<不条理>
「姉さん何言ってるんだよ!」
俺は思わず声を荒げた。
「だってそれしかないじゃない!じゃないとみんなや街が傷つくわ!!」
その言葉に皆黙り込んでしまう。
「とにかく父さんに相談してからだよ!」
さすがの俺も街全体を守るなんて経験してないためいくら力を持っていても守り切れる自信がなかった。
父さんの所に使いを出しこっちに来てもらうようにし、俺達は少しでもいいアイディアを出そうと話し合った。
そして、なかなか良い案が出なく沈黙が場を支配し始めた時だった。
コンコン
「私だ。入るぞ」
父さんだった。
「遅かったなアーサー」
ガウェインさんが父さんに話しかける。
「あぁ、軍を関係各所に配備してきたからな」
「「「「えっ!?」」」」
全員が驚いた。
「緊急防衛配備ではないがまず守りを固めないとだめだろ。いつ攻めてくるかわからないしな。兵達に大まかな事情を説明したら、エリナの為に頑張ってくれるそうだ」
「みんなっ…!」
父さんの言葉に姉さんは泣きそんな姉さんをシルフィーが慰めていた。
「それで話はどうなった?」
「全然進んでない。そもそも襲撃があるってのがコウの予想だからな。おまけに相手は邪神だからどんな手で来るかもわからない」
ガウェインさんが父さんに説明する。
「とりあえず三日ほど今の状態で様子を見よう。何もなければエリナには旅に出てもらおう」
父さんはそう言った。
「父さん!!姉さんを見捨てるのか!?」
俺は父さんに掴みかかった。
「そんなわけないだろ!!だがもし本当に邪神に狙われてるならどちらにしろここに居ては危険だ。それに民達も守らなくてはならない。他に方法がない………すまない…エリナ……」
父さんは最後は泣き崩れるように姉さんに言った。
「わかってるわ、父様。元々最初に街を出るって言ったし気にしてないわ」
こうして一応の方針は決まり一端解散となった。
俺達は家に戻りそれぞれの部屋に戻った。
そして、俺は部屋に明かりもつけずベットに寝転がっていた。そして自問自答していた。
俺は転生して、いい家族に出会えた。そして、悲しい理由からだったけどそこに姉さんも加わった。シルフィーは一生涯のパートナーとなった。すごく幸せだった。
これから楽しい毎日を迎えるはずだった。これからずっと幸せが続くなんてそこまで楽観的には考えてなかったが俺が学園を卒業するまでは多少のトラブルあれどここまでの事があるとは思わなかった。
なのにその幸せを邪魔する奴は誰だ!俺に不条理な事を押し付けるのは誰だ!俺の大切なものを泣かせ傷つけるのは誰だ!それは姉さんの両親であり父さん達の友達を殺した………
≪邪神≫
俺はこの時尋常じゃないほどの殺意を覚えそしてその殺意とは裏腹に頭の中はものすごくクリアになりある一つの事を考えていた……そうそれは………
~side エリナ ~
エリナは自分の部屋に帰ると旅支度をしていた。三日も待つことなく出ていくためだった。
みんなの気持ちはうれしいけど、やっぱり自分のせいで傷つけたくない気持ちが強かった。
この家に来てまだ四年ほどだけど色々あった。来て最初に驚いたのはコウだった。弟がいると聞いていたがあんなに可愛いとは思わなかった。
それに、その日はコウの誕生日でロウソクを消した後の事を今でも覚えてる。家族になった記念日だから姉さんも火を消してと。
私はあの時信じられなかった。まだ一歳のコウがそんなこと言うのだから。そして、何より家族と認めてくれるって言ってくれたのだから。
だから私はこの大切な人たちを守るために出ていく。恐らく私はその内殺されてもうここには戻ってこれないし、コウにももう会うことはないだろう。
夜中になり皆が寝静まった頃私は動き出した。でも最後にコウが恋しくなりコウの部屋を訪ねた。
コウは掛布団もかけず寝ていた。そんなコウを愛しく思いながらタオルケットを掛けて上げ額にキスをした。
「さよならコウ。元気でね………」
そうして私は家を出てルクサの街を出た。
~side エリナ end~
俺はふと目を覚ました。色々考えてるうちに寝てしまったらしい。
そして起き上がった俺はタオルケットがある事に気付いた。あれ?俺はそのまま寝転がってたはずだけど誰かが掛けてくれたのかなと疑問に思った。
しかし、こんな真夜中に誰が来るというのだ。そこで俺はふと胸騒ぎを感じ当たりの気配を探った。
すると、姉さんの気配がなかったのである。恐らく姉さんは出て行ったのであろう。誰も傷つけたくないから。
俺はそんな選択肢をさせる事しかできなかった自分に腹が立った。そしてその選択肢を選ばせた奴に殺意など生温い感情を覚えた。
そして俺は出かける準備をすると、屋敷内の者だけに聞こえる魔法を使った。
エリナはどうなってしまうのでしょうかね?
最近は0時更新頑張っております。結構しんどいですがなんとかこのまま続けれたらなと思います。