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<宴会 前編>

「エリナは無事か!?」


父さん達がものすごい速さで駆けてくる。


「エリナァァァァ」


母さんは叫びながら姉さんに抱きついた。


「ごめんなさい、父様母様」


「本当に心配したんだから!それに黙って出ていくなんて駄目よ」


母さんはプンスカと言う感じで説教していた。


「母様わかったから放してください。苦しいです」


姉さんは結構な力で抱きしめられているようで何とか解こうとしていた。


「駄目よこれはお仕置きなんだから」


母さんにそう言われてはさすがに姉さんは解くのを諦めたようだ。


「エリナすまなかった。おまえを守ってやれず………」


「父様ちゃんとわかってるから大丈夫よ。父様はちゃんとできる範囲で守ってくれているわ」


その言葉に父さんは感極まったようで。


「エリナァァァァァ」


叫びながら母さんの様に抱きつこうとした。

しかし母さんが姉さんを抱き締めながら動き。父さんは母さんに抱きつくことになった。


「私にも抱かしてくれ…」


ションボリしながら父さんが言った。


「あなたは私を抱けて嬉しいでしょう。この子はもうお年頃だから抱けるのは同性か好きな男性だけよ」


八歳でお年頃ってさすがに早いだろうと俺は思いつつもあえて口にはしない。


「エリナは私の事が好きだから大丈夫だ」


「それは父親としてで男性としてではないから関係ないわ」


などとだんだんどうでもいい話に脱線していく。


「父さん母さん、とりあえず家に入りましょう。準備は出来てるんでしょう?」


「準備?」


姉さんは首を傾げる。


「「もちろん」」


父さんと母さんはそろっていい笑顔で返事した。

食堂に入った俺達は驚いた。テーブルいっぱいに料理や飲み物が所狭しと並んでいたのである。


「これはいったい?」


姉さんは理由が分からない上に凄すぎてパニックになりかけだ。


「それはエリナの為の宴会よ。コウがみんなに言って用意させてたのよ。必ず連れて帰るから宴会の準備しとけってね」


今まで黙っていたシルフィーが説明してくれた。


「コウ、本当にありがとう!いつもいつもありがとう」


そう言って姉さんが泣きながら抱きついてきた。


「当たり前だろ。姉さんは姉さんなんだから」


俺はそう言いながら頭を撫でた。


「マリン!コウがエリナを抱き締めて頭を撫でてるぞ!!駄目じゃないのか?」


父さんは最近キャラが壊れてきてるな。昔はさわやかイケメンだったのに……。しかし息子と娘が抱き合っていて息子に嫉妬とか………。


「あなた、コウはコウだからいいのです!それにねぇ~~、そうよねエリナ?」


母さんの意味深な問いに姉さんの顔が真っ赤になっていた。


「「どういうこと?」」


俺と父さんはその言葉の意味が分からず聞いたが誰も答えてくれなかった。俺たち以外はみんな何かを察しているようだったのだが気になる。


「とにかく危機は去ったわ。これよりアレキシス家今日は一日休日で無礼講で寝る人は許さないパーティーをはじめるわよ!!」


母さんはいきなり仕切りだし、しかもなんか嫌なネーミングまで付いていた。寝る人は許さないってもう朝だぞ!?


「さぁさぁみんな飲み物は持ったわね。それじゃあ、いくわよ~。かんぱ~い」


「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」


こうして大宴会が始まった。

始まってそうそう姉さんはアリアンナさんやバルドに他のメイドや執事に囲まれていた。みんな心配してたもんな。

本当にアレキシス家の人達はみんないい人だ。俺はジュースを片手に隅っこからそんな光景を眺めていた。


「おいおい、もう一人の主役がこんなとこでいいのか?」


ガウェインさんとカリナさんだった。


「そうですよ。偉業を成し遂げたんですからもっと目立たないと!!」


カリナさんの目が輝いていた。


「まぁ、目立つのはともかく偉業ってのは事実だ。お前は世界で初めての神殺しだ」


「止めてくださいよ。あんな雑魚一匹ぐらいで。それに俺は姉さんを助けたかっただけで他の事はどうでもいいのですから」


「雑魚って………。例え下位だったとしても普通は倒せねえぞ。辛うじてSやAランクが三十人は集まって下位の邪神を撃退できるかどうかって所だろう」


「そんなもんですか?まだいまいち強さの比較が曖昧過ぎてよくわかりませんね。魔物と戦ったのも数回ですし」


「そういやそうだったな」


「そうそれですよ!Fランクでゴブリンの巣を破壊しDランクでバーサークベアーやブラックドラゴンを倒しさらに神殺しまで達成するなんて素晴らし過ぎです」


カリナさんは驚きのあまりに壊れたんだろうか?今までと違いすぎる。


「あぁ……気にするな。神殺しってのは今まで誰も達成したことのない偉業だから舞い上がってんだよ。言うなれば神様に会ったようなものだ」


ガウェインさんの言葉に一瞬ドキッっとした。まぁ確かに神を殺せるのもまた神ってのが普通はそう思うから当たり前の感情か。


「まぁ構いませんが、このことは秘密ですよ」


「「えっ!?」」


驚き固まるガウェインさんとカリナさんだった。

アーサーはもっとさわやかイケメン父親路線を考えていたけどいつのまにかただの親バカになってしまった。

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