体調不良
ピリリリピリリリ
耳元でスマートフォンが僕に朝を告げる。
そうか、もう朝か。
今日も仕事に行かないと、そう思い、身体を起こす僕。
しかし、身体が上手く持ち上がらない。
頭が痛い。目が眩む。手足が上手く動かない。
だが、今日は仕事だ。休む訳には行かない。
重い身体を無理矢理起こし、昨晩買っておいたコンビニのおにぎりを胃に入れる。
そして、歯を磨き、着替えをする。いつもの朝のルーティーンだ。
しかし、歯を磨いている最中、お腹からギュルルと声がした。
トイレまで間に合わない。このまま洗面台で吐いてしまおうと、先程吸収したばかりの栄養を吐き出し、純白なシンクに飲み込ませる。
念の為熱を測り、会社に連絡をする。
休む訳にはいかないとはいえ、もし伝染病などであれば周りに迷惑をかけてしまう。
一度近場の病院へ向かい、その後出社する旨を話し、許可を頂いた。
時間は有限だ。早急に検査を済ませてしまおうと車を出す。
しかし、前が上手く見えない。
当然だろう。今は体調が悪く、目眩や頭痛がするのだ。
普段ならここで危険だと判断し、タクシーを呼ぶのだが、体調不良で判断力が鈍っているのだろう。僕はそのまま車を走らせてしまった。
赤信号が認識できず、そのまま信号無視をする。
そして、気づいた時には遅かった。知らぬ間にセンターラインを飛び越し、前方から来る対向車の存在を確認できなかった。
この時間帯は人通りも多く、かなり大規模な事故となってしまった。
僕は当初の予定とは別の理由で病院へ運ばれた。
そして、検査をする。
検査の結果は───
心拍停止だった。