へぇ?あいつ勇者だったの?
突然青年に襲い掛かられた日の翌日。
俺は学園に登校したいた。パトロールなんかしていたが、あれは言えの方針なだけで、俺は学生なのだ。つまり、学業が本分と言うわけ。
俺が教室に入ると、いつもより教室がざわついていた。
どうしたんだ?
そんな風に思っていると、近づいてくる人物がいた。
俺の友達のオズワルドだ。
「おはよう、グレン」
「ああ、おはよう。なんか教室が騒がしいけどどうしてか知ってるか?」
気になっていることを聞いてみる。
オズワルドは驚いたように目を見開いた。
「もしかして、あの噂を知らないのかい?」
「あの噂って?」
あの噂って何だ。
俺は人脈が広いタイプの人間ではないから、あまり情報が入ってこないんだよな。
「実は勇者と対峙して、逃げ切った暴漢がいるらしい」
「へぇ、そんな奴もいるんだな。で、それがどうしたんだよ?」
「今回問題なのは、その暴漢が僕たちと同年代だって噂だからだよ」
勇者と戦いが成立するほどの実力者が、同年代にいるんだな。
世界は広いとはよく言ったものだ。
「それで、勇者と戦える人物で同年代となるとその人物が限られてくるよね?」
「ああ、その人物が誰かっていう話で盛り上がっているわけね」
「そう言うことさ」
フーン。ま、俺には関係ないことだ。
もし、昨日の青年が勇者ならその暴漢は俺ってことになるけど。
まあ、そんなことあるわけないしな。
第一あの青年が勇者であった場合、俺はどんだけ運が悪いんだよ。
もし、この国で勇者に狙われたら、死刑と同義だからな。
そいつは相当運がないんだろう。
二日後の昼休み
オズワルドが、新聞を持って話しかけてきた。
「この前話したこと覚えてるか?」
「ああ、勇者から逃げた同年代の話だろ」
「それなんだけど、これを見てくれよ!」
そう言って新聞を見せてくる。
そこに書いてあったのは、その人物の特徴と勇者の顔写真だった。
あれ?この顔どこかで見たような。
・・・これってこの前の奴じゃないか!!
え?なら、勇者から逃げた暴漢って俺のことを言ってるのか。
終わった、俺の人生詰んだかもしれない。
新聞に書いてある特徴も、俺によくあてはまる。
いくら考えても、俺以外の人物で可能性が消えていく。
自分でも血の気が引いていくのが分かった。
「なあ、ここに書いてある特徴お前に似てないか?」
「・・・ああ、そうだな」
「まあ、お前がそんなことするわけないよなー」
オズワルドは俺をその人物だと思っていないのか、のんきにそんなことを言ってきた。
まったく、こっちは他人事じゃないんだぞ。
その様子を少し恨めしく感じた。
それから、今日は一日中上の空で過ごしていた。
そのせいで、教師から注意も受けてしまった。
だが、そんなことよりもこれからどうすれば・・・
俺が自室でそんなことを考えていると、コンコンとドアがノックされた。
誰だろうか?
「失礼します」
そう言って入ってきたのは、従者のメイだった。
彼女はいきなり従者にしてほしいと言い出してきて、そのまま両親の許可を得て従者になった人物だ。
不思議なのは、両親と三人で話した後にすぐに採用されたことだ。
まあ、俺個人としては従者がいる方が便利なのでありがたいわけだが。時折、彼女のこちらを見る目が少し怖いと感じることがあるが、勘違いなのだろう。
彼女は普段から用もなく、部屋に入ってくるような人物ではない。
だから、何か用事があるのだろうか?
俺はその疑問を口にする。
「どうかしたのか?」
「グレン様が何やら思い悩んでいたように感じるので、どうかいたしましたのか気になってしまい訪ねてしまいました」
「そんな風に見えたのか?」
「はい、それはあからさまに」
そんなに俺ってわかりやすいだろうか。
俺は彼女に悩んでいることを話そうとしたが、思いとどまった。
果たしてこの話を彼女にしていいのだろうか?もしかしたら、俺を勇者に通報するかもしれない。
それに、この話を両親にされれば問いただされるだろう。
まあ、考えすぎか。メイがそんなことをするわけがないだろう。
「実は・・・」
俺はそう言って自身の悩みを打ち明けた。
その話を聞いたメイは、口元を手で押さえた。
そして、可愛そうなものを見る目を向けられた。
「それは・・・大変でございましたね。しかし、それが誤解であるならグレン様は堂々とするべきです」
「そうか、そう言ってくれて少し気が楽になったよ」
そうだよな。冤罪であることが証明できれば、怯える必要がないよな。
でも、あの勇者がまともに話を聞いてくれるだろうか?
そう考えると、また不安になってきた。
「それでは失礼いたしました」
そう言って、メイは部屋から出ていった。
まあ、考えても仕方ないか。
今日はもう寝よう。
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