ルームメイトはサンタクロース?
本日も拙作をお読みいただきまして、ありがとうございます。
「ただいまー」
「おう。お帰り」
割のいい短期バイトが入ったと、しばらく出かけていたルームメイトのヒカルが戻ってきた。
が。
「おい、大丈夫か?目の下めっちゃクマ出没警戒警報発令中なんだが」
「んー」
「……そんなに大変だったのか」
割が良くても、しんどいのは勘弁だ。つくづく誘われなくて助かった。
だがヒカルは首を振った。
「いや、勤務扱いの事前研修もあって。寒い場所だったけどあったかいユニフォームも貸与されたし」
「まじでか!なんだその優良職場」
うらやまけしからん。なんで声を掛けてくれなかったんだ。おれはひっそりヒカルを恨んだが、身勝手な脳内掌返しを知らないヒカルは、のほほんと首を傾げた。
「うーん……なんていやあいいんだろう。こんなにもらっていいのか不安なくらいでさ」
「どれ」
スマホの画面を見せてもらったら……おいおい、普通のコンビニバイト程度じゃ、一年フルでもおっつかないぞ。
「違法治験で健康の切り売りしたわけじゃないよな」
「ないない。たしかにブラックっちゃブラックだったけど」
「って、さらっと言うなよ!」
思わずおれは慄いた。
「……まさかの労基法無視数十時間耐久ぶっつづけとか」
「いやいや」
「……ひょっとして。今話題の闇バイトじゃないだろうな?」
「まさか」
おそるおそる聞けば、ヒカルはとんでもないと首を振った。
「そんなんだったら、真っ先に警察に駆け込んでるって。てかそもそもそういうのって、免許証の写メ送れとか、個人情報吸い上げて逃げられないようにするのが手口だって聞くだろ?そういうんじゃなくて、履歴書とかも書かないですむやつ」
「まぢで?」
というか、本当に何をやってあんな額になるんだか。
唖然としていると、彼は顎が外れそうな大あくびをした。
「やっぱ疲れてんじゃね?」
「ああ。まあ、事前に仮眠はとらせてもらえたけど、実質徹夜だったしなー。……悪いけど寝るわ」
「おう。おやすみー。クマ駆除するまで起きてくんなよ」
苦笑したルームメイトがもそもそと万年ベッドに潜り込むのを見送って数分後。
「……」
何か声が聞こえた気がして振り返れば、ヒカルは眉を顰めていた。
なんだ、寝言か。
うなされているわけでもなさそうなのでほっておこうと思った時。
「ぃ……ぇーがー」
イエーガー?!猟兵?
一瞬混乱したが、三泊四日で帰ってこれる傭兵とかありえないよな?
「わぁりぃこはいねぇーがぁー」
……いやそれなまはげだし。今日は12月6日だっての。
サンタはサンタでも、ブラックサンタだったというヲチ。
ブラックサンタってなんぞ?と思われた方は「クネヒト・ループレヒト」をお調べください。
12月6日は聖ニコラウスの日なんだそうです。
……だったら、6日に投稿しろ?
ネタ思いついたのがクリスマスイブなんですよぉ!(滝涙)