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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

怪傑! お下劣ババァ!シリーズ

怪傑! お下劣ババァ! ~あの、クソジジィ覚えてろ!ババァ返しだ!!~

作者: イフジタダヒロ

 フサ子、御年八十歳の元気でお下劣なババァだ。

その孫である俺はそのお下劣なイタズラに毎日悩まされていた。


 トゥルルルル…

 トゥルルルル…


 会社から面接の連絡がきた。

どうやら書類選考に受かったらしい。

「は~い、下条フサ子で~す。うふん!」

「だわ~~!!勝手にでるなぁ!!しかも、『うふん』ってなんだよ!?」


 トモアキそれが俺の名前だ。

「はい、すみません。内のババァ…いえ、お婆さんが…。はい…え?」

『あなた、もう結構です他を当たって下さい。不採用です。』


(落ちた…ババァのせいで…。)

 トモアキは心の奥底から怒りの炎が燃え上がってきた。

「コルァ!ババァ!!どうしてくれんだよ!?」

「まぁ、会社はそこだけじゃあるまいて。ほほほ。」

 ババァはこれっぽっちも悪いとは思ってない様子だ。


 桜が綺麗に咲く季節。

 トモアキは完全にババァのせいで就職に出遅れた。

「くそ~、今年こそは脱自宅警備委員だったのによぉ~!」

 トモアキはニートを卒業したかった。

 彼の夢は就職して親孝行することである。


 が、この不景気の時代なかなか就職先がなかった。

今日仕事が決まるとこだったのにババァが余計なことをするから不採用に。

「ババァどうしてくれんだよ?」

「仕事ないわけではないぞい?」

 するとババァある書類をトモアキの顔に押し当てる。


 その紙には『やる気のある若者大募集!!』と、書いてある。

(怪しい!)

 トモアキは疑うも時給に目がいった。

「時給千円!?}

 トモアキはそれに引かれすぐさまそこに電話をかける。

『はい、吉蔵よしぞうだっぺよ。』

「あ、もしもし仕事の件でお電話を…。」

『あぁ、その件ね。取り合えず地図にある事務所に来てくんねぇぺが?』


 あっさりと面接の日取りが決まりトモアキは有頂天。

「ヒャッフ~!やったぞ!今度こそ就職だ!」

 舞い上がるトモアキを後目にニタニタ笑うババァ。

「ここまで罠にハマるとは面白い。」


 後日。

 指定された場所に行くとそこは老人会の施設だ。

「ピンポ~ン!」とインターホンを鳴らす。

「は~い」

 出てきたのは若い女性だ。

「あの~面接に来たものなんですが?」

「待っておったぞい。トモアキ!」

「げっ!ババァ!なんでいるんだよ!?」

「あら、お知り合い?」

 

 トモアキは所長であるその女性に説明する。

 女性の名前は重野美佐子しげのみさこ三十一である。

「そういうことだったんですかぁ。」

「はい。」


 美佐子はある人物を呼ぶ。

「吉蔵お爺さん!ちょっと来て下さい。」

 すると美佐子は吉蔵に説教する。

「全くお爺さんは勝手に電話に出て面接の手取り作ってからに!」

「すまんのぉ美佐子ちゃん…。」

「あの、もういいんです。それに家のババァも悪かったし。」


「何を言うんじゃい!ワシャ悪くないぞい!」

 反省の色が全くないババァ。

 そんなババァに対して吉蔵はクククと怪しい笑いでババァの尻を撫でる。


「何すんじゃいバカもん!か弱いレディのお尻を撫でからに!!」

 トモアキは笑う。

「ぷぷぷ、どかこがか弱いだよ!?」

「笑うでない!」

 ババァはトモアキの足を杖で叩く。


「覚えていろ!クソジジィ!ババァ返しだ!!」

 そう言うとババァはトモアキの手を引っ張り自宅へ帰る。


 翌日、老人会は大騒動。

 ババァ派とジジィ派に別れ大紛争が始まっていた。

「ふん、ババァなんぞくたばれ!」

 吉蔵が先頭をきってババァ軍団に立ち向かう。


 一方ババァ軍団はフサ子が先頭をきっていた。

「ジジィなんぞイチモツがつかえんじゃろうて!?」


 この低レベルな争いをなんとか止めようにもスタッフは困惑状態。

 ババァたちに押されるかたちになってしまうのだ。


「もう、いい加減にしてちょうだい!」

 怒鳴り声を上げたのは美佐子だ。

「お爺さんもフサ子さんも大人げないわよ!」


 ジジィ軍団は収まりを見せたが問題はババァ軍団。

「美佐子さんあんたもおなごじゃて。いきなり尻を撫でられたらイヤじゃろう?」

「それはそうだけど…。」

 美佐子はババァに言いくるまれた。


 まるでミイラ取りがミイラになった状態に。

 これの争いを止められる人物は唯一トモアキだけ。


 そんな事はつゆ知らずトモアキは彼女のユリとデート中だ。

「へっくしょん!」

「やだ、トモアキ風邪?」

「いや、なんか背中がゾクっとして。」


「こうなやトモアキも見方に付けるぞい。」

 ババァはトモアキの携帯電話に電話をかけた。


 トゥルルル…

 トゥルルル…

 プツン…ツーツー


「なんじゃ繋がらんぞい!?」

 ババァはもう一回かけなおしたが繋がらない。

 それもそのはずトモアキは電源をおとした。


「誰からだったの?」

「いや、誰でもない間違い電話。」

「ふ~ん…。」

 半信半疑のユリは携帯を取り上げて電源を付けて着信をみる。

「あ、ダメだよユリちゃん!」

「最低…。」

 ユリの凍り付くような冷ややかな視線。

「ユリちゃん?」

「あたし別にトモアキのお婆ちゃんが嫌いじゃなくって、トモアキがお婆ちゃんに変なことしてるのが嫌いなの!」

 そう言うとユリは着信履歴からババァにかけなおす。

『もしもしトモアキかい?』

 電話の向こうのババァの声は嬉しそうだ。


「ごめんなさい。トモアキくんにお世話になっている者です。」

『なんだ泥棒猫か!この小娘が!』

「今、どこで何をなさってるんですか?」

『お前に言うことじゃないわい!トモアキはどうした!?』


 トモアキは慌てて電話をユリから取り返しババァに聞く。

「なんかあったのお婆ちゃん?」

『おお、トモアキ実はな…』

 ババァはいきさつを説明する。

「は?それで電話かけてきたの?」

 トモアキは腹立たしくなりババァに怒鳴りつける。

「あんまり人をおちょくんなクソババァ!」

 そう言うとトモアキは電話を切った。


「困ってるんでしょ?」

「ほっとけばいいって。」

「だから最低なのよ!」

 ユリはトモアキにビンタする。

 桜が舞落ちる午後の事。


「ユリちゃん?」

 トモアキがユリの肩を持とうとしたときだ。

「あたしの祖父と祖母はもういないの。だからトモアキが羨ましいの!」

 ユリは泣いていた。


「わかったよ!俺お婆ちゃんの事見てくるよ!」

 トモアキは老人会へと全速力で走った。


「はあはあ。」

 トモアキの息が切れる頃やっとついた老人会の施設。

「お婆ちゃん!」


「あ~らぁ、トモアキ、ワシに会いにきたのかい?」

「へ?」

 ババァはジジィたちをコテンパンにやっつけていた。

 しかも上半身裸でパイを振り回しながら。


「何やってんだババァ!?」

「見てわからんのかい。仕置きじゃよ!ババァ返しじゃよ!ホホホっ!」

 得意げに笑うババァ。


 ババァはまだまだ元気である。

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