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オルビア国物語  作者: バルカン
第1章
5/72

眠れない月夜に 1

_________眠れない…



早めにベッドに入ったのが良くなかったのか、

早く寝なければと思うほど、ルナはぱっちりと目が冴えてしまって、困っていた。



(こういう時に無理して寝ようとすると逆効果だ、ちょっとだけ夜風にでも当たろうか)



ごそごそとベッドからでて、部屋着から適当な服に着替える。

屋敷の裏手にある広い庭に出て、月を眺めていた。



(やっぱり頭がモヤモヤする…私としたことが、明日の事を自分が思っている以上に負担に感じてしまっているのだろうか??)



ルナが月を眺めながら考え事をしていると不意に声をかけられた。



「こんな時間にどうなされたのですか、お嬢様?」


「アッシュ・・・」


護衛騎士のアッシュだ。


「君こそ、こんな時間にどうした?

それに、その違和感しかないお嬢様呼びは止めて普段通り話してくれないか?」


「いえ、お嬢様相手にその様なことは……」


アッシュの口元がニヤついてる、恐らくふざけてるのだろう。


「もう! わかったから止めてくれよ、調子が狂うじゃないか」


「ハハハハ、悪かったよ

今ならメイド長も見てないしな、全く朝からまいったよ、ありゃあ鬼教師だぜ?」


そう、これが普段のアッシュだ。



短かめに整えられた銀髪に、少し日焼けした肌

背が高く、お調子者の一面もあるがどこか上品さも持っていてユーモラスな男である。

しかし、護衛騎士としての腕は確かでボールドウィン家の人間からは信頼されており、ルナの剣術指南役も兼ねている。


ルナとは同い年で11歳のころから屋敷で共に育ってきたためまるで、友人のような話し方をしているが他の貴族や客人がいるような大事な場面では護衛らしく立ち振舞ってくれるので、屋敷の人間はあまり気にしていない。



そもそも、オーウェンが貴族の慣例や礼儀を重んじる当主ではないからだ。


「全く、片言の敬語で朝から笑わせてもらったよ

で、どうして君はこんな時間に私についてきてるんだい?」


「オイ、冗談言うなよ

護衛対象が夜中に部屋をでてウロチョロされたら、ついていかないわけにはいかないだろう」



「全く、君は私の保護者みたいなことを…」



「で、ルナこそこんな時間にどうしたんだ?

そんなに明日の成人式が嫌なのか?」



「なっ……そんな事君には一言も言ってないだろう?」



「顔にハッキリとイヤだって書いてあるんだよ」



「………ふぅ、君には隠し事もできないのか

………少しだけ、付き合ってくれるかな? 」



「ご希望とあらば、いくらでも」


______ヒュッ!

______パシッ!


「うん?」


不意にルナから投げられる木剣

アッシュはそれをキャッチして首をかしげる。



「おいおい、悩める乙女の相談コーナーじゃないのかよ?」



「いいや、私はそんな事ひとことも言っていないよ?

気分転換がしたいんだ、私が話をしたくなるまで、打ち合いの相手になってもらおう」


「まったく、困ったお嬢様だぜ………」




アッシュはやれやれといった雰囲気で木剣を構える、対してルナは先端に布を巻き付けた訓練用の木槍を持って構えていた。


「いくぞ!」


ルナが槍を構えて駆け出す。

それに対して、アッシュは中段に剣を構えるだけで動かない。



アッシュが槍の射程に入る一歩手前で、ルナはガクンと体勢を落として可能な限り姿勢を低くした、と同時に今までの助走よりも一層強く踏み込んでアッシュが迎え撃つタイミングをズラす。


左の脇腹を狙って突きを繰り出す


アッシュはその突きを半身だけ体を引いてかわし、

突きを放つために伸びきったルナの脚を狙って剣を横薙ぎに振るう。


ここまではルナの想定内


伸びた足先で器用に跳躍し体を1回転させ、下段の横薙ぎを放ったせいで姿勢が低くなったアッシュを飛び越える、と同時にがら空きになったアッシュの背中目掛けて2連続で突きを繰り出した。



完璧なタイミングの攻撃だった、当たると思ったのも束の間、アッシュは背中側に剣を回して槍先を弾かれてしまった。



(やはり、この程度の陽動にはかかってくれないか…)



着地して構え直そうと思った瞬間、今度はアッシュが踏み込んでくる。


(は…速い……)


アッシュは既に槍の射程の更に内側まで迫ってきていた。


「着地後は狙われやすいっていつも教えてるだろ?

地面から足を離すのは、着地後の隙を消す想定ができてない内は悪手だぜ!」



袈裟懸けに振り下ろされた剣を槍の柄で受ける。

が、打ち込みがあまりに弱い。


(しまった…)


一撃目が陽動だとルナが気がついた時にはアッシュに思い切り距離を詰められ脚を掛けられてしまった。



押し込んでくるアッシュの勢いに負け、重心が後ろに倒れそうになるところを踏ん張ろうとするが、アッシュに掛けられた脚で耐えれるはずもなく、転んでしまう。



後ろ向きに倒れながらも、ルナは槍の石突きを突き出し、牽制をかける。


しかし、肝心の体勢の方は崩れており、背中から地面に叩き付けられる寸前だった。





だがしかし、地面ギリギリの所で、ルナが倒れるスピードが異様なまでに遅くなり。

結局、倒れることは無かった。

さらにはそのまま、脚を跳ね上げて後転しアッシュから距離をとる。


一呼吸おいて、何事もなかったかのように構え直した。

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