<いきなりの初対面>
「俺達も出るとするか」
俺がみんなに声を掛け他の人達に続いて出口へと向かおうとする時だった。
「やぁ、会うのは初めてだね。活躍は聞いているよ」
いきなり後ろから声を掛けられ俺達は戸惑った。俺達は恐る恐る振り返るとウィル=アレキシスが居た。
兄さんと気づいた俺はすぐさま挨拶をした。
「初めまして、コウです。左から姉のエリナに従者のシルフィー、そしてちょっと前友達になったレティシアです。わざわざ声を掛けて頂いてありがとうございます。父も喜ぶでしょう」
俺の挨拶にエリナとレティは驚いていた。
「この学園のルールを知ってるんだね。でもただ知ってるだけじゃその挨拶はできないね、さすがだ」
「いえいえ、そんな事ありませんよ。たまたま知る機会があっただけの事ですし、それに自分には兄がいるですがその兄の方が遥かにすごいですよ」
「そうなんだ。でも僕には妹と弟がいて、妹はぐんぐん力を付けているらしくて僕はいつ抜かれるかひやひやしてるんだよ。それに弟なんか十歳も違うのにもう僕より強いらしいよ」
「「ハハハハハ」」
俺と兄さんは少しの間目を合わせると急に笑い出した。
シルフィーはさっきの会話がどういうものかわかっているからいいが、わからいない姉さんとレティは混乱しまくりだった。
二人の様子に見かねたシルフィーは二人の耳元で何かを話し出した。恐らく二人の為に説明してるんだろうな。
「それじゃあ、僕はそろそろ行くよ。コウにエリナにシルフィーにレティシアだったかな?」
「「「「はい」」」」
「これから君達が学ぶものが君達と君達の大切の人の為になる事を祈ってるよ」
「「「「ありがとうございます」」」」
「またね。そうだ忘れるところだった。コウ達は今日は早く寝ちゃだめだよ」
そう言って兄さんは出口の方に向かった。
「ふぅ~いきなりでビックリしたな」
俺の呟きに姉さんが。
「ビックリしたのはこっちの方よ。何が何だかわからなかったわ。いきなりあったのもビックリだけど、コウの挨拶もおかしかったし」
姉さんがそうプンスカと怒ってる。
その言動にレティはコクコクと頷いてる。
「仕方ないだろ。学園のルールがあるからここで兄さんなんて呼べないしな」
そうだからこそのあの言い回しである。まぁ、このルールを破ったからといって罰はないが前に話していた事以外の側面があるから俺は伏せていたのである。
それは人材確保である。ここを卒業できる者は殆どが一流である。普通なら貴族が平民を雇うって事になるが、友達になった後から家で働かないかとの勧誘は普通の雇用形態とは少し趣がちがう。
ただ、仕事で雇われてるなどではなく、自分も相手も互いに求め合っての雇用では他の雇用と違ってその人のクオリティーに差が出るのは当然だろう。
俺の場合はそこまで人材を求めてるわけじゃないけど、念のためって事だな。
「シルフィーから聞かなかったらわからなかったわ」
「まぁそれが普通だ。あの人もそう言っていただろ」
「話もいいけど、そろそろ行かないといけないわ」
「そうだな。行こう」
シルフィーからの促しで俺達は出口に向かう
とうとう兄さんと面と向かって喋りましたね。
学園行事も少しずつ動き始めます。