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<ドキドキの魔力測定と危険な実技テスト>

「それじゃあ、一人ずつ呼ばれたら中に入れ。まずは先頭のお前からだ」


エリオット先生がそう言うと、一番前のクラスメイトがホールに入っていく。

一人が出ては一人が入るを繰り返しどんどん進んでいく。しかし、中で何が行われてるか未だにわからない。

出てきたクラスメイトはすぐに次の実技テストの為に演習場に行くからだ。

名前通りなら魔力を測るんだけどこの世界は魔力自体はステータスで数値として見れるから今更測る必要はない。という事は単純に魔力量を測るというわけではないとは分かるんだが情報が少なすぎてこれ以上はわからない。

出たとこ勝負で受けるしかない。まぁ、この測定の結果が何に影響するのかすらわからないのだから、そんなに気にする必要はないのだけどな。


「はい、次!」


エリオット先生の声で俺の前の奴がホールへと入っていった。いよいよ次が俺の番だ。


「次!!」


前のクラスメイトがホールから出ていき俺が呼ばれる。ホールの中へ入ると薄暗かった。


「前にある円の中に入ってください」


何処からか声が聞こえ、その指示通りに円の中に入る。


「それでは、魔力測定を始めます。ます最初に、あなたの名前と得意属性を教えてください」


「名前はコウです。得意属性はたぶん火かな?」


いきなり得意属性なぞ聞かれてもわからない。普通の人は適正があるからある程度決まってくるが俺の場合は全属性だからすべて同じ適正だ。もちろん適正値最大で。


「たぶんですか?」


「複数属性を持っていて、特に差は感じられないので」


これぐらいの情報を喋っても今後には影響はないだろう。仮にも教師だしな、たぶんだけど。

未だに声だけしかしないからもしかしたら手伝ってる上級生なんて事もあり得そうだ。


「なるほど。それでは火属性の初級魔法、ファイヤーボールを前方の的に撃ち込んで下さい」


「え~と、一発だけでいいのですか?」


「はい、一発だけで的を破壊するように攻撃してください」


ようやく試験の目的が見えて気がする。まぁ今はそんな事より、集中して破壊しよう。


「それでは攻撃します。『ファイヤーボール』」


小さな太陽をイメージしながらファイヤーボールを撃ち込んだ。その時微かに驚きの声が上がる。


「無詠唱!?」


俺のファイヤーボールは弾丸の如く的を撃ち抜き爆発する。


ドゴォォォォォォォォォン


「やばっ、強くし過ぎたかな?あれでも加減したんだが」


あまりの騒音に俺はそう呟いていた。


「……………………破壊したっ!?」


しばらく喋らなかったのに急に大きな声で叫んだ。


「え~と、これで終わりですか?出てもいいですか?」


「あ、あぁ、終わりですので退出してください」


俺はやり過ぎたかなとか考えながらホールを出ていく。


「何があった!?」


俺が出てくるとエリオット先生がいきなり詰め寄ってきた。


「いえ、なにもありませんよ。魔力測定の結果です」


「そ、そうか。では次!!」


次は姉さんの番だ。姉さん達がどんな結果になるか楽しみにしつつ俺は演習場に向かう。

魔力測定は俺の後、二度ほどざわつきがあったものの滞りなく進み、次は実技テストの時間だ。


「次は実技テストだ。テスト方法は俺と一対一の対戦だ!!」


「「「「「「「「「え~~~~~~~~~~~~~~~」」」」」」」」」


みんなこのテストが成績に影響すると思い否定の声を上げる。


「うるさい、だまれっ!!複数人と組んでもいいぞ。先に言っておくがこのテストは直接は成績に影響しない」


みんな安心したような顔をしている。


「しかし!!評価には影響する。まぁ最終的に成績に影響すると言えるが、ここで残念な結果だったとしても日々努力し成長という結果につながれば、残念な結果の奴がここまで成長したのかと評価が普通より良くなる場合もある」


エリオット先生の言葉に全員が実技テストに対する姿勢が変わってくる。


「だから今はとにかく全力で戦え。そして、その結果から学び成長して見せろ!!さぁ、誰からやる?」


「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」


我先にと手を上げる。俺はそれを少し離れた位置から見ていた。

次々と指名されては投げられたり、吹っ飛ばされたり、悶絶させらりと死屍累々である。

残り人数も少なってきた時だった。


「先生!!私はあそこのチビとやりたいのですがいいですか?」


ヘッジがエリオット先生に驚きの提案をする。


「なにを言ってやがる!?これは実技テストだぞ。決闘や対戦ではない」


「これは今どれくらい動けるか見るんですよね?それなら生徒同士の戦いを先生が見ても変わらないんじゃないんですか」


「一理はあるが、両者の力に差がありすぎた場合負けた方の評価が難しいからな。直にやってみないとわからん事もあるし」


「そうですか、それなら仕方がないですね。あのチビが僕に勝てるはずがないですし、フフッ」


明らかな挑発をするヘッジ。俺はあんなクズに挑発させても特に気にしないからいいんだけどね。

俺の澄ました感じに、苛立ちを顕わにするヘッジ。

姉さんが何か言おうとしてたが今回はシルフィーが事前に止めてくれたのでヘッジの策は失敗する。だが思わぬとこからヘッジに手が差し伸べられる。


「なかなか面白そうだし、お前らに限り負けた方が評価最低でもいいなら許可してもいいぞ」


エリオット先生である。いらん事するなよ。平和的解決するとこだったのに。


「僕は構いませんよ。あのチビが受けるかわかりませんが?」


ヘッジはしたり顔で俺を見る。周りのクラスメイトもやれ~と叫んでいて周りは二人が対決する雰囲気になっている。

ここまでさせれ、こんな雰囲気ならもう受けるしかない。


「やりませんよ」


だが俺は平然とやらないと言い切る。演習場が微妙な空気に包まれる。


「別にやる必要ないのだからそれでいいでしょ。あなたもわざわざコウを挑発するのはやめなさいよ」


その空気を打ち破ったのはレティだ。ヘッジの前まで行き、ヘッジに説教をしていた。


「うるさい!!」


教室の事や今の事で色々と溜まってたものがあふれ出しヘッジは身体が動いた。ヘッジの右拳がレティの顔にヒットする。

レティはそのまま勢いよく地面に倒れ込んだ。


「あなたよくも女の顔を殴ったわね!!」


姉さんが怒鳴りながらヘッジに詰め寄る。


「うるさい。あの女が悪いんだ!!」


ヘッジはレティが悪いの一点張りだった。


「さっきのは教師としても男としても見過ごせない。誰かレティシアを救護室に!!ヘッジお前は俺とこい」


そう言ってヘッジを連れ出そうとする。


「僕は悪くないんだ。元々あいつらが悪いんだ~~」


いつまでも喚いているヘッジの声がやけに聞こえる。

俺はレティの元に近寄り抱き上げた。


「レティ大丈夫かい?」


「大丈夫よ。少し痛いけどね」


物理的に頬を赤くしながらレティは言った。俺は魔法を発動した。


「『ヒール』」


レティの顔がどんどんと治っていき元に戻る。


「コウ………これは!?」


「先生!!さっきのヘッジからの提案ですが受けていいですよ」


レティの問いを無視してエリオット先生に話しかける。


「おまえ何言ってる。そんな事よりレティシアを救護室に連れて行ってやれ。あれは結構腫れる当たり方だったぞ!!」


「怪我ならもう大丈夫なんで」


俺の返事にレティシアの顔を見て驚く。


「いつのまに!?それにどうやって!?」


「そんな事より、さっきの対戦はしていいんですか?」


「しかしなぁ~………………わかった。気を付けてやってくれ………」


俺の目を見たエリオット先生はなんとか承諾してくれた。


「馬鹿だな。せっかく断われたのを受けるとは。そんなに恥をかきたいのですね」


さっきまで喚いてたヘッジだが、連れていかれなくなり、なおかつ俺をいたぶれる嬉しさで平常心に戻っていた。


「馬鹿なのも恥をかくのもお前だけだよ」


「なんだと!?」


「それじゃあ、始めようか。やんごとない生まれのクズ様よ」

今回は少し長めにできました。次回も長めにできたらいいなと思います。

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