反撃
弩を装備した近衛兵達の隊列のど真ん中に着地したアッシュ。
着地と同時に倒した敵の頭から剣を引き抜き、間髪入れずに腰を落とした低い体勢のまま一回転。
周囲の兵士達を横薙ぎの一閃で切り裂いた。
「うっ!!!撃てうてぇ!!」
アッシュの剣の間合いでは届かなかった兵士達が数名残っているが、隊列の兵士達は混乱し焦って弩を乱射するものもいれば、その場に弩を取り落とし剣を抜いて構える者もいる。
左右に数名づつ残った兵士を眼の端で捉え、状況を確認する。
アッシュの左側で剣を抜いて構えている兵士達の方へ狙いをつけ一足飛びで距離を詰めた。
一番距離の近い相手に飛び込みざまに袈裟斬りに大剣を一閃。
胸から血を吹き出して倒れる兵士に回し蹴りを放ち、後続の兵士にぶつける、体勢を崩した隙を見逃すこと無く2人目の兵士をすれ違いざまに脚を斬りつけ、動けなくする。
速度を保ったまま地面すれすれまでに体勢を落とし3人目の兵士が振るう剣をスライディングするような形で避けて後ろに回り込み、がら空きの背中に大剣を突き立て、沈黙させた。
アッシュが飛び込んだとは反対側──右側にいた兵士達は弩を構え、動き回るアッシュに狙いを定めていた。
三人の仲間の兵士が倒れ、ようやくアッシュの動きが止まった所で、好機と云わんばかりに引き金にかけた指に力を込める。
「今だ! 撃てぇ!!!
──────ッッ!! ガァッ!!!! 」
弩を構え、アッシュを射とうとしていた兵士は、身体を貫く鋭い痛みと焼けつくような熱によって動きを止められ、薄れる意識の中背後から聞こえるアルフレッドの声を最後に絶命した。
「アッシュさんだけだと思ってもらっては困りますよ。
甘くみないで頂きたいですね」
敵兵がアッシュに気を取られている間にアルフレッドは素早く距離を詰め、敵の隊列のど真ん中に着地したアッシュと一瞬目配せを交わした後、アッシュが攻撃を仕掛けた方とは反対の兵隊達に攻撃を仕掛けた。
炎を纏った刺剣を操り、敵の鎧の隙間を狙って正確な突きを繰り出していく。
派手に暴れまわるアッシュが注目を集めていたため、手早く処理をすることができ、アッシュが敵兵三人を倒すのとほぼ同時にアルフレッドも敵を全員倒した。
「ふぅ、助かったぜアルフレッド……
さすがだよ、頼りになるな」
「それはこちらの台詞ですよアッシュさん、見事な腕前です。
さて、邪魔さえ入らなければソフィアさんを連れて、さっさと退散したい所なんですが……」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「てめぇら!図に乗るのもいい加減にしやがれ!
生きて帰れると思うなよ!! 」
近衛兵を失って、激昂したバルトが大声で威嚇してくる。
「そうしたいのは山々なんだが────ありゃあダメそうだな……」
「ですね……面倒ですが、見逃してくれそうもありません早めに片をつけてしまいましょう」
やれやれといった様子で、構えるアッシュとアルフレッド、戦いが始まるかといった所で遠くからアッシュを呼ぶ声が聞こえた。
「──────── アッシュー!!!」
「ルナ?」
先程アルフレッドの魔法により破壊された闘技場の壁の穴から侵入してきたルナ達が合流し、闘技場内に全員揃う事になった。
「アッシュ! 大丈夫? ソフィは無事??」
「アッシュさんっ!」
「生きてんか? オイッ!」
「あぁ、ピンピンしてるよ」
ジェイドもフィリアも心配そうな表情をして声を欠けるが、アッシュは大丈夫だといった様相で小さく笑う。
「みんな…細かい説明は後、今はソフィが最優先だ
早めに手当してやらないといけないから、櫓から降ろしてやってくれ 」
「あ、あぁ」
すぐさま、ルナとフィリアがソフィの元へ向かい、
ジェイドとアルフレッドはアッシュと共にバルトに対して武器を構える。
取り巻きの近衛兵達を失い単騎になってもバルトは怒りに満ちた表情でアッシュ達を睨み付けていた。
「形勢逆転だな
1人ではどうしようもできねぇだろ?
大人しくしてな、オレ達だってさっさと退散したいんだ。お前には聞きたい事が山ほどあるんだが、今だけは見逃してやるよ」
仲間が合流したことで少し表情にも余裕が出てきたアッシュ。
バルトに対し降参を促す為に武器を構えたままで声をかけたのだが、返ってきたのは怒りに満ちた怒声だった。




