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<不穏>

俺達はギルドに着くとさっそくカウンターに向かった。


「あっ、おかえりなさい。早いお帰りですね」


「ただいま。これでも遅くなった方だよ」


「えぇ~!!バーサークベアーの討伐は一日かけて行うものですよ!!」


「そうなのか。とりあえず依頼の達成報告とギルドマスターを呼んでほしい」


ギルドカードを出しながら俺はカリナさんに頼んだ


「ギルドマスターですか?確認しますので少々お待ちください」


カリナさんは奥の部屋へと向かった。


「どこまで話すの?」


シルフィーが小声で聞いてきた。


「俺の予想も含めて話す。そして、父さん達にも話さないといけない事になるだろう」


「まぁ、コウのやりたい様にやりなさい」


シルフィーはそういうとエリナの方に向かった。

そうこうしている内にカリナさんが戻ってきた。


「ギルドマスターがお会いになるそうで部屋までお越しください」


そうして、何度目かになる部屋へと足を踏み入れた。


「それで俺になんのようだ?バーサークベアーをあんなに倒したからってランクはあがらんぞ」


と笑いながら俺達を招き入れた。


「そんなことはどうでもいい。緊急事態だ」


「ブラックドラゴンか?」


バーサークベアーの事を知っているのだからギルドカードを見たかカリナさんに聞いたのであろう。

そして、ブラックドラゴンを倒していることも。


「そうです。しかもただのブラックドラゴンじゃなかった……」


「えっ!?ただのブラックドラゴンじゃなかったの?」


姉さんが思わず声を出していた。


「あれ?エリナ嬢ちゃんは一緒に居たんじゃないのか?」


思わずガウェインさんは聞いてきた。


「居ましたよ。ただその時は話すべきか迷ってました。だけど色々と決めたのでここで全部話します」


「コウ……」


「今回の事件は恐らく姉さんが狙われてるのでしょう……」


「「えっ!?」」


姉さんとガウェインさんが驚く。


「やっぱりそういう事なのね」


シルフィーは薄々わかっていたようだ。


「俺の予想なんですが、ガウェインさんは聞いてるか知りませんが、姉さんの両親はとあるどこかの邪神に殺されたそうです。」


「あぁ、知っている。俺も友人だったしな。それが何の関係がある?」


「その邪神がどういう訳か姉さんがその二人の子供で生きてるのを知ったのでしょう。そして刺客を放ってきたんですよ」


「おいおい。いくらなんでもそれはないだろう。偶々ブラックドラゴンが居たのとどうやっても結びつかんだろ!!それに刺客ってどんな奴だ?…………まっ、まさか!?」


「コウどういうことよ!はっきり言いなさい」


ガウェインさんは気付き、姉さんはまだわからないようだ。


「エリナ落ち着きなさい。そして聞きなさい。最近起こった普通じゃない事件にどちらとも当事者に入ってる人が居るのよ」


シルフィーが諭すように姉さんに伝える。


「私とコウよね」


「そう。だけど、最初の事件、魔物の大群に襲われた時コウはその場に居なかったわよね」


「そうよ。私と兵達だけよ」


「てことは、両方とも最初から居るのはあなたしかいないのよ。だからエリナは狙われてるって事よね?」


シルフィーは姉さんに伝えながら最後に俺に確認した。


「普通だったら。ただの偶然って事もあるかもしれないけどブラックドラゴンなんてそうそう出会うものでもないし、ましてあんな場所でなんてほとんどありえない。そして何よりブラックドラゴンは確実に神力によって操られていた」


「神力って?」


姉さんが聞てきた。


「その名の通りに神の力だよ。人だったら魔力を使うんだけど神や邪神は神力を使う。これは同じ魔力量だとしても出力が桁違いだからかなり強力な魔法を使える」


「じゃあ、その神力を使って魔物達を操ってエリナを襲ったって事?」


「そういう事。そして、恐らくまだ諦めていない。だからこれからも次々に襲ってくるだろう」


「嘘っ!?じゃあ私のせいで兵達は傷ついたって事!?」


姉さんは青い顔になりながらそう叫んだ。


「それは関係ないよ。兵達は元々皆を守るために居るんだ。その中には姉さんだって含まれるよ」


俺はそう言って姉さんを抱き締めた。


「でっ、でも私のせいで……。みんな大好きなのに私のせいで傷つくなんて……。もうあんな事は嫌よ」


姉さんは昔の事を思い出したんだろう。泣きながら俺に強く抱きつく。


「この話をしたって事はこれからどうするのかって事か?」


ガウェインさんは鋭い目つきになり俺に聞いてきた。


「そうですね。このままではいつ街に被害がでるかわかりません。そして、もしブラックドラゴン以上がこの街に来たら大惨事になります」


「そうだろうな。緊急防衛配備にすれば多少は持ちこたえれるだろうが、いつ攻めてくるかもわからんしどこからどんなのが来るかもわからん。そして極めつけは攻めてくるって確証がないってのがな……」


「その確証がなければまず緊急防衛配備自体はできないって事ですか?」


「そうだ。さすがに俺とお前らの父親のアーサーの二人の力でも確証がないのなら難しい。出来ない事はないが後からどんな事になるか……緊急防衛配備は街の経済なども一時止まってしまうからなんの説明もなしじゃやはりな」


「それは厳しいですね……」


そんな感じで暗くなっている時だった。


「私が街を出ていくわ!!」

少しずつ展開が動いていきます

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