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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
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作戦

アルフレッドの静止も聞かずに、敵に突撃するアッシュ。


バルトは、アッシュの事を挑発するだけしておいて、卑怯にも後ろに従えた近衛兵の隊列の後ろまで下がる。

代わりに、アッシュの目の前に表れたのは整列して連なる近衛兵(このえへい)が構えた(いしゆみ)だった。



──────バシュッッッ─────



一斉に(つる)が弾ける音がして、アッシュの眼前に多数の矢が迫る。

頭に血が昇って一直線に突撃したアッシュに避けきれるはずも無く、咄嗟(とっさ)に剣を振るうが弾き損ねた何本かの矢が身体に突き刺さる。




一瞬、怯んだ隙に次は魔術の詠唱が聞こえてきた。




「'エア・インパクト'」



「ぐあっっ!!」

圧縮された空気の塊が身体にぶつかる衝撃に負け、吹き飛ばされる。

ゴロゴロと転がりながら、なんとか体勢を立て直そうと踏ん張り、顔を上げる。



「─────しまっ───!!!」

目前には更に、二射目に放たれた矢の葬列(そうれつ)が迫っていた。

体勢が崩れていたせいで反応が遅れ今更避ける事もできない。

矢に貫かれることを覚悟し、身構えたその時




【イグニス】

アルフレッドの声が聞こえ、目の前に迫る矢に多数の炎の玉が飛んで行く。

迎え撃つように飛んできた炎の玉に阻まれ矢は全て燃え尽き、一本たりともアッシュを貫く事は無かった。


気配を感じ、振り向くとアルフレッドが静かに近づいてくる。



「ふぅ、全く…… お待ちなさいと言いましたのに

怒りは視野を狭めますよ、アッシュさん。

戦いに身を置くものであれば、感情のコントロールの鍛練も必要です 」



「ア……アルフレッド……」




「さぁ立って

まだまだこれからですよ!

ジジイとの約束も守ってもらいますからね! 」



「あ、ああ…すまねぇ! ありがとう」

矢を引き抜き、傷を確認するアッシュ。

痛みはあるが、急所は外れているようだ……我慢さえすれば動きに問題はない。



「アッシュさん、1人で戦っていてはダメです。

まずは邪魔な取り巻きから片付けましょう

飛び道具の処理は私に任せて、君はもう一度攻撃を…

いけますか?」



「あぁ、問題ねぇ!

頼んだぞアルフレッド」





深く息を吸い集中する。

体勢落として低く構え、手にした大剣を握り直す。

真っ直ぐに見据えるは敵の隊列、弩を構えた兵士達の中心だ。




兵士達は次の矢をつがえ、既にこちらに狙いを定めている。




今更小細工を仕掛けても仕方ない。

アルフレッドを信じて、アッシュは一気に駆け出した。




走り出すと同時に一斉に矢が放たれる。

迫る矢に怯むこと無く、真っ直ぐに走るアッシュ。


矢が目前まで迫った瞬間、後ろからアルフレッドの声が聞こえた。



【イグニス】─'スチームボルケニオン'─



先程と同じく、敵の放った矢を小さな火の玉が迎え撃つ。 一瞬にして金属の(やじり)まで溶かしてしまうほどの高熱に驚きつつもアッシュは走る速度を緩めない。




「オラオラァ!

ボサッとするな!当たるまで打ち続けろ!

死んで動かなくなるまで矢をお見舞いしてやれぇ! 」


隊列の後ろからバルトが怒鳴る。




焚き付けられた兵士達は次々に矢をつがえアッシュに狙いを定めようと顔を上げた瞬間、アルフレッドが呟いた。



「火の玉だけだとお思いですか? 浅いですよ……

それは先程見せました。

何度も同じ手を使うわけ無いでしょう?」





敵の矢を溶かし尽くした火の玉は消えること無く飛び、そのままアッシュと敵の兵士の隊列の間の地面に着弾した。



派手な火柱や、爆発を起こすこと無く──ジュッ──

っと音がして火が消える。

その瞬間、地面から大量の水蒸気が沸き上がった。



アルフレッドの放った火の玉が次々と地面に着弾し、その度に真っ白な水蒸気が発生する。




大量の水蒸気は兵士達の視界を奪い、アッシュの姿を完璧に隠した。




アッシュの姿を見失ったことで、敵は焦り滅茶苦茶に乱射し始める。




「なっ、なにやってんだてめぇら!

さっさと仕留めねぇか!

おい、邪魔くさい煙幕なんか、風で吹き飛ばしちまえ!」



バルトも少し焦った様子で捲し立(まくした)てる。




「──'エ エアインパクト'──」



敵の兵士が、水蒸気を吹き飛ばそうと風の魔術を唱えるがアルフレッドは落ち着いた様子だ。



「ウーム……

やることが全て後手ですね、それではアッシュさんに自分の位置を教えているようなものですよ? 」




──ゴウッ──

っと突風が吹いて、水蒸気が吹き飛ばされる。

発動した風の魔術により視界は晴れたのだが、そこにアッシュの姿は無かった。




「なっ!!!

どこだ! どこへ消えやがった! 」



敵の兵士達はキョロキョロと慌てた様子で周りを見回すがアッシュは見つからない。




「ここだよ! 」




魔術が使える兵士がその声を聞いたときにはもう遅かった。 不意に頭上から声がして次の瞬間には頭上から大剣が振り下ろされる




水蒸気に身を隠し、高く飛び上がって上から奇襲をかけたアッシュは着地すると同時に大剣を振り下ろし、魔術を使う兵士の頭を兜ごとかち割った。



ゆっくりと倒れる兵士と狼狽える近衛兵

アルフレッドの作戦は見事に成功しアッシュ達の反撃が始まった。







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