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和泉夕河の優雅で従者な学園生活  作者: モカブレンド
第一章『始まり編』
3/10

第三話『上から下に、下から上に』

「果報部ってなんだ?」

 放課後……果報部の部室にて。

 ドン、と両手でテーブルを叩きつける。

 ロングヘアーが昼下がりの陽光を吸って優雅に煌いている。湯煙のたつカップを支えて、紅茶の香りをたしなむ美少女、火乃佳に夕河は問い詰めていた。

 火乃佳はカップの縁を唇に添えて、くいっと紅茶を流し込んだ。

「おそっ……もう三話だよ? ちょっと聞くのが今更すぎるんじゃないかい?」

「悪かったな雪! っていうか、あんまり世界の外側をつつくような発言はNG」

 ちょうど、部室に入ってきた雪からの突っ込み。

 幸い雪は制服姿だった。きたばかりなのだから当然と言えば当然ではあるが。

 カップを置いて、火乃佳が答える。

「果報部は果報部よ」

「答えになってねえよ」

「うるさいわねっ。貴方、この紅茶うっす~いのよ。茶葉によって抽出時間が変わるんだから、すぐにだしちゃダメじゃないの、早漏男!」

「ぐ……くそ、言いたい放題だな……」

 のれんに腕押ししたらハンマーが飛んできた。

 果報部の正式な人間ではないどころか、火乃佳の下僕として雑用係をしている夕河相手には、彼女は大抵このような扱いである。

 ここで雑用をするようになってから数日。

 言われるがまま行動してきた夕河にも、ようやく発言権のようなものができた。

 そうして気になったことが。

 自分はまだ、果報部について何も知らないということだ。

「分かった話すわ。果報部の全てを……」

 夕河は生唾を飲み込む。

 部長である火乃佳が、紅茶を軽くすすって淡々と語り始めた。


   2


「と、いうことよ」

「…………………………………」

 夕河はエクトプラズマでも吐きだしそうな顔で固まっていた。

「さて、フリーズした夕河の代わりにぼくが解説するとだね」

 椅子に座っている雪が喋りだす。

「果報部っていうのはつまり、果報は寝て待てということわざを教訓とした部活動だよ。部員達は果報を待ち、手に入れた果報を基にして活動を行う……主に知的探求が名目だね」

「……待て」

 意識を取り戻した夕河が、口を開いた。

「根本的におかしい気がするんだが」

「どういう風によ」

 火乃佳が少しムッとして唇を尖らせる。

「まず、果報は寝て待てってのは、実直に生きる人間に対する心遣いと違うのか? できるだけのことをしたから、後は運を天に任せるってことじゃないのかよ。部長のお前は、いったい何をしたって言うんだよ。どうして果報を探す必要があるんだ?」

「さあ?」

 火乃佳は動じる様子もなく口にする。

 続けて夕河は言う。

「次に、部員が果報を待つしかないって言うのなら、その果報は一体どこから仕入れてくるんだよ。例えば意気揚々と弾んでポイ(すくう道具のこと)を握っていても、金魚すくいは肝心の金魚がいないとできないだろ。その金魚は、誰が、どうやって、用意してくるんだよ」

 僅かな時間のなかに、時計の針が刻む音が流れる。

 あっさりと火乃佳が言った。

「そんなもの知らないわよ」

「な、なんですって!? 今、なんと仰ったのかしらこのご婦人は。んもうイヤだわぁん……」

「気持ち悪いからやめて」

 こぽぽぽぽ。

 火乃佳は新しく淹れてきたアッサムティーにミルクを投入する。

「さっきも言ったように、貴方が用意すればいいじゃない」

「…………」

 紅色から薄茶色に変化した紅茶を一口。

「果報部はそういうものなのよ。外から入手した果報を部員達で分かち合う。その為に必要なものは外から果報を入手してくる活動員……つまり、下僕のことね。だから、下僕である貴方がこの部に果報を用意すれば、このシステムはめでたく完成するのよ。果報っていうのは形あるものでも何でもいいわ。この天門院火乃佳にとって有益たるものであればね」

 そう言って足を組んだわがままお嬢様は、普段と変わりなく書物に手を伸ばす。

 夕河はわなわなと震える。

 やっと、追いついた。

 事の顛末をついに理解した。

 おそらく初めからそういう算段だったのだ。

 確かにあのとき、少年は花壇で花をぶっちぎってしまった。

 だが、それはあくまでも彼女にとってきっかけに過ぎなかったのだ。

 この部で自分に雑用をさせているということは、以前から下僕を探していたに違いない。

 夕河は花壇の前で三人の男子高校生に絡まれている少女を助けた。もちろん、それは少年自身が勝手に起こした勘違いだったのだが、仮に夕河が干渉しなければ、あの三人の内の誰か、もしくは全員が下僕として使役されていた可能性は大いにある。

 浮かんでくる天門院火乃佳の実態。

 なんたる残虐性。その圧倒的で、かつ非道なまでに自分の行いを信じる愚直者。

 忘れてはいけないことがある。

 彼女は神様なのだ。少なくとも、この果報部というテリトリーにおいて、天門院火乃佳は絶対的な支配者であること。忘却の彼方に滅してしまえば、次の犠牲者が現れるのだ。

 夕河の心中には、今までにない新たな感情の種が芽生えていた。

 それは『この悪神を世に放ってはいけない』ということ。

 絶望の鎖のなかで失われかけていた夕河の美しき闘争本能が、皮肉にも彼女という絶対神を前にして輝き始めたのだ。

 この尊大な悪神の言うことを全て受け入れられるわけではないが、やるだけのことはやってやる。

 夕河はあらためて、この部室での自分の居場所を理解した。

「そういえばさ」

 雪が横から入ってくる。

「ぼくもまだ、入ったばかりだから分からないんだけど、この学園の部活動ってどうなってるの? 姉さんは一年間ずっと続けてきたんだよね? 正式な部員数が二名って、大丈夫なの?」

「……………………ふぁっ!?」

 意気揚々と志を確かにしたばかりだったのに。

 突如吹いてきた風に、夕河は嫌な予感を抑えきれなかった。

 火乃佳は珍しく目を閉じて難しい顔をしている。

 次の瞬間、透き通るような瞳をカッと見開いて火乃佳は言った。

「まだこの部は、正式な部活動ではないわ!」

「そ、んな……」

 夕河の嫌な予感は的中してしまった。

 思考が破裂する。

「うおおおおおあああああああ! 昨日、学校の帰り道でドブにはまったときから、いわゆるひとつの嫌な予感的なものがしてたんだよ……チャリで通り過ぎたおっさんには冷笑されるし、犬にションベンはかけられるし、気づいたらポケットであったかくしてた十円玉はなくしてるし、これはなにかの予兆だと思ってたら、こんな形で伏兵が横槍入れるみたいにダークなエナジーがビンビンきてたんだ……この果報部が、果報部じゃなくて『果報同好会』だったなんてヨォー!!!」

 夕河はショックのあまりうずくまった。

「……それで姉さん。リミットは? この学園は、どの期間まで同好会の存続を許してくれるの?」

「期限は、あと三週間よ」

「マジか……」

「この天門院火乃佳の父である理事長が治める私立天門学園は例年、部活動および同好会の申請が軒並み増えているわ。去年から施行された同好会の存続期間は一年とする決まりに従って、残る三週間で最低五人の活動部員を用意しなければ、正式な部活動の申請はできないわ!」

 火乃佳はミルクティーをすすった。

「飲んどる場合かぁぁぁーーーッ!!!」

「う~ん……これは厳しいね」

「雪も笑ってる場合じゃないっつうの! どうすんだよ! 去年ずっと一人だったんだろ? それをあと三週間で残り三人を集めなきゃいけないんだぞ!!」

 たかる小バエを振り払うような表情の火乃佳は、何も言わず足を組み直す。

 そして夕河はあることに気づく。

「そ、そうだ……あのとき、もし俺が三人の男子を止めなかったら、あのまま部員として引き入れていた……そうすれば五人になる……そういうことだったんだな?」

 反応はない。

 ティーカップを支える手つきが上品だ。

「そうか、やっと合点がいったぞ! お前と雪で二人、あいつらを含めて五人! これで正式な部の申請には事足りる……つまり、俺が手を加えなければ部は成立していたんだ……!」

 う、う、う、と声をあげて夕河は頭を押さえだした。

 完全なるミステイク。

 失敗なんてレベルではない。あのとき自分が手をだす必要がなかったどころか、手をだしたことそのものが失敗の始まり。自分のような一介の男子高校生が美少女を助けるなんていう英雄にしかできないスーパープレイを目指してしまうから、未来を捻じ曲げてしまったのだ。

「なにを言っているのか知らないけど、アレは部員にするつもりなんてなかったわよ?」

「はいいい?」

 夕河は目をぱちくりさせて火乃佳を見た。

「だって、そんなことしたら私が部員の勧誘をしたことになるじゃない。いい? 私は『ラク』をして果報部を立ちあげたいの。だから、勧誘は下僕の仕事。そのために貴方を連れてきたのよ」

 火乃佳はその瞬間、自らの全てを言い切った表情で微笑んでいた。

「あ、ああ、あお、う、おお、あ、う、おお、あ、お」

 なんらかの電子音のようなものを発して、夕河は顔を引きつらせる。

 ──違う。

 入学したときの自分も、昨日の自分も、一秒前までの自分も、全部違う!

 考えすぎていた。

 逆に思考が、暗黒のるつぼに深く嵌っていたのだ。

 人間とは、他人の行動を都合よく解釈する。

 自分のなかにある経験則から、これ以上はないという境界線を勝手に導きだし、あたかも他人がそのレールから踏み外すことはないとタカを括る。

 誰しも、欲望に忠実であるものだ。

 そして少年は、彼女の外見が美少女だということに囚われて、大事なことを見失っていた。

 自らの心にも欲があるのなら、業の深いものほど実直でストレートな希望を求める。

 天門院火乃佳の言う通り、初めから彼女には勧誘する気なんてないのだ。

 罠にかかった相手を捕まえて、望むままをやらせようという魂胆。

 自分の論理や行動こそが至高であり、それに合わせて他者を追随させる。

 それこそが彼女のなかに存在する絶対的法則なのだ。

「う、くく、くう~~~~」

 夕河はついに、彼女の本性を理解した。

 今なら自分にも分かる。この少し上向きに首をあげて両腕組んでどや顔していて背景でデェェェェェェンなんていう重厚な音を響かせていそうな女が、どれほど厄介な存在なのかを。

 ならばこそ。この絶対神を放っておくわけにはいかない!

 胸の奥に秘める闘志を燃やす。

 それには、やはり志をともにする仲間が必要不可欠だ。

 苦楽を分かちあい、足踏みを揃え、無理難関に屈せず、正義を貫く、そんな仲間が。

 決して生贄ではない。生贄ではないのだ……。

「分かりました……その役目、和泉夕河が責任をもって引き受けましょう!」

 こぶしを胸に当てて、自信たっぷりに言い切った。

「……貴方、急に変な役づくりをするの好きよね」

「ほっとけ!」

 鼻息を荒くして反論する夕河。

「さて、どうやら決まったようだね。じゃあ今日からゆうがは、勧誘兼雑用員ってことかな」

「キャッチね」

「どっちかと言えば、ゆうがは買わされそうなタイプだけどね」

「何の話をしているか!」

「ま、貴方に任せたわ。せいぜい私の生活が潤うように苦心して頂戴」

「えげつないヤツ……」

 もう行くところまで行くしかない。

 夕河は大きくため息を吐く。

 ここにきて、もう何度目のため息だろうか。

 自分の不遇さに嫌気が差してくる。

 ふと、胸の内に問いかけると何故か違う感覚が生まれていた。

 嫌々だったはずの心に、ほんのわずかだが楽しいという気持ちが芽生えていた。

 そんなことあるはずないのに。

 夕河は不覚にも、そう感じてしまっていた。


   3


 日は沈み、時は刻まれる。

 数多を駆けめぐる西日の色めきが、より一段と濃密に滲んでいる。

 特別室、果報(同好会)部──室内。

 椅子に腰かけている夕河は黙々となにかを描いていた。

「……よし、できた! 新しい勧誘ポスターだ!」

 掲げた紙には、可愛い動物のデフォルメやらメルヘンチックな字体。

 はっきりとして、かつ丁寧で分かりやすく完成されていた。

 早速、火乃佳にポスターを渡す。

「……ふんっ!」

「ああああああああっ!?」

 バリバリバリッ!!

 粉みじんに破られた紙が、無残に宙を舞って落ちる。

「片づけておきなさいよっ」

 火乃佳は目を伏せながら愛想なく答えた。

「ばぁぁっっかお前ぇぇ……! なんてことするんだよ!!」

「馬鹿は貴方のほうでしょ。これだと二番煎じになるじゃない。そもそも、掲示板なんて方法だけに頼るから駄目なのよ。私の統べる部活動に、既視感を覚えるような安い発想はいらないわ!!」

 ふん、と鼻を鳴らして火乃佳はふんぞり返る。

 彼女の性格が最悪なのは、普段からそばにいる少年には分かりきったことではあるが、それにしても憎らしいと言わざるを得ない。

 せっかく丹精込めて完成させた唯一無二の一品を、無策無為に葬られたのだ。

 本来ならたとえ女性であっても、ばっさりと暴言を吐き捨てたくなるような気概になるが、かの某国をも圧巻させるくらいの支配力を保有する女性陛下を怒らせれば、たちまち夕河の学園内での生活圏は追い込まれ苦闘の日々が始まる。

 嫌だと言われても、飲み込むしかない。

「じゃあ、どうすればいいんだよ」

 なるべく刺激しないよう、言葉を選んで質問する。

「それを考えるのも貴方の仕事でしょ」

 予想していたことではあるが、いともあっさりとした答えが返ってきた。

 少年はない知恵を絞って脳みそのなかを引っ掻きまわすが、そもそもタンスに収納してある知識がすかすかなので、これといった妙案が出てくるはずもなく。

(こうなったらもう、適当に言ってみるしかないか……)

 おそらく生煮えのアイデアでは、彼女の心にある水面に波を打つのは難しいだろう。

 ともすれば、普通の発想自体がやぶ蛇になる可能性は十分にある。

 夕河は短い期間ではあるが、絶対可憐鬼畜お嬢様の性格を最低限は理解している。貧困な凡人レベルのスケールをとにかく嫌う節のある火乃佳には、他人と同じような考え方では駄目なのだ。

(いや……案外、地味すぎる内容のほうが効果的かも)

 そう考えた夕河は早速作戦を展開するため、役づくりに興じる。

「分かりました。じゃあ、廊下でビラ配りするというのはどうでしょう」

「してもいいけど、全部貴方がやるんだからね。配り終えるまで入室禁止で」

「う……やっぱり結構です」

 眉をしかめて、夕河は再度頭を悩ませた。

 よし、と声をあげて提案する。

「入部してくれた方に期間限定でランチサービスとか」

「ここを食事処にする気? それに料理つくるのは貴方よ?」

「マッサージとかどうですか。コリと一緒に入部したくなるようなところを刺激すれば……」

「貴方、女子が入部する前提で発言したでしょ。顔がだらしないんだけど」

「ふにゅう……」

 鋭い指摘に、少年は思わずたじろいでしまう。

 だが、ここで火乃佳のペースに飲まれるわけにはいかない。

 とにかく誰でもいい。夕河は、この女帝に勝つ為の手段を講じて、仲間と一緒に学園の平和を死守(主に自分が危険に晒されないよう)しなければならないのだ。

 ポン、と夕河は手のひらを打つ。

「こういうのはどうですか。部長が紅茶の淹れ方をマンツーマンで教えてくれるとか」

「趣旨が変わってるじゃない」

「じ、じゃあ入ってくれた方には、部長が淹れたての熱い紅茶をかけてくれるとか」

「どーゆープレイなのようっ! 私そんなのイヤよっ!」

「あ~、じゃあ、え~と、その、三食昼寝つきとか!」

「それじゃ拘束になるわよ!」

「えええいっ! じゃあもう、雪に下着姿でマスコットガールをやってもらいましょう! 少なくともその場凌ぎで人数だけは確保できるはずで──うぇぇぇ!!?」

「ゆうがは、ぼくのこと変態痴女だと思ってないかい? 邪魔だから脱ぐのと趣味で脱ぐのは違うと思うんだけど?」

「あがあぁぁぁぁ! ぐ、ぐるじいでずぅぅ締まってまずぅぅぅぅ! 爪先がぢょっどいだひでぶ! 指がづめだひでぶ! ずびばぜんでじだぼういいばぜんがら! ゆぅるぅじぃでぇぇぇ!!」

 急に背後から雪に首根っこを掴まれる夕河。

 必死の弁解により、和泉家の先祖と三途の川でご対面する前になんとか開放してもらう。

 ジト目で数秒見つめていたが、のそのそとパソコンの前へ戻っていった。

「あ~う~げほっげほっ……」

「余計なこと言うからよ」

 と、火乃佳お嬢様からの冷静な突っ込み。

「反省してます……」

 がっくしと肩を落として俯く。

 そのとき、時刻を知らせる置時計の鐘が鳴り響いた。

「あら、もうこんな時間なのね」

 すっくと立ちあがる火乃佳。

「あれっ、どこへ行くんですか……じゃない、どこへ行くんだよ」

「帰るのよ。募集の件については貴方の宿題だから。ちゃんと考えておきなさいよ」

「な、なんだよそれっ!」

 特に夕河の発言を聞かず、火乃佳はティーカップを放置してそそくさと鞄を手にする。

 雪も同じようで、パソコンの電源を落として帰る準備を整えていた。

「今日は金曜日だから。また来週会おうね、ゆうが」

「鍵はテーブルに置いておくから。遅くなったら警備員に届けなさい」

「バーイ」

「お、おいっ! 部長! そ、雪いっ!」

 既に火乃佳の姿はない。

 雪は顔の手前で二本指のサインをした後、すぐに退出した。

 夕河の耳に廊下を踏みつける足音が虚しく響いて、ゆっくりと消えた。

 いつの間にか突きだしていた右腕。

 閉じられた扉。

 虚空からなにかを掴むことはなく、静寂だけが悲しいかな少年を迎えていた。

 置時計の秒針が、夕河の耳に幾度となく残留する。

 やがて時間の流れを思いだしてハッとなった夕河は、開きっぱなしだった口を閉じてどかっと深く椅子に腰掛ける。

 しかし、その表情はどんより。

「まったく……前途多難だよホント……」

 現在時刻は六時二分。

 夕河は小一時間ほどその体勢のまま時間を消費し、突然かかってきた親からの電話着信に飛びあがり、慌てて家路へと就くのであった。

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