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オルビア国物語  作者: バルカン
第1章
8/72

成人式 1

__________朝




今日は国をあげての一大イベント。

王国主催の成人式である。


「ま、貴族サマの行事だ。

俺は俺でやるべき事をきっちりやれば良いさ…」

独り言のように呟くアッシュ



簡単な朝食をとり

いつも以上に髪型を整え、顔を洗い

動きやすい普段着ではなく正装を着用する。

鏡を見て、メイド長に注意されないよう最終チェックをしたら

いつもの武器では無く、今日はステッキ状の目立たない細身の剣を持ち、部屋を出る。



ルナが目を覚ますより少し前に部屋の前にスタンバイする。

護衛騎士の1日の始まりだ。



(げっ、朝からメイド長が見てやがる………

面倒だが、言われた通りにやるか……)



_______ガチャ



「おは___!!」


「おはようございます。

お嬢様、おめでたい日にふさわしい朝です。

本日は私アッシュが、護衛を勤めさせていただきます。よろしくお願いいたします」



仰々しい挨拶をして膝をつく。


(古くさい挨拶だ…

もう既に苦しい…

1日持つかな……コレ……)



「お__おはようアッシュ

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

護衛アッシュ、私を守る騎士よ

本日はその働きに期待しています。

(おもて)を上げなさい」



ルナも面食らったみたいだが複雑な表情をしてしばらく黙ったあと、何か覚悟を決めたようにキリッとした顔をした。

彼女の中で、貴族モードへの切り替えができたのだろう。




朝食時もオーウェンとルナの後ろで、リンと共にビシッと立っていた。

今日ばかりは会話に口を挟めない



「とうとう、ルナも成人と認められる時が来たね

あんなに小さかったわたしの娘が…


嬉しいよ」



「ありがとうございます、お父様


ところで、何故朝からこんなに屋敷がバタバタしているのですか?

式は午後ですし、私とアッシュ以外の者は参加しないのですよね?」



確かに、屋敷が何やらバタついている。

朝から厨房はフル稼働だし、庭師も張り切っている。


メイド達はいつも以上に床を磨いているし、高級な酒樽も運び込まれている。



「あぁ、今日の夜ソフィーが帰ってくるんだって。

やっと教会の仕事に目処が立ったって言ってたよ。

ルナの成人が祝えるって喜んでたね。


後はもう1人





__________アドニスが来るんだ。


成人式の来賓として呼ばれているらしい。


昨日連絡があってね、久しぶりにルナとアッシュの顔が見たいんだとさ、どうせ彼女の事だから夜通し宴会でもやるだろうと思ってね」




「!!!!!?????

お、マジかよ、ちょっとそれっ________ッ!!!!」





リンに脚を踏まれてアッシュは踏みとどまる。

入口が小さく開き、メイド長が恐ろしい顔でこっちを見ていた。


(リン……………………ナイスだ……ありがとう)




「ソフィーが帰ってくるのは嬉しいのですが…


アドニス辺境伯も?

そ それはまた急な話で……


えぇっ………ちょっと心の準備とか……」




「まあまあ、彼女が急に来るのはいつもの事だろう?

ルナもアッシュも今日で成人なんだし、一緒にお酒でも飲んで楽しい話をしたら良いさ。」




(マジかよ………………絶対イヤだあんな酒乱女と………)



「それよりルナ

今日は準備ができたら少し話がある。


ドレスに着替え終えたら、私の部屋においで。


それからアッシュ、君にもだ。

この後、ルナが準備にかかるだろうから、その間私の部屋に来てくれ」




「___承知いたしました」




「_フッ

さぁ、それでは各々行動開始だね。それじゃ」



そう言ってオーウェンは席を立つ、

部屋をでて行くのを一礼して見送った。




「さぁ、お嬢様

レディの準備は時間がかかります。

行きますよ」


メイド長とリンに連れられてルナが出ていく。



俺は俺で、オーウェンの書斎に向かうか…


___コンコン!



「失礼いたします」


「やぁ、アッシュ相変わらず変な話し方だけど…調子はどうだい?」



「おかげさまで、すこぶる好調にございます」



「メイド長は居ないんだから止めなって…」



(そう言ってもらえるのはありがたい)

「はぁ、

アドニスが来るなんて聞いてませんよ

毎回毎回、良いように屋敷引っ掻き回して付き合わされるこっちは大変なんだ、勘弁してくれよ」



「まぁ、そう言わないで

私と彼女と君の父親の仲じゃないか?

君だって、自分のお父さんの昔話とか活躍した話が聞けるなら嬉しいでしょ?」




「そこだよ

俺は、別に親父の昔話に対して興味はないんだ。


今更昔話とか持ち出されて、親父が立派な奴だったとか言われても

俺ら家族が元に戻ることは無いし、

そもそもあいつが壊したんだ、もう今になって恨んではいないけどわざわざ聞くことでもないさ」




「………そうか、



でもあいつはあいつで色々思うことがあったんだよ。

君をボールドウィン家に託したいと頼み込んできたのも彼だ・・・

それに、私とアドニスにとっては君のお父さんのは忘れられない、大事な親友だ…


君もいつかきっと、お父さんの事を少しでも理解してあげられる時が来ると私は信じてるよ」






「・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

ボールドウィン家に拾ってもらったことは、

感謝してるよ、今の生活を与えてくれた事も、

今日の成人式の護衛に選んでくれたことも…」




「おや………気づいていたかい?

さすがだね


そうだな、君の家がまだ存続していて

護衛騎士では無く、


貴族アッシュ=ブランシスタ


だったら、本来君も参加すべき人物だ。

せめて空気だけでも味わってほしいかったから君を選んだんだけど、まさか言う前に気付かれてしまうとはね」




「長く仕えてるんだ、その気遣いくらいわかるさ」



「そうか、まぁ、君も可能な限り楽しんでおいで

メイド長の目もないし、ルナのサポートを頼む」


「あぁ」



「それと、成人式が終わったら、君はクビだ!」



「はぁ?

唐突になにを_____」




「明日から君の主はルナだ…

私の使用人の1人としてルナの護衛をするのではなく、ルナを主人として守ってあげてくれ…

頼めるかい?」



「そういうことか……

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・」



アッシュは膝を曲げて頭を垂れる


「謹んで、お受けします。


この御恩は忘れません。

今まで…お世話になりました。」



「うん!ありがとう

ルナをよろしくね」

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