「無能はクビだ」と追放された俺の【生命活性】が神スキルだった件〜魔王の死骸を肥料にしたら世界樹が生えて伝説の魔狼も懐きましたが、これただのトマトですよ?今さら戻れと言われても聖域化したので無理です
どうもrairaです!
今回もそんなに重くない作品ですので安心してお読みください!
今作は「ざまぁ」と「もふもふ」を詰め込んだ、脳死で読めるお話です。
お仕事や勉強のスキマ時間に、深く考えずにお楽しみください!
「キミ、才能ないから。今日でクビね」
宮廷魔導師団の団長室。
金髪をかき上げたエリート上司が、鼻で笑いながら俺に書類を叩きつけた。
「キミの魔法【生命活性】。地味なんだよ。花を咲かせるのと、傷を治すのが精一杯。もっとこう、爆発させたり、隕石を落としたりできないわけ?」
「……はぁ。まあ、僕の魔法は農業向きですからね」
「そう! だから君は、一生泥にまみれて野菜でも作ってなさい。あ、その汚いギルド証は置いていけよ?」
俺、アルス。二十歳。
こうして、ブラックな騎士団を円満(?)退職した。
「やったぁぁぁ! 自由だぁぁぁ!」
俺は叫びながら、辺境の未開拓地へと向かった。
◇◇◇
辺境の土地は、魔素が濃すぎて草一本生えない「死の大地」と呼ばれていた。
でも、俺にはちょうどいい。
「さて、まずは土作りからだな」
俺は地面に手を突き、【生命活性・極】を発動した。
宮廷では隠していたが、この魔法、重ねがけすると「概念」ごと強化できる。
土を「神の領土」レベルまで活性化させ、そこらへんで暴れていた黒龍(たぶん魔王軍の幹部か何か)をサクッと倒して、その骨を砕いて肥料にした。
数日後。
「……あれ?」
庭に植えた覚えのない「芽」が出ていた。
それは一日で数メートル、一週間で雲を突き抜ける巨木へと成長した。
七色に光る葉、溢れ出す圧倒的な生命力。
これ、おとぎ話に出てくる【世界樹】だよな?
さらに。
「クゥーン……」
庭の隅で、銀色の大きなイヌが丸まっていた。
お腹が空いているみたいだったので、俺が育てたトマト(魔素を吸いすぎて一個でMPが全回復するやつ)をあげてみた。
「ほら、おいしいぞ」
「ガブッ……!? ……主殿、この御恩、一生忘れませんぞ」
イヌが喋った。
というか、これ伝説の魔狼【フェンリル】だよな?
なぜか空からは黄金の鳥が飛んできて木に巣を作り、近所の聖女様が「ここ、天国より空気が美味しいです」と言って勝手に住み込みの家政婦になった。
俺の家は、いつの間にか「全人類が手を出せない神域」になっていた。
◇◇◇
ある日のこと。
庭でフェンリルを枕に昼寝をしていると、地面が揺れた。
ジャラジャラと鎧の音を鳴らし、数百人の聖騎士団がやってきたのだ。
先頭にいるのは、俺をクビにした元上司だ。
「おいアルス! 貴様、こんなところで何をしている!」
元上司は、俺の家の惨状(?)を見て顔を真っ青にしている。
「な、なんだこの巨大な樹は!? まさか伝説の世界樹か!? それにその銀色の化物は……神話のフェンリル!? なぜ貴様のような無能が、魔王軍の生き残りを従えているんだ!」
どうやら彼は、俺が魔王軍を組織して国家転覆を企んでいると勘違いしているらしい。
「いや、これただのペットですよ。あと、この樹は日除けです」
「ふざけるな! その樹から溢れる魔力だけで、我が国の結界が弾け飛んだんだぞ! 責任を取って、今すぐその樹を切り倒せ!」
元上司が剣を抜いた、その時。
「……我らがあるじの眠りを妨げるか、羽虫め」
フェンリルが低く唸った。
ただの唸り声。それだけで、聖騎士団の鎧がすべて粉々に砕け散った。
「ひ、ひぃぃぃぃっ!?」
「主殿、こやつら、噛み殺してもよろしいか?」
「だめだよ。肥料にするには質が悪そうだし」
俺は起き上がり、ガタガタ震えている元上司に、カゴいっぱいのトマトを差し出した。
「これ、お近づきの印です。食べて落ち着いてください」
「な、なんだこれは……。あ、甘い。……え? ぐわぁぁぁ!? 体の古傷が治っていく!? 魔力が、魔力が溢れすぎて……身体が破裂するぅぅぅ!」
高濃度の霊薬を口にした元上司たちは、鼻血を出しながら逃げ帰っていった。
◇◇◇
翌日の新聞には、こう書かれていた。
『伝説の農神、辺境に降臨。帝国聖騎士団、一瞥で壊滅。トマト一個で死者すら蘇る奇跡の聖域』
「……また大げさだなぁ。俺、ただの無能な農家なんだけど」
俺は世界樹の雫で淹れたお茶を飲みながら、もふもふのフェンリルをなでる。
今日も辺境の農園は、呆れるほど平和だった。
(完)
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
「トマトおいしそう!」「フェンリル、私もモフりたい……!」
「ざまぁw スッキリした!」
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