムの凄さをわからせるためにわざわざ説明が終わるのを待っていたな。


「そこの女が言ってた通りだ。そしてこれには高ランクパーティーに依頼して捕まえた魔物が入ってる」


「なら結局お前が強いんじゃなくて、他人頼りのヘタレじゃないか」


「うるさい黙れ!!私がこれを使いこなしてるから私の力だ!!出でよ、ワイバーン」


ヘッジの言葉で、体は青く翼に爪がついていて二本足で立つ翼竜がそこにいた。


「ギャオォォォォォ」


「フハハハハ、どうだ。ビビったか。お前はチビだからさぞかしこのワイバーンがデカく見えるだろう」


ヘッジはもう勝った気でやたら嬉しそうに弁舌してる。

そんなヘッジを無視して俺はワイバーンに語りかける。


「お前は、そんなクズに使われてていいのか?」


「<私は負けたから仕方ないのです>」


ワイバーンの声が聞こえてきた。これは固有能力の超能力でその中の念話だ。知能のあるものなら大抵会話できる。


「お前が負けたのは別の奴だろ?」


「<あれ会話が出来てる!?それでも負けた者は勝者に従わなくてはなりません。それが竜族の掟です>」


会話が出来てる事に驚きつつもちゃんと会話が成立してる。やはり竜族は知能が高いようだな。それに誇り高いのか。


「なら俺があの黒い球を壊せば何もせず故郷に帰るか?」


周りは俺が一人で何を喋ってるんだろうと怪訝な顔しつつも見守ってる。なぜならさっきからヘッジがワイバーンに攻撃しろと命令してるのにもかかわらず攻撃しないからだ。

まるで、ワイバーンが俺と会話しているようだったから周りは見守っていたのだ。


「<その時が来ればもちろん帰りますよ。ただし、私は邪魔をしなければなりませんが>」


「あぁ、邪魔できるもんならやってみろ。一瞬で終わるからな」


俺とワイバーンは互いに戦闘態勢に入る。ワイバーンが戦闘態勢に入るとヘッジは最初から言う事聞けよと言いつつもこれで俺を倒せると思いニヤニヤしていた。


「<では、いざ>」


「勝負!!」


同時に動きだしワイバーンはブレスを吐こうとしていた。

俺はその動きを一瞥しただけでさらに加速しヘッジに向かう。すでに俺がヘッジの方に向かっている為そのままブレスを放つとヘッジまで巻き込んでしまうためワイバーンはブレスをやめて爪で直接攻撃に切り替える。

ワイバーンは俺を後ろから追い、俺はヘッジの目の前まで来ていた。


「くっ、くるな!!」


「最初の時点で俺の勝ちは決まってた」


俺はそう言いながら、ヘッジの黒い球に掌底を放つ。黒い球は粉々に砕けてヘッジは余波で吹き飛んだ。

ワイバーンは俺の後ろから迫っていたが、黒い球が砕けるのを見て減速していた。


「これでお前は自由だ!勝者の言う事は聞くんだろ?」


俺はワイバーンにそう語りかけると。


「<ありがとう。もちろん勝者の言うとおりに故郷に帰ります。このご恩はいつか返させて頂きます>」


ワイバーンはそう言うと、俺に頬吊りをして去っていった。


「これでお前の切り札もなくなったが、まだ続けるか?」


倒れ込んでるヘッジに問いかけるが何も返してこなかった。

エリオット先生が駆け寄ってみると。


「気絶している。よって勝者はコウだ」


「「「「「「「ワァァァァァァァァァ」」」」」」」


一気に歓声があがる。

歓声とは裏腹に俺は気分が沈んでいた。なぜなら…………やり過ぎた…………そう反省していたからだ。

投稿遅くなりました。

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