初めての出会い
【第一部】
私はこんなことが起こるなんて想像していなかった。
一緒に笑った。
相談もした。
そして・・・知った。
いまさら言われても困るの、、私はあなたを許せなくなってしまった。
そう、すべてがはじめてだったの・・・。
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お母さんが死んだ。
連絡をもらったのはケーキを買って家に着いた直後だった。
ケータイを持つ手の平に汗が滲む。
イタズラ電話かと思い、電話を切った。
〜♪♪〜♪♪♪
鳴った、
お母さんが大好きだった「さくら」だった。
お母さんからの着メロだった。
二度目の着信だった。
「もう、お母さんってば驚かさないでよ・・・」
私の声はかすかに震えていた。
そうだよ、お母さんが死んだのに“お母さん”からかかって来るはずないじゃん。
「さくら」は鳴り続けている・・・。
心を落ち着かせて私は次の言葉を用意し、ケータイに出た。
「もしもし?お母さん?もう、悪ふざけはやめてよね。本気に
「本気だよ」
男の人の声がした。
「いたずら電話でもなんでもない。これは現実なんだ、証拠に俺が君のお母さんの携帯から電話している。早く来てほしい。○○病院だ。」
私は返事が出来なかった。数秒の沈黙がながれる。
「おい?聞いているのか?気持ちは分かるが、君は祥子さんの唯一の肉親だろう?!」
祥子さん・・・?
あ、
お母さんの名前だ。とにかく、イタズラ電話だとしても相手を確かめないと・・・。
私は小さく返事をしてケータイの電源を切った。
財布と鍵をにぎりしめ、玄関を飛び出した------
もちろん、保険証も忘れなかった。
タクシーに乗り、病院に着いた。
玄関には男の人が立っていた。
ケータイを持っていた。
「君が桜坂千衣だね?」
何の疑いも無く、彼は私に話しかけてきた。
私は小さくうなづく。
「来なさい」
私はただ、彼に着いて行った。
エレベーターが地下へと向かう。
気づいた時、私の目には“霊安室”という文字が書かれた表札が写った。
嘘だ・・・・・。違う、この人、道間違えたんだ。
迷ったんだね、早くお母さんの所に行かなくちゃ、急がないと、、
ドアが開かれた。
男の人が私に白い布をめくれと言っている。
私は白い布をめくった。
お母さんだった・・・。
悪い夢なら早く覚めてほしい。私は漫画のようにホッペをつねった。
痛かった・・・。すごく痛かった。
涙が止まらなかった。
お母さんは私の唯一の肉親だった。お父さんは私が赤ちゃんの頃に死んだとお母さんから聞いた。お母さんとお父さんは駆け落ちしたらしく、両方とも家から勘当されたらしい。
私は寂しくなんてなかった。お母さんがいたから。。
でも、そのお母さんがいなくなった。
ひとりぼっちになってしまった。
ねぇ、どうして私をおいていってしまったの?
誰か教えて・・・・・。
ひとりは寂しいの。
「君、大丈夫か?」
誰?
「家まで送ろう。君の家はどこなんだ?」
やさしい声だ。
まるでお父さんみたい。覚えてないけど。
彼はしゃべり続けた。
「もし、よければ俺と暮らさないか?」
・・・・はい?
「君の肉親は祥子さんだけだったはずだ。なら、これから色々と大変だろうし。」
なんで、知ってるの?
「今日、俺の家に泊まってよく考えてくれ。」
泊まる・・・・私が?
「じゃあ、ごはんを食べて帰ろう。」
私は重い口を開いた。
「あの、あなた誰ですか?」
私の隣に座る、見た目21歳の男はこう言った。
・・
「あぁ、俺か?君のパパだよ。」