そんなことある!?
暇つぶしに書いた作品です。
それは暗雲が空を覆っている日のことだった。
俺、グレンは街中を歩いていた。
俺の家は優秀な軍人を輩出する家系だ。そのため、学生である俺も町の中をパトロールするという仕事がある。はっきり言って非常に面倒だが、そんなことを口にすれば真面目な両親や兄弟から冷ややかな目で見られるだろう。
そうなってしまっては居心地が悪いため、渋々俺は街の中をパトロールしている。
「キャア!!!!」
そんな悲鳴がどこからか聞こえてきた。国の中心部である王都では珍しいことだ。
さすがにそんな悲鳴が聞こえたら、助けに行くしかないだろう。
声のした方へ全速力で走り出す。
十秒ほど経っただろうか。俺はその現場である路地裏に到着した。
そこでは、三人組の男とそいつらに囲まれている女性が怯えている光景が見えた。
「そこで何をやっている」
もしかしたら、事情があるかもしれないので立場上、一応そう男たちに問いかける。
すると、男たちはおかしなものを見たかのように笑い出した。
「この光景を見て、そんなことを言う奴がいるか」
「ギャハハハ、兄貴こいつ相当の馬鹿ですぜ」
「そうか」
こいつらが暴漢だというのなら、加減をする必要もないな。
俺は暴漢の一人に急接近する。
「へ?」
不意を突かれたからか、そいつは素っ頓狂な声を上げた。
そんなことはお構いなしに、そいつの鳩尾にきれいに右こぶしをめり込ませる。
そいつは思い切り後方に吹き飛んだ。そして、建物に激突して地面に倒れた。
「このやろ!」
暴漢の内の一人が激昂したのか、そんな声を張り上げた。
そいつは思い切り腕を振って、殴りかかってきた。
しかし、その攻撃は俺に当たることはなく、空を切る音だけが木霊した。
回避した時のエネルギーを利用して、そのまま攻撃に転じる。
そいつの首筋に手刀を叩き込む。
首の骨を折らない程度の力加減をしたからか、辛うじて男は意識が残っていた。
しかし、そんなことは関係ないというようにそいつの顎を蹴り上げた。
ボクサーのパンチがクリーンヒットしたかのように派手に吹き飛ぶ。
「ひぃぃ」
一人残った暴漢はそんな間抜けな声を上げる。どうやら腰が抜けたようで、尻餅を着いて後ずさった。
しかし、この手の輩に温情などはかけてはいけない。だいたいはおとなしくなったふりをして、不意打ちを仕掛けてくるのだから。
なので、容赦なくそいつの顔面に拳を叩き込んだ。
「ブヘェ!!」
そんな声を上げながら、地面にダウンした。
さて、少女は大丈夫だろうか。
一応、メンタルケアまでしないと助けたとは言えないからな。
俺が少女の方を見ると、少女は地面にへたり込んでいた。
「あの、大丈夫ですか?」
そう言って俺は手を差し伸べた。
すると、誰かの足音が聞こえてきた。どうやら走ってこちらに近づいてきているようだ。
もしかするとこの子の知り合いかもしれない。
このとき、そんなのんきなことを考えず、すぐにこの場を去ればよかった。と後に後悔することになる。
現れたのは一人の青年だった。
整った顔立ちに、きれいな金髪をまとめた髪が特徴的な青年だ。
青年はこちらを見ると、なぜか怒ったような表情になり、こちらを睨みつけてきた。
「何をしているんだ!!」
そう言われて、今の俺の状況を見てみた。
地面にへたり込んでいる少女と、それに手を差し出している男性だ。手を差し伸べているように見えるが、場合によっては俺が襲っているように見えるかもしれない。
そう考えると、もしかすると勘違いされているのか?
「俺はこの子を助け・・・「言い訳なんかに興味はない。犯人はだいたいそう言うんだ!」」
俺の言葉を遮り、彼はそうやって俺を犯人だと決めつけてきた。
どうにか弁明しなければ・・・
そんなことを考えていると、彼は腰に携えていた剣を引き抜き斬りかかってきた。
俺は咄嗟に躱すことに成功したが、体勢が崩れたせいで次の攻撃を喰らいそうになる。
仕方がないので、俺も持っていた剣で応戦する。
話して解決できる雰囲気ではなくなってしまった。
少女もいきなり始まった戦いに、怯えて動けないようだし・・・うん?そう言えば、少女は助けたから俺がここに残る理由などないわけだ。
なら、逃げればよくないか?
恐らく、正義感が強そうな人物だ少女を放って追いかけてこないだろう。
俺はそう判断すると、彼と斬り合うのをやめて後方に走り出した。
「待て!!」
そんな、叫び声が聞こえるが無視して走り続ける。
くそ、今日は災難な日だ。
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