<出家>
「全員起きろ!!そして食堂に集まれ」
俺の声にみんなビックリしたであろう。突然耳元から声が聞こえるのだから。
俺は先に食堂に行って待っていると続々とみんなが集まってきた。
「さっきのはコウか。一体どうしたんだ?」
父さんが聞いてきた。
「姉さんが出て行った………」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
みんな驚き固まった。
「俺は今から姉さんを連れ戻す!」
だが俺の言葉に父さんは躊躇いつつも反論した。
「それでどうするんだ。残念だが今エリナを確実に守る方法が無い以上三日後には出ていく予定だった。今連れ戻せばお互い別れが辛くなるし敵に襲われる前に逃げてるのであれば助かる可能性も高い………」
「あなたっ!?」
父さんの言葉に母さんは愕然とする。
「すまない。俺には救う手立てがない。運良く逃げ切ってくれる事を祈るしかない………」
父さんも相当辛いのだろうなそう言って母さんと抱き合っていた。
「それでコウはどうするつもりなの?」
シルフィーが聞いてきた。
「決まってるだろ。もちろん連れ戻すよ」
俺は当たり前の用に言い切った。
「さっきアーサー様が言ったように助ける手段がないのに連れ戻してもどちらにとっても悲惨よ?」
シルフィーはあえて冷酷に冷静に言った。
「誰が手段がないと言った?」
「コウっ!!手段があるのか?」
父さんは声を荒げて聞いてきた。
「大本を断てばいいんだよ」
「大本を断つって………まさかっ!?」
「邪神を消さば済む話だ」
「無理だ。例え神ですらやすやすと邪神は滅ぼせない」
父さんは落ち込むように言った。
「いや、できるよ。ううん違うな。俺にしかできない!そしてだからこそ俺は今ここにいる!!」
「本当に大丈夫なのか?」
「あぁ、任せておいて。そしてみんなには悪いけど俺達が帰ってくるまで起きていて欲しい。宴会の準備をしてね」
俺はニッコリ笑いながら言った。
「みんなで待ってるわ。豪華な宴会の準備をして」
母さんが希望が出てきた事により立ち直りいつもの調子が出てきた。
「そして、みんなで姉さんを叱ってやって。勝手に居なくなるなって」
「そうね。思いっきり抱きしめて息出来ないくらい叱ってやらなくちゃ」
母さんは張り切っていた。息出来ないと最悪死ぬぞなどと思いながらも俺はそんな光景を見てより一層姉さんを助けに行く事を誓う
「シルフィーはついてきて。姉さんのお守りを頼むよ」
「わかったわ」
「それじゃあ、父さん母さん行ってくる」
「気を付けるんだぞ!!」
「無事に三人で帰ってきてね!」
そうして俺は転移魔法を使い俺とシルフィーは街の外に移動した。
「どうしてエリナの近くに飛ばなかったの?」
周りを見てエリナが居ない事に気づいたシルフィーは聞いた来た。
「もうすぐここを姉さんが通りそこに邪神が現れる」
「えっ!?それじゃあ先回りをしてって事ね」
驚き慣れてきたシルフィーは即座にその意味を理解した。
「そうだ。そしてここで元凶をすべて断ち切る」
「それで私はどう動けばいい?」
「姉さんを連れて少し離れた場所に居てくれ」
「わかったわ」
「そろそろくる。気配を消して合図したら飛び出してくれ」
そうして少しすると姉さんの姿が見えた。姉さんが少しずつ近づいてきた。
すると姉さんの前方に突然魔物の軍勢が現れた。
「来たわね。今日の内に家を出てよかったわ。狙いは私なんでしょう?」
姉さんは返事があるとは思ってないが魔物達に問いかける。
「ケケケケ、よくわかったな小娘」
するとやたらとファンキーな声が返事をした。
「誰!?出てきなさい!」
「ケケケケ、目の前に居るじゃねえか」
そう何者かが言うと姉さんの目の前にピエロみたいなやつがいた
「キャッ!あっ、あんた一体何者!?」
「ケケ、俺は唯の邪神でお前の父親に傷をつけられたものだよ」
あれが元凶か………
「あんたがっ!!どうして私まで狙うの!?」
突っ込みそうになるのを必死で抑えながら姉さんは問いかけた。
「ケケ、俺様が傷を付けられたからそいつの家族は皆殺しだ。あの男を殺して女も呪いで殺してやってガキはそのうち餓死すると思ってたんだが生きてると聞いてな。わざわざ殺しに来てやったんだよ喜べ小娘」
「そっそんな理由で!?元々あんたが悪いんじゃない!それに私だけじゃなく街の人達にも手を出そうとしたわね?」
「ケッケッケッ、人間なんざ無作為に増え続ける唯のゴミだろうが。それに俺みたいな邪神はゴミどもの恐怖とか憎悪とかそんなもんが好物でな。ついでに食糧集めってとこかな」
「なんてやつ!あんただけは絶対許さない!!私の命に掛けてもここで殺してやる。道連れにしてでも」
「ケケ、ゴミ如きが俺を殺せるわけないだろ。お前の父親はさぞかしゴミの中では強かっただろうよ、なんせ俺に傷をつけたからな。だがそんな奴でも傷を一つ付けるのが精一杯だ」
邪神の言葉に姉さんも不安を隠せない。今の自分が当時の父親とどれくらいの差があるかもわからないからである。その上、人間の中でも上位の強さと言われていてたとえ怪我をしていたとしても傷一つってのが絶望を加速させる。
俺はシルフィーに目配せして突入の合図を送る。
「『サンダーレイン』今だ!!」
俺の魔法が邪神の後ろにいる魔物を一掃する。シルフィーは素早くエリナを抱えて後方に下がり俺は邪神の目の前に立った。
「ケッ、誰だ?」
邪神は不機嫌そうな顔で聞いてきた。
それに対して俺は。
「お前を殺すものだよ」
ようやくタイトルに合わせた内容が出てきた感じですね。
この後の展開はどうなることやら