7月の満月
あれから一ヶ月たった。
あの日はストロベリームーンの日
私はびっくりして、声も出なかった。
「えー、だってだって大吾って、あの野球部のキャッチャーで、坊主頭の大吾?」
「どっから見ても女の子、めっちゃ可愛いし、」
「ありがとう」
「りさも相変わらず可愛いわね、まぁ学生の頃から可愛かったけどね。あー、でも髪の毛の毛先がちょっとダメージ、あと寝不足かな?お肌が少し荒れてるわね。今度、私がみてあげる。」
「あ、ありがとう」
「それより、あそこの可愛い男の子紹介して」
「会社の後輩の清水くん」
「こんにちは、お茶でも行かない?
お邪魔虫は消えるとしましょう」
「私、清水くんとお茶しに行くね」
「あー、先輩また会社で」
大吾に引きずられるようにその場からいなくなった、
「樹、ごめんなさい、私ひとりで勘違いしてた」
「俺も早く言えば良かったな、でも、ヤキモチ妬いてくれたのはちょっと嬉しいかも」
「もう、バカ」
「あ、いちごいちご」
「美味しそう」
誤解は解けた。
その日は、いちごのように甘い夜をふたり過ごした。
あれから一ヶ月、今日はバックムーンの日、
「先輩、先輩」
あれから一ヶ月の間、何故か清水くんがなついてくる。
子犬みたいでかわいいんだけどね。
清水くんの心の声
『今日は、牡鹿の角が生え変わる日、バックムーン、俺も男になるぞ』
「せ、先輩今日仕事終わりにお時間ありますか?」
「1時間くらいなら大丈夫だけど」
「じゃじゃあ、終わったらお迎えにあがります」
なんかいつもと違うけど、なんだろう?
終業の時間になった。
「先輩、帰れますか?」
「ちょっと待って、すぐ終わるから」
「お待たせ、お茶でも行く」
「は、はい」
「今日も忙しかったね。清水くんもお疲れ様でした」
「ここのモンブラン美味しいんだって、うーん、美味しい」
「なんか、今日、清水くん無口だね」
「せ、先輩、ぼ、僕、大吾さん好きになってしまいました」
「え〜!」
「大吾さん、凄く優しくて、女子力も半端無くて、話しも面白くて、で、でも大吾さん先輩の事も樹さんの事も凄く好きみたいで、な、なので先輩みたいになりたいです。僕を男にしてください。」
「ちょっと待って、なぜ、わたしなの?」
・・・・・・・・・・
「今日こんな事があったの」
「おかしいよね、なぜわたしなの?」
「もう、笑ってないでよ樹、」
「じゃあ、俺も男にしてもらおうかな?」
「もう、バカ、何言ってるの」
バックムーンの夜はふけていったのです。
読んで頂きありがとうございます。
今日もお天気がイマイチでおつきさま見えません。
ガッカリ。
⭐︎昨夜のおつきさまが綺麗だったので、載せてみました。