<手紙>
あれから二年ほど経った。色んな事があったが何とか平和に過ごせている。
まぁ、今日からどうなるかはわからないけどな。どうしてかって?それは今日から王都に行き三日後から学園生活が待っているからだ。
十歳からの学園にどうして八歳の俺が行くかというと、あれは一ヶ月ほど前だった。
俺は父さんに呼ばれて執務室に来ていた。
「父さん何の用?」
「お前宛の手紙だ。読んでみろ」
父さんは徐に手紙を俺に渡した。俺宛に手紙なんて一体誰なのだろうか。
俺はとりあえず手紙を読んでみることにした。
その内容は驚くべきものだった。
「とっ、父さん!これは本当の事なのか?」
「あぁ、本当だ。先方にも確認したから、コウの好きにすればいい」
父さんはそう言ってくれた。
「俺は一緒に行くよ」
「そうか、なら一緒に頑張ってこい」
「うん。それじゃあ姉さんに知らせてくるよ」
そう言って俺は急いで執務室を出ると姉さんの部屋に向かった。
バンッ
「姉さん!!」
俺はノックも忘れて姉さんの部屋に突入した。
「キャアァーーーーーー」
そこには下着姿の姉さんが居た。
「ごっ、ごめん姉さん」
俺は姉さんを見ないように後ろを向きながら謝った。
「コウだったのね。いきなり黒い影が入ってきたから驚いたわ。もうこっちを向いても大丈夫よ」
振り向くと服を着た姉さんが居た。残念なんて思ってないぞ。
「本当にごめん姉さん。慌ててたから……」
「これからは気をつけなさいよ!それにしても、コウがあんなに慌てるって珍しいわね。どうしたの?」
「これを読んでみて」
俺はさっき父さんから受け取った手紙を姉さんに渡した。
「うそ!これ本当!?」
「父さんがちゃんと確認したから本当だよ。それに一緒に行っても良いって」
「それじゃあ、もしかして………」
「うん。一か月後から一緒に学園生活だ!!」
ここで手紙の内容を説明しよう。手紙の主は王都の学園長からだった。
手紙には、俺の色々な噂を聞いて興味を持っていたらしい。どのように情報を集めたかはわからないが俺が飛び級で入れる実力だと確信したらしい。
もちろん学園は簡単に飛び級は出来ないのだが、強さで言えば俺より規格外な者が簡単にいる訳はないので強さは余裕だろう。
飛び級する人は殆ど居ないが時たまいるらしくそこまで珍しいものではないので割と入りやすいみたいだ。
本当は二年前くらいから目を付けていたらしいが、今年からは姉さんが入るのでそれだったら姉さんと一緒に入れば何かと都合がいいだろうと向こうが気を利かせて今回手紙を寄越したらしい。
ちなみになぜかわからないけどシルフィーも一緒にどうぞって書いてあった。少しキナ臭い感じはするけど、姉さんやシルフィーと一緒に学園生活はすごく楽しそうだ。
次章に向けてのプロローグ的な感じです