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<治療>

「失礼する」


結構なご老人が入ってきた。


「それで患者は?」


「この子です」


シルフィーが答える。


「それじゃあ、あっちにベッドがあるからそこに寝かせてくれ」


「私は仕事がありますので、申し訳ないですがこれで失礼します」


グエンさんは仕事に戻り、俺達は医者の後をついていく。

部屋に着くとさっそく女の子をベッドに寝かせ医者は診察を開始する。


「ふむふむ、ふむ、むっ!?」


「どうしました!?」


「衰弱が激しいな。まぁこれは薬で何とかなるだろうが、不思議なのが普通ならここまで衰弱していれば体の機能が著しく低下するはずなのにそれが見られない」


もしかして、俺が治療したからかな?


「それに、怪我をしていたような跡があるがそれもないとは不思議だ」


あぁ、やっぱり俺のせいっぽいな。


「あの……お医者様、私が治療したせいかもしれません」


「あぁ、そう言えば名乗ってなかったな。軍医をやっておる、アルフ=ゲーゲンだ。それでどういう事だ?」


「こちらも名乗らずにすみません!コウ=アレキシスと申します。怪我が酷かったので魔法で治療しました」


「アレキシス………まさか公爵家の御子息ですか!?失礼な態度すみませんでした。」


治療の話を忘れ俺に謝るアルフさん。


「いえいえお気になさらずに。それに最初の様な喋り方で大丈夫ですよ。名前も呼び捨てで構いません」


「ありがとうございます。それでは失礼しまして、どういう事か詳しく教えてもらえるか?」


「私達がその子を救出する前に盗賊に殴られておりまして、盗賊を退治した後様子を見てみると、その時の怪我だけではなく前から怪我をしていたものがあったので危険と思い治療しました」


口調をすぐに切り替えた事に関心し、この人は礼儀を心得てるだけで媚びる事はしないのだなと内心思いながら質問に答える。


「そんなに危険だったのか?」


「怪我だけで命に関わる物は無かったのですが、発熱もしておりなおかつ栄養失調や脱水症状により衰弱をしていた。ちゃんとした医療の知識もなかったので、まず怪我を治して体の自己防衛機能を発熱だけに向くよう怪我の治療をしました」


「ちゃんとした医療の知識がないだと!?十分あるだろう。それにその歳でそこまでの知識に感嘆を禁じ得ない」


「そんな事はないですよ。そして、栄養失調に対しては体が弱っている為、いきなり物を食べさせるのは危険と判断し水だけを飲ませ食べさせませんでした。」


「良い判断だ。内臓などが弱っている時に無理に食べ物を食べると悪化してしまうからな」


アルフさんは褒めてくれた。


「後は王都まで何もしないつもりだったのですが、途中で熱が上がり危険だったので魔法で氷を作って額に当てて熱さましをしながら王都に来ました。以上が私が行った治療方法と過程です」


「話を聞いていた限りでは、コウが居なかったらこの子は死んでいたかもしれんな。しかし、適切な治療でここまで来たおかげで薬を飲ませしばらく安静にしておけば時期によくなる」


「それを聞いて安心しました」


姉さんやシルフィーもホッとした表情になっていた。


「それじゃあ、一週間分の薬を持ってくるからちょっと待っててくれ」


そう言ってアルフさんは部屋を退出した。


「治りそうでよかったわ」


「そうね。一時期はもうだめかと思ったわ。これもコウのおかげね」


「偶々知識を多少知ってたおかげだよ」


「その多少が私達からしたらすごいのよ。もっと誇りなさい」


姉さんとシルフィーに褒められものすごく照れた。


「待たせたな。これが薬だ」


「ありがとうございます」


「それと一つ忠告がある」


アルフさんは真剣な表情で言う。


「なんでしょうか?」


俺は特に何もしていないので一体なんの忠告か図りかねていた。


「コウも横の二人も気づいていないかもしれんが、コウの知識は凄すぎる。長年軍医をやってる儂と同等もしくはそれ以上だろう。公爵家だから易々と手は出されんが気を付けた方がいい」


あんな一般治療レベルがこっちの世界では最先端って事か………。それなら確かに欲しがる奴もいるかもしれないな。


「それと、魔法で治療についてだが、基本治癒魔法は光属性か固有魔法しかない。そして光属性を持ってる者は希少で固有魔法を持ってる者自体少ない上に治癒魔法関係になるとさらに少ない。この意味がわかるか?」


なるほど。知識だけで引く手数多レベルに治癒魔法まで加わったら拉致してでも手に入れるだろうな。


「忠告ありがとうございます。元々私は目立つのをあまり好みませんので、必要に迫られたりしなければ人前でひけらかすつもりはないのですが、気を付けます」


「子供の癖に聡いな。まぁ、何かあってもコウなら自力で乗り越えれそうだがな。儂の軍医として色んな者を見てきた目がそういっとるわ」


確かに、よっぽどの事がなければ俺一人でどうとでもなるんだけど、アルフさんはなんとなくそれを嗅ぎ付けたみたいだ。さすがベテランの軍医って所だな。


「自力で乗り越えれるかわかりませんが、私に都合の悪い何かがあった場合はせいぜい足掻きますよ」


「そうか。それでは儂も他に仕事があるからこれで失礼するがコウ達はどうする?」


「王都にも公爵家宅がありますので、そちらにこの子も連れて滞在いたします。これから私達は学生なので数年は王都に居ますので、また何かの機会があればお会いすると思います」


「それでは、何かあれば遠慮なく言ってくれ。儂も何かあれば頼らしてもらうからな。それではな」


アルフは笑いながら部屋を退出した。俺達も遅くなったが王都に家に向かわないとな。


「それじゃあ、シルフィーはまたその子を頼むよ」


女の子はシルフィーに頼み、俺達は馬車の所に行きそのまま家に向かった

やっと家に向かいます。

それにしても治療した女の子の名前を出すタイミングが早く来てほしいです。書いてる最中思わず名前を書いてしまいそうななって大変です。

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