表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/51

<入学式直前の出会い>

門をくぐると桜なんてこっちの世界にはないだろうが桜並木のような道が広がっていた。


「綺麗!!」


「そうね。なんて木なのかしら」


「これから俺達は毎日ここを通るんだな」


それぞれの感想を口にしながら俺達は進んでいく。しばらくすると開けた場所に出てそこには受付みたいな場所があった。

そこに人が並んでいて何かを貰って近くの建物に入っていく。


「あそこで何かを貰うみたいだな」


「行ってみましょ」


姉さんが率先して歩き出す。その後をついて行き列に並ぶ。


「それにしても、こんなに人が居るんだな。こんなに多かったらいくらこの校舎でもパンパンになるんじゃないか?」


「そうね。もしかしたら課外授業が多いからいつも校舎にみんないるわけじゃないとかかもしれないわね」


俺の疑問にシルフィーが答える。


「違いますよ」


「「「えっ!?」」」


突然の声に俺達三人は驚いた。


「突然口を挟んでごめんなさい。内容を聞いてると学園の事詳しくなさそうだからついつい口を挟んでしまったわ」


姉さんの前に居た俺と同じ黒髪でとても綺麗なロングの美少女が振り返りながら言った。髪の色は遺伝の他に属性によって変わる場合がある。

この世界での黒髪は珍しい闇属性の家系か俺みたいな転生者のみとなっている。


「それで違うって言うのはどういう事だ?それに君は?」


俺は姉さん達と比べて遜色ない美少女に動揺しつつも何とか返答をする


「私の名前はレティシアよ。親しい人にはレティって呼ばれてるわ。それで答えだけどここに居る人達全員がここに通うわけじゃないの」


「「「えっ!?」」」


俺は二人と二重の意味で驚いていた。それは彼女が愛称をわざわざ口にしたことである。好意的に捉えれば呼んでくれって事だけど悪意的に捉えたら親しい人だけにしか呼ばせてないから間違っても愛称で呼ぶなって事である。

果たしてどちらの意味なのだろうかと考えていた。


「物凄い驚き様ね」


レティシアはそう言ってクスッっと笑った。


「確かにみんな入学式に来ていて新入生だけど、半年も経たずに半分はいなくなるわ。ここは入口は広いけど出口は狭いのよ」


「なるほどな。レティシアはこの学園に詳しそうだな。よければ教えてくれないか?」


「教えるのは構わないけど、あなた達の名前も教えてくれるかしら?」


動揺しすぎて名前を教えてなかった。


「あぁ、すまない。俺の名前はコウ=アレ「ちょっと待って」えっ!?」


俺が名前を名乗ろうとするとレティシアが途中で止めに入った。


「そこから説明しないといけないのね………。まず初めにここでは身分に関係なく色んな事が学べるわ。だから平民も貴族も一緒に学んでる」


「あぁ、知っている」


「だけど、友達になった後とかならともかく最初から相手が貴族ってわかっていたら普通の平民はやっぱり戸惑ってしまうわ」


「そうね。どういう態度を取ればいいかわからないわね」


姉さんが相づちを入れる。


「だから学園では家名を名乗らないってルールがあるの。これなら動きや立ち姿で貴族っぽくても完全に貴族ってわかっているよりは戸惑いが少ないわ」


「なるほど。それなら仲良くなりやすく、仲良くなった後にたとえ家名が分かったとしてもそのままの関係で居られる可能性が高いわけだな」


「そうなの。それで、貴族の子供達に貴族として相応しい成長を狙ってるわけね」


「だとしても、貴族至上主義なバカもいるんじゃないの?」


姉さんが豪速球ば質問を投げつける。


「そうね、中にはそんな人達がいるわ。一応そんな人達を更生させる意味での側面もあるけど、しなかったらしないでもいいのよ」


「他にどんな面があるんだ?」


俺の言葉にレティシアは微笑んだ。おそらく俺が彼女の言葉の意味を正確に理解しているって事がわかったからであろう。


「ここでは普通の座学以外にも戦い方や魔法の扱い方を教えてるわ」


一部妙な強調をしながらレティシアはまるで試すような目をして俺に言う。


「知ってるよ。だから俺達もここに来たんだし………あぁそういう事か」


俺は納得した。


「どういうことよ!?」


姉さんは今だ気付いてない。まぁ、あれだけで子供に分かれと言う方が厳しいがな。


「答え合わせにあなたから教えたら?」


どうしてレティシアはさっきから俺を試すような言動が多いのだろうか?出会って間もない上に何もしてないぞ。

まぁ一応合ってるかわからないから答え合わせはしとくがな。


「ここでは戦い方を教えてると言ってるけど、実際戦いは腕力だけじゃなく策略とかも色々ある」


「それはわかるわ。でも貴族のバカ息子なんている意味ないじゃない?」


俺は姉さんの言葉に首を横に振り言葉を続ける。


「貴族から何かを受けてたとしてもここでは対等なのだから決闘でもして腕ずくで黙らせてもいい。その力が無ければより強いとこの庇護下に入ればいい」


「もしかして、本当にそんなことが起きた時の対処の為の訓練相手?」


姉さんはようやく気付いたようだ。


「正解よ。学校内の出来事は親は口出しできないからね。まぁ、抗議はできるんだけどよっぽどの事じゃない限り学校は動かないわ」


「でも、それだけじゃないだろ?厄介な貴族になるかを見極める為と後々厄介な貴族やその子供はここで潰しておこうって側面もあるんじゃないか?有力貴族はここに絶対通わなくてはならないし」


今度は俺がレティシアを試すような視線を向ける。


「有力貴族がここに通わないといけないのは知ってたのね。もしかしてあなたもその一人なのかしら?まぁいいわ、あなたの言うとおりよ。あれだけの会話で良く分かったわね?」


「戦い方って所を妙に強調してたし、学校内の出来事はとさっき言っていたしな。バカな貴族なら学校外から圧力を掛けるだろうからな」


「すごいわ。あれだけの情報でここまで分かるなんて、あなた事色々気になってしまうわ」


「なんたってコウだからね」


なぜか姉さんが胸を張って言う。


「そんな事より俺的には一般的には知らないような学園の裏事情を知っているレティシアの正体の方が気になるけどな。まぁ想像は大体ついてるが」


「へ~そうなの?その想像について教えてくれないかしら?」


「ここでは、そういうのは禁止じゃないのか?」


「あなたなら知った後で態度が変わらなさそうだし、合意の上なら別に言っても構わないの」


「そうなのか。まぁ、俺としては別に平民だろうが貴族だろうが気にしないからいいけど」


「やっぱりね。それで答えの方は?」


レティシアが答えを早く言えと急かしてくる。


「おそらくだけどあれだけの情報を知ってるのは限られてくる訳でそれもかなり地位が高いだろう。貴族に対して手を打つって事は王族とかだろうが、王女にレティシアなんていなかったはずだし偽名も考えたが王女はまだ入学の年齢ではなかったはずだ」


「それで?」


レティシアはクールな顔に似合わず目を輝かせながら先を促す。


「そうなると学校関係者になるのだが、教師の娘ぐらいでは訓練相手までの情報が妥当だ。したがっておそらく学園長の孫とか辺りかなと推測した」


「「なるほど」」


姉さんとシルフィーが同時に納得したように頷いた。

肝心のレティシアはというと、なんか放心状態だ。


「お~い。大丈夫か?」


レティシアの前で大きく手を振り呼びかける。


「……はっ、あまりの凄さに意識が飛んでしまったわ」


見た目に似合わず以外にお茶目なのかな?


「それでどうなんだ?」


俺の答えに対して合っているかを聞く。


「推測通りで学園長の孫のレティシア=べルシュタインよ」


「やっぱりか。それじゃあ俺達もちゃんとあいさつしてもいいか?」


「ええ良いわよ。その辺の貴族よりはここでは私の名前の方が強いから」


「それじゃあ改めて、公爵家次男でコウ=アレキシスだ」


「同じく公爵家長女でエリナ=アレキシスよ」


「コウの従者のシルフィー=アルバーナよ」


俺達の自己紹介が終わるとレティシアは呆けていた。


「呆けてどうした?」


「…………えっ。どうも失礼しました。いくら学園長の孫とはいえ公爵家の方々とは比べ物にもなりません」


レティシアは急に畏まっていた。さすがに学園長の孫でも公爵家は格が違ったみたいだな。


「普通にしろよ。さっき俺は気にしないって言っただろ?」


「ですが………」


「コウが良いって言ってるんだから普通にしなさい。普通にしなかったら逆に不敬罪よ」


姉さんが笑いながら恐ろしい事を言う。


「不敬罪なんてならないけど、普通にしれくれた方が嬉しいぞ。これからは同じ学園に通う仲間だし、何よりレティシアの方が年上だしな」


俺も笑いながらさらりと爆弾を落とす。


「えっ……年上ってどういう事!?」


驚きに口調が戻ってきている。


「そのままの意味よ。コウはエリナの弟よ」


シルフィーも笑いながら俺達のノリに乗っかる。


「じゃあ本当に年下なのね!?って事は飛び級で入るって言ってた人の事って………」


「他に居なきゃ俺の事だな」


「なるほどね。私達より年下でその頭なら飛び級も頷けるわ。でも実技は大丈夫なの?」


本当に心配そうな目を向けてくるレティシア。年齢的にも体格的にも心配するだろうな。レティシアは俺を頭がよくて飛び級してると思ったみたいだしな。


「まぁ、何とかなるよ」


俺は苦笑いしながら答える。


「それならいいんだけど」


「次の方」


俺達が話してる間に受付の列はどんどん進み次はレティシアの番だった。


「はい!」


レティシアは慌てて受付に行き番号札を貰っていた。

俺達もレティシアに続いて受付に行った。


「こちらが学園の地図に入学式のパンフレットと番号札になります」


受付の人が渡してくれた。


「すみません。受付でこれを渡すように言われたんですが………」


手紙と一緒に入っていたカードを渡した。


「これは………申し訳ございません。そちらの番号札はお返しください。そしてこちらの番号札となります。」


そう言ってさっき渡された番号札を渡すと金色の番号札に変わった。しかも一番と。


「お連れの方はどちらですかね?」


受付の人は姉さんとシルフィーを見てそう尋ねてきた。


「従者と言う意味ならこっちですが一緒に来たと言う意味なら両方です」


「ならばお二人とも番号札はこちらになります」


二人とも金色の番号札に変わった。


「奥に進みましたら大ホールがあるのでそちらが入学式会場となっております。わからなければ地図の方を確認ください」


と説明され俺達は受付を後にする。

待っていたレティシアと合流してホールへと向かう間にレティシアに番号札について聞くことにした。


「レティシア、この金色の番号札はどういう意味があるんだ?」


「レティでいいよ。二人もレティで良いからね」


「「わかったわ」」


「それでレティこれはどういう意味なんだ?」


「普通は国賓待遇レベルの人に渡す物よ。留学で時々他国の王女や王子がくる事もあるからその時の人に渡されたり又は自国の王族関係に渡させるわ。さすがにそのレベルは下手な扱いはできないから同じような関係者で纏めるの」


「なるほどな。てことは姉さんやシルフィーとは同じクラスになるわけだな」


「そうね。王族とかなら護衛も一緒に入学させるからその時離れたクラスじゃ意味がないから特別扱いね。一年目は普通ランダムで振り分けだからね。それ以降は選択によってクラスが変わってくるわ」


「まぁ一緒でよかったって事でいいか」


「そらそうよ。私達を離れ離れにしたら何のために私の入学と同じ時期なのかが意味ないでしょ」


「そういや、そうだったね」


手紙にはそんな事も書いてあったな。忘れてたよ。


「それにしても、あなたなにやったの?たとえ公爵家でもあの札は普通には配られないわ」


「飛び級だからだろ?」


それ以外考えられない。


「飛び級でもあり得ないわ。何年かに一人や二人は飛び級が居たりするらしいけど、難しい試験を座学か実技でクリアしてようやく学園が飛び級を認めるってだけだもの」


えっ……まさかの根本的に俺達ずれてたのか?


「もしかして、飛び級って自分から学園に飛び級させてくれって言うのか?」


「そうよ、何をいまさら言ってるのよ。あなたもそれで飛び級できるようになったんでしょ?」


「いや、俺は手紙で飛び級しないか?と来て、飛び級に関して何か言われたりしたとしてもお姉さんが居るなら大丈夫だろ。的な感じで来たぞ」


「うそ!?」


「「「ホント」」」


俺達はハモって答えた。


「てことはコウは飛び級生って言うより特待生じゃない。ホント何したのよ!?」


「特に何もしてないが。しいて言えば降りかかった火の粉を払ったぐらいだけれど」


「その火の粉が気にかかるわね」


レティは教えろとばかりにジト目をしてきた。


「話はここまでね。ホールが見えたわ」


シルフィーがナイスタイミングで話を止めてくれた。

ホールに入ると俺達は席に座り静かに式が始まるのを待った。

何とか書き上げました。

まだ体調は芳しくないので0時更新は難しいかもしれませんが毎日更新は続けれたらいいなと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ