<俺の武器と二人の武器>
「二人ともお疲れ様。エアロスラストはほぼマスター出来たみたいだね」
「そうなの?でも二人でやっと一瞬怯んだだけよ……」
姉さんは少し落ち込んでいた。
「イメージとかは十分できてるからね。それにこのドラゴンは……」
俺はこの先を言うべきが少し悩んだ。
「これはブラックドラゴンよね?ブラックドラゴンならAランクでも上位のはずよ。それにしてもなんでこんなところに」
シルフィーは気を利かせたのか俺の後に言葉を続けた。そしてブラックドラゴンは普段はかなり高い山や深い深い森の中の洞窟など人が見ることはほとんどない。
「上位なのね!それなら仕方がないわね。もっと鍛錬しなきゃ」
上位と聞いて姉さんに元気が出てきた。あれだけ鍛錬したのに殆ど攻撃が効いてないのがよっぽどショックだったんだな。
「それにしても、コウはまた新しい魔法を使ったわね。あれはどういう魔法なの?それにまだ手に持ってるし」
「そうね。私も気になってた」
シルフィーは俺がブラックドラゴンを倒す時に使った剣が気になったようだ。姉さんも便乗してきた。
「あぁこれか。これは明確に言うと魔法じゃないよ」
「「魔法じゃない!?」」
「創造魔法で作った武器だから魔法と言えばそうだけど、一度作ってしまえばこれはもう普通にこの世界にある剣だからただの武器だね」
ただの武器と言ったけど能力はただの剣どころの騒ぎではないけどね。
「それじゃあ、あの詠唱はなんだったの?」
姉さんが疑問を投げかけてくる。
「まぁ、あれはあまり意味がないよ。空間魔法で作ったアイテムボックスからただ呼び出してるってだけで、しいて言えば無言でも出し入れ可能」
俺はエクスカリバーを消したり出したりした。
「「えっ!?」」
「ただ剣自体に特性があってああやって使うと切れ味があがったりはするかな」
「なら私達の隙は要らなかったんじゃない?」
ジト目で言う姉さんが近寄ってきた。
「そんなことないよ。あの隙で首が狙いやすくなったんだから」
「そう。ならいいわ」
姉さんは嬉しそうにしながら納得してくれた。まぁ、別に一人で普通に倒せたんだけど内緒にしておこう。
「それでこのドラゴンどうするの?」
「アイテムボックスに入れて持って帰ってもいいけどこれをどうするかによるね」
「どういうこと?」
「このドラゴンの素材で武器を作るんだったら俺が二人の武器を作ってあげるよ」
「ホント!?」
姉さんは目が輝いていた。
「こんなとこでできるの?」
シルフィーは疑問の方が勝ったみたいだな。
「話すより実際見せた方が早いよね。二人ともどんな武器がいい?」
「私はスピードとかを生かせる軽い剣がいいなぁ~」
「了解。『アンリミテッドファクトリー』」
俺はドラゴンから剥ぎ取った素材に魔法を掛けて。
出来上がったのはレイピアに近い剣だった。その剣を姉さんに渡すと凄い喜んでた。
「次はシルフィーだよ」
「私はもう少し遠距離を狙える弓がいいわ」
さっきと同じように魔法を掛けて、シルフィーの弓が完成する。
「二人ともこの武器はドラゴンの素材でできるから切れ味や耐久力が高いけど特になんの能力もないからね」
俺は一応説明しとく。さっきエクスカリバーを見せたから勘違いするかもしれなかったからだ。
「え~何にも能力無いの!?どうして?さっきの剣にはあるんでしょ」
姉さんはガッカリしながら聞いてきた。
「まず、作り方が違うのと、今から武器の強さには頼ってほしくないからね。もう少し強くなって技術が出来てきたら最高の逸品を作ってあげるよ」
「ホント!?がんばろ!」
姉さんは張り切っていた。
「それじゃあ、そろそろギルドに戻ろうか。依頼の報告にブラックドラゴンの報告もしないといけないし」
俺はブラックドラゴンの残りの素材をアイテムボックスに入れながら二人に言った。
「そうね、戻りましょう」
「帰ったらまた、旅の止まり木でブラックドラゴン討伐パーティーね」
姉さんはその事を想像して嬉しそうに歩き出した。
俺はそんな姉さんを見ながら、パーティーできるといいなと思っていた。
ブラックドラゴンを見てから一抹の不安が胸を過っていたためこの後の展開に予想を付けていたためである。
「大丈夫よ!何があっても私は一緒にいるし、エリナだってそうよ。それに私達に何かあるならコウが守ってくれるんでしょ?」
シルフィーは俺の方を叩いてそう耳元でささやいて歩き出していた。
そうだな。例え相手がどんなやつでも守るって決めたし俺が出来ることをただ全力でやればいいだけだな。
俺はさっきと違って軽い足取りで歩き出した。
二人の武器が出来ました。武器は最高品質ですが最強ではありません。