<宴会 後編>
「当たり前じゃないですか。そんなのばれたら大騒ぎになって平穏に暮らせないでしょう」
「いや、まぁそうだが、しかし………」
「しかしも案山子もありません。最悪俺だけが被害にあうのならばどうとでもできますが、俺の事を知らせると自然とその経緯が広まってしまうのでそれは許容できません。」
「「………」」
二人は気付いたようである。俺の神殺しまでの経緯を話すのであれば色々省力しても、邪神がこの街に来た原因については話さなければならない。それによって誰が一番被害を受けるかを。
「俺はせっかく戻った笑顔を曇らせる相手には容赦はしませんよ」
「俺達もあの笑顔を奪おうなんて思ってないさ。舞い上がって考えが足りなかったみたいだな」
「すみません………」
ガウェインさんは軽く反省って感じだがカリナさんがかなり落ち込んでしまった。
「俺が言うのもへんですが、カリナさんせっかくの宴会なんですから笑顔でいきましょう」
「そうですね!!私、エリナさんにお祝い言ってきます」
そう言って姉さんの方に向かった。
「そんじゃあ俺もアーサーに話があるからいってくる」
「二人で飲み過ぎないように」
そして、俺はまた一人でジュースを飲む。酒ならカッコいいんだけどジュースだとなんかしまらない。
少し風に当たってくるか。俺は庭に向かった。
「企画者がこんなとこでなにしてるの?」
声の主はシルフィーだ。
「風に当たりに来ただけだよ」
「本当にそれだけ?」
「まぁ、これからの事をちょっと考えていた」
「これからの事って?」
「あと二年もすれば姉さんは学園に行くだろう。俺も五年後には学園に行くだろうけど、その時シルフィーはどうする?」
「そうね~。教師にでもなろうかしら」
笑いながらそういうシルフィーを見て、ちょっといいかもって思ったのは内緒だ。
「姉さんが出て行った事によって、一生会えないって訳じゃないがもう少し時間が経てばそれぞれの道に進んで一緒じゃなくなるんだな、と柄にもなく思ってしまってね」
「あらあら。でも私はずっと一緒よ。例えどんなことがあってもね!そう誓ったじゃない」
「そうだったな。姉さんが居なくなるってのが思いのほかショックだったみたいだな」
姉さんは隣に居て当たり前と感じていたからそれが無くなると思うと自分でも思っていないほど嫌だった。
「ならエリナも一生コウの傍においときなさい。そうすれば安心でしょ」
シルフィーはとんでもない事を言った。
「姉さんだっていつか嫁に行くか婿を取るかするだろう。それなのに俺の傍にずっといるなんて無理だよ」
シルフィーは口を俺の耳元に寄せながら。
「そうじゃなくて、コウのものに、嫁にしなさいって事よ」
俺はその言葉にドキッっとした。
「いやいや、姉弟だから」
「でも血は繋がってないでしょ?だから大丈夫よ」
「何が大丈夫なんだ。それに俺だけの問題じゃないだろ?姉さんだってさすがに嫌に決まってる」
俺は動揺して早口でそう捲し立てた。
「私が何を嫌なの?」
いきなりの声に驚きその声の主の方を見たら姉さんだった。
「な、なっ、なんでもないから!!」
パニックになりかけるもなんとか返事をした。
「そう?みんな酔いつぶれちゃったからそろそろお開きだって」
「あら、早いわね。まだお昼過ぎよ」
「みんなハイペースで飲んでるからよ。それに私たちも疲れてるだろうからって早めに切り上げたみたいよ」
「なら俺は部屋に戻るよ。姉さんシルフィーおやすみ」
「「おやすみなさい」」
短いです。誤字など修正します。




