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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
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救出

 ──────ルナ視点──────



 ルナ達は、闘技場の通路をひたすらに駆け抜ける。

 突如として爆発によって吹き飛んだ外壁の穴付近には焼け焦げた肉片が飛び散っており、舞い上がる埃や煙のせいで視界は悪かったが、逆にそれがルナ達の姿を眩まし闘技場の衛兵達から姿を隠すのに役立った。



 加えて、観客の大混乱。

 予定と違うハイオークの逃走等、侵入者であるルナ達にとっては好都合だ。




「立ち止まらず、一気に行こう

 混乱しているうちがチャンスだ!」



 後続のジェイドとフィリアに向かって叫び、真正面に見えるゲートに向かって走った。

 遠くに見えていたゲートがどんどん近づき、荒々しい戦闘音が大きくなる。

 ゲートを潜ると同時に視界が一気にひらけた。





 まず視界に飛び込んできたのは闘技場の真ん中にたてられた(やぐら)に縛られぐったりとしたソフィ。


 続いて、ソフィの櫓を囲むように武器を構えた護衛騎士のアッシュ。

 なぜかはわからないが王宮でリチャード王子の執事として出会った老紳士(アルフレッド)も武器を構えて立っている。



 2人の周りには多数の兵士が倒れており、激しい戦いがあったことが伺える。

 しかし、彼はまだ武器を構えたまま警戒を解くことなく正面の顔に火傷のある男と対峙していた。


「アッシュ! 」





「ルナ!来てくれたか」


 アッシュは一瞬だけこちらに視線を向ける。

 2.3日会わなかっただけで、随分と久しぶりな感じがした。

 無事な姿に少しだけ安堵しすぐさま警戒を強める。




「ルナ、ソフィは無事だ。

 だが、早いとこ下ろしてやってくれ。

 こいつの相手は任せるんだ」



「あぁ、わかった」




 アッシュとアルフレッド、更にそこにジェイドも加わり数的には有利な状況が作れた。

 衛兵達もほとんどは既に倒されたか逃亡し、あれだけ大騒ぎだった闘技場は静まり返っている。




「フィリア、すまないが手伝ってくれ」

「は、はいっ─」






 敵との戦闘はアッシュ達に任せ、ルナとフィリアで縛られているソフィを下ろしに向かう。



「姉さん!

 助けに来たよ、しっかりして!」


 櫓に駆け寄りソフィに声をかける。

 顔色は青白くぐったりしており、随分と弱っているようだ。


「姉さん、いま下ろしてあげるからね!」



 小型のナイフでロープを切り、拘束を解いていく。

 一気に下まで落ちてしまわないようフィリアに支えてもらいながら手早く作業を進めた。


 時おり服の隙間からチラリと見える素肌は生傷だらけで痛々しく、ルナを不安にさせるには十分すぎる程であった。




「ソフィさん…ソフィさん…

 しっかりしてください」


 心配してくれているのだろう、フィリアも涙目になりながら懸命に声をかけ続けてくれている。



 ソフィの救助をしている間、アッシュ達の方から色々と怒声混じりの声がするが内容までは聞き取れない。


 全てのロープを切断し、ソフィの拘束を解き終わる頃にアッシュから一際大きな声が聞こえた。



「気を付けろルナ!

 こいつ、屋敷を襲った連中だ! 」


「なに!?」

 ルナは唐突な警鐘(けいしょう)に身を固くする。

 顔をあげると、火傷の男が斧槍(ハルバード)石突(いしづき)を地面に突き立て、魔術の発動をする瞬間だった。




「──【アクアヴェール】───」




 次の瞬間、闘技場を囲むように水の魔術が発動する。



 周囲を素早く見回すが、既に全周魔術に囲まれており怪我の状態が酷いソフィを抱えて逃げきれるような状況ではなくなっていた。




「ルナさん…これは……

 ────!」


「フィリア、すまないが姉さんを頼む。

 直ぐに逃げられるように備えていてくれないか?」

 真っ正面に鋭い視線を送るルナの横顔をフィリアは恐る恐る見た。



「え…?

 ルナさんは?」


「あの男、どうやら私に用があるようだ。

 穏便に済みそうもない、巻き込まれないよう離れていてくれ」



 そう言ってルナは背中の剣槍(けんそう)を構える。

 険しい顔をしたルナの正面には下卑(げび)た笑みを浮かべたバルトが肩に斧槍を担いで近づいて来た。





「へっへっへっへっ。

 いやぁ、獲物の方から来てくれるなんてラッキーだぜ、わざわざ罠を張った甲斐があったってもんだ。

 テメェのお仲間さんも、暫くは俺のウツシエ達と遊ぶのに忙しいだろうからな。


 こっちはこっちで楽しくやろうや…


 テメェさえやっちまえば、暫くは金に困ることも無いだろうな。頭領も喜んでくれることだろうよ」



 いつでも動けるように剣槍を真っ直ぐに構えたまま、ルナは返す。


「あいにくだが、私はお前と楽しむつもりは無い、さっさと終わらせたいんだ。

 姉さんを傷つけたこと、後悔してもらおう。

 夜鷹(よだか)だったか?そのうち頭領とやらにもキッチリお礼はさせて貰うつもりだ」



 バルトは夜鷹の名前を聞いたとたんにニヤついた表情が消え去り、怒った様子でこちらを睨み付けてきた。

「あぁ?

 テメェどうしてその名前を…

 どこのどいつだそんなに口が軽いのは?」



 バルトの態度の変化に対して逆にルナはわざと少しだけ笑って見せた。

「フフッ」


「なぁにがおかしい!!」

 激昂するバルト




「屋敷を襲った連中だというから試しに名前を出してみたが大当たりだったようだ

 夜鷹の一員で間違いなさそうだ。 わかりやすい性格で助かったよ、短気で単純…

 これなら、早いところカタがつきそうだ」




 バルトは怒りのあまり顔を真っ赤にして、こめかみの青筋はピクピクと動いている。

「テメェ!覚悟しろ!

 ぶっ殺してやる!!」



 まんまとルナの作戦に引っ掛かり、素性を明かすバルト、怒りを通り越して抑えが効かなくなり、突然戦いの火蓋が切って落とされる。

 斧槍を大きく回し、両手で突撃体勢をとったバルトは全速力でルナに向かって突っ込んでくるのであった。

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