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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
55/72

闘技大会予選 1

「起きろ!! 」

ガンガンと鉄格子を衛兵が殴りつけうるさい金属音でアッシュは目を覚ます。


全く、乱暴な目覚ましだ……

昨夜は遅くまで牢屋の外を嗅ぎ回っていたせいで寝不足なんだ……


眠い目を擦りながらおきるアッシュだったが、衛兵はそんな事はお構いなしに()()()たてる。



「さっさとするんだ!

奴隷のくせして兵隊様より朝が遅いなど許さんぞ!

早く出ろ!! 」



朝からイラつく気持ちを抑えて牢屋を出る。

周りの牢屋からも続々と戦奴達が引っ立てられ闘技場の広い一室に集められた。



ソワソワと不安そうにする奴隷達の前に黒いフード付きのローブを目深にかぶった男が現れ、大きな声で話し始める。


「黙れ!! 今から、闘技大会予選の説明を行う。

一度しか言わんから良く聞け。


今から貴様らには闘技大会の予選を行ってもらう

ここにいる24人中、2日後の本選に選手としてでるのは4人

その内1人は既に決まっている。

残り3人の枠を争って貰おう。


対戦相手はこちらで既に決めた。

呼ばれたものは速やかに用意を整え、アリーナへ来い。

時間は無制限、どちらか死ぬまでだ。


本選にて優勝することができれば、闘技士(ファイター)として優遇、もしくは良い買い手が見つかるやもしれん

戦奴として身分を落とされた貴様らなどの命に価値など無いが、闘技大会で名を挙げる事ができれば、少しは金になるだろう。


生き残りたければ、貴様ら自信で自らに価値が有ることを証明することだ

以上だ、では始めろ!」



それだけ言ってフードの男は出ていく。

控え室から出ていく時、一瞬ではあったが、フードの下にの顔の皮膚に火傷の痕があるのが見えた。


アッシュは何となく違和感を感じながらも男の行方を目で追う。




「そんなに怖い顔してると、悪目立ちしますよ? 」


後ろから突然声をかけられ、驚いて振り返るアッシュ

そこにはアルフレッドが相変わらず静かな笑顔で立っていた。


「お、おおう、アルフ爺さん

びっくりした、そんなに怖い顔してたか俺? 」


「ええ、もうビリビリと殺気を感じるほどでしたよ。

やはり若いというのは良いですな、素直で勢いがあって、直情的。

微笑ましいものです」



「そりゃ、誉めてんのか(けな)してんのか…… 」



「それより、気を付けて下さいよ。

君には予選を勝ち残って貰わないと、ジジィとの約束も果たして貰わねばなりませんから」



「わかってるよ、それよりもこの状況について聞きたい。

なんだよ予選って? いつもこんなのあるのか? 」



「いいえ、今回は特別ですね

普段はこんなに多くの戦奴はいませんから……


君は先日、オルビア西部の街ドゥームで暴動が起きたのはご存知ですか? 」


「あ?ああ、何となく小耳に挟んだような気が……

成人式前の事だったよな? 」


「ええ、そうです

西部のランツベル辺境伯の私兵軍に王国軍も加わり、

騒ぎは4日程で鎮圧されたと聞いております。


ちょうど、そのもの達が逮捕され裁判が終わった頃なのでしょう

反逆者の行く末は戦奴だったという事なのでしょうね。

いつにも増して数が多い……

本選に出場する戦奴を減らしたかったのでしょう。


闘技大会にはだいたい、我々戦奴が4人一般参加の腕っぷし自慢が12人出場するのが通常です」



やけに詳しく説明をしてくれるアルフレッド

小声でそんな事を話していると、兵士に2人ほど奴隷が呼ばれ、泣き叫びながらアリーナの方へ連行されて行く。



「ふーん、じゃあさっきの奴が言っていた、本選に出れる3人ってのに勝ち残れば良いわけだな」



「ええ、そうです

見たところ何人か、腕の立つものも紛れているようですからお気をつけて」


「ご忠告どうも……

で、アルフ爺さんのお願いってのは? 」



「勿体ぶっても仕方ありませんね……

まぁ、君なら言わなくても、

薄々感付いていると思いますが、

早い話が、ここから出たいのですよ」



「ま、当然そうなるよな。

何となく予想はついてたよ。


ソフィの事も、闘技大会について色々教えてくれるのも納得だ。

けどよ、アルフ爺さんも俺らが今、どういう厄介ごとに巻き込まれているかは知らないわけじゃ無いよな?


成人式の直後まで王宮にいたならボールドウィン家の襲撃の事も知っている筈だ。

俺らを助けた事がバレたら、アンタも相当マズい事になると思うがそれでも良いのか? 」



「私は、既に戦奴に落とされているのですよ?

これ以上、厄介なことがありますか?

老人になってもゆっくり3時のお茶を飲めないなんて私には耐えられませんな。


それに比べたら、君に協力することなんて些細な厄介事ですよ」



「ああ、そうかい…

なら、契約成立だな」


「ええ、よろしくお願いしますね」



周りに怪しまれないよう、小さく握手を交わす2人。



「さて、じゃあ、何がなんでも勝ち残らないとな

アルフ爺さんも心配は無用だとおもうけど、頼んだぜ」



「いえ、私は本選まで見学させてもらいますよ」



「何言ってんだ?

そのうち出番が回ってくるだろう?

アンタの実力も個人的に興味があるんだ、楽しみだよ」



「いやいや、ですから私は本選まで戦いませんって」



「なんでだ?

アンタも戦奴なんだろう────」



「私は、前回優勝していますからね。

本選に既に内定してます、いわゆるシードという奴ですよ」



「────!!!!」




驚いた顔をして固まるアッシュ。

ちょうどそのとき、最初に連れられていった2人の戦いが終わったらしく、兵士が次の戦奴を呼ぶために部屋に入って来る。



「次! 11番とスコール商会の18番

出番だ!! 」



「おや?どうやらアッシュさん呼ばれたみたいですよ?

18番って君の事でしょう?

頑張ってくださいね。 応援してますよ」



呆気にとられ、ポカンとした驚きの表情を浮かべたまま、兵士に連れられアリーナへ向かうアッシュ。


ニコニコとした笑顔のまま、アルフレッドはそのアッシュの姿を見送るのだった。


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