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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
63/72

始動

観客席は大混乱だった。

ハイ・オークの登場、アルフレッド達の乱入と次々と起こる出来事に観客達は凝った演出だと勘違いをし盛り上がって大騒ぎをしていたのだが、目の前で観客席の一部が吹き飛んだことで演出ではないと気がついたのだろう。


 異常事態に巻き込まれては(たま)らないと言わんばかりに、皆一様(いちよう)に逃げ惑っている。




その、観客席の中最前列でトラブルを睨み付ける男が1人…


「クソッ!あのジジイなんてことしやがる!

ハイ・オーク捕まえるのにどれだけ苦労したと思ってんだ! アイツらが仲間同士だなんて聞いてねぇぞ!」




唇を噛みながら顔に火傷のある男、バルトがイライラした様子で呟く。



「まぁ、良い

まだまだ兵士はいる、目にもの見せてやるさ」


バルドは足元に寝かせてあった斧槍(ハルバード)を拾い上げ、観客席から飛び降りた。





────────────────────


闘技場内ではアッシュとアルフレッドが多くの兵士相手に大立ち回りを演じていた。



派手に登場して処刑を妨害したため、闘技場内のほぼ全ての兵士達が異常事態に気付き、大量の敵が集結してくる。



アッシュは持ち前の灰狼剣術を生かして、ソフィのいる(やぐら)に兵士を近付けないように多数の兵士を相手に戦っていた。


アルフレッドも炎の魔法生物【サラマンダー】の力を駆使して炎を(まと)って次々と敵を薙ぎ倒していく。



アルフレッドの言ったとおり、ダングフォートの街の兵士達は練度の低い者達が多く、王都の兵士に比べると士気も低い連中だった。

中には途中で逃げ出したり、怪我したフリをして戦線を離れる兵士もいるほど…



順調に敵の数を減らしていくアッシュとアルフレッドだったが、唐突に2人の周りの兵士達が一斉に引く。




「どけぃ!てめぇら!! この役立たず共が!

戦奴ごときになに手こずってやがる! 」



手には大型の斧槍(ハルバード)

顔に火傷の痕が残る男 バルトが上級の装備を纏った兵を従え、二人の前に姿を表した。




「戦奴ごときが図に乗りやがって、飼い犬は飼い犬らしく大人しくしやがれってんだ!

邪魔してくれた代償は高くつくぜぇ?

あの吊るされた女みたいに、たっぷり痛め付けてから殺してやるからなぁ! 覚悟しやがれ!」



バルトが言い終わる前に、敵に向かって走り出すアッシュ。

後ろでは、アルフレッドが静止していたが、アッシュの耳には届いて無かった。





─────少し前 闘技場外 木立の中─────


「帰って来た!ポックルだ」


木立の中で空を見上げるルナ達。

闘技大会当日に兵士達の目を逃れて闘技場に近づく為に身を隠しながら、少しでも情報を得ようとポックルを偵察に飛ばした所だった。


先日、奴隷の売買記録を見るために侵入した記録庫で兵士との間にトラブルがあったため目立つような行動は禁物だ。





フィリアの肩に留まるポックル。

脚には小さなメモが結んであり、アッシュからの短い伝言が添えられている。





「お疲れ様ポックル、ほらフードの中に隠れておいて」



お気に入りのフィリアのローブのフードに潜り込むポックル。




アッシュからの伝言は一言

~突入に備えろ、合図を待て~

のみであった。



「アッシュの奴は合図っちゅうの、どないするつもりやろか? 漠然としとってよーわからんな」



「うーん、メモには詳しい事は書かれてませんでしたからね……

その時になってみないと何とも……」




「だいたい、アイツ1人で大丈夫なんか?

闘技大会で勝ち残っとる保証もないし、手足がついて、動けるようになって日が浅いねんで?

こっちの仲間はせいぜい4人と1羽や」



「ジェイドさん!

デリカシーとか無いんですか! また、アドニス様に報告しちゃいますよ! 」

フィリアが慌てた様子でジェイドを黙らせ心配そうにルナの方にチラリと視線を送る。




「や……ちょい待ってや!

俺はただ、そんなつもりは無くてやな……

アッシュの奴を心配して────」


先の見えない作戦にジェイドは不安を隠せない様子だ。

先程から落ち着かない様子であちこちウロウロと歩き回っている。



そんな中ルナは一人、確信にも似た力強い眼差しで闘技場を見つめ応える。




「──大丈夫だよ。

アッシュは無事だ、それに必ずやり遂げる。 最初こそ私も反対したがそれでも彼はやると言いきったんだ。

だから、私は信じて待つよ。 ソフィもアッシュも生きている……」



拳を固く握り締めるルナ。

無意識の不安がそうさせるのか、それとも心の底からでた本音なのか、ルナ以外の二人にはわからなかったが、信じて待つという強い決意が見てとれた。





木立の中で合図を待ち続ける三人。

その瞬間は唐突に訪れるのであった。




陽も少し傾きかけた頃、闘技場内から響き渡る大歓声が一際大きくなった。

続いて、先程まで鳴り響いていた太鼓の音が止まる。




歓声というより、怒号や悲鳴混じりの野次が聞こえてきたかと思うと。

突如として目の前の闘技場の壁が爆炎と共に吹き飛んだ。




衝撃的な光景だった。

埃っぽい土煙や細かい瓦礫の破片から顔を守るために身を隠し、破片の雨が降り注ぐのが落ち着いてから顔をだすと、先程まで闘技場の外壁があった箇所に、まるでルナ達を呑み込まんとするかのようにぽっかりと大きな穴が空いていた。





「合図だ! 行こう!!」



意を決して、破壊された闘技場の壁の穴に向かって突撃する3人。


大混乱の最中、ソフィを助けるべく一同は闘技場に集結するのだった。

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