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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
46/72

土人形の核

____ゴゥン ゴゥン ゴゥン


「う……うぅ…」


(どうして私は気を失っているんだ……

頭が痛い……このうるさい音は……

フィリア……ジェイド……)


____ゴゥン ゴゥン


教会の鐘が鳴るような音が辺りに響き

失神したルナの意識を少しずつ呼び覚ます。


(私は……何故ここに……

土人形(ゴーレム)を……………………そうだ、土人形(ゴーレム)……


フィリア! ジェイド! )



「____!!」


痛む頭をさすりながら目をあける

無理矢理にでも体を起こし周囲の状況を確認する


幸い、土人形(ゴーレム)の拳の一撃を喰らった際に

シルフの力で吹き飛ばされる威力を弱めていたため

軽い脳震盪(のうしんとう)程度で済んだようだ。


土人形(ゴーレム)は! ジェイドとフィリアはどうなった? 」


近くに落ちていた剣槍を拾い上げ、辺りを見渡す。


「あ! あれは!? 」

近くの壁際に、土人形とフィリアの姿を発見し

急いで、フィリアの元へ走って近づいて行くと

ルナの目に飛び込んできたのは不思議な光景だった。


土人形(ゴーレム)の足がドンドンと短くなっていく。

見ると、敵の足元を真っ黒な炎が覆い尽くし土人形を燃やしていた。

黒い炎に覆われた箇所は(ちり)となり、巨大な土人形の体をものすごい速度で削りとっていた。

先程まで暴れていた土人形も黒い炎が胴体に達した瞬間に動かなくなった。

恐らく、倒したのだろう…


敵の背後で杖を掲げるフィリア、その表情は虚ろで眼には生気が感じられず、ルナの方を見向きもしない。

足元には、古代語で書かれた魔法陣が広がっていた。



ジェイドは土人形の近くに倒れていた。

見たところ意識は無いようだが、小さく呻いて胸が上下しているため呼吸はしているようだ。


「フィリア? フィリア! 」


ルナが呼びかけても反応が無い…



「フィリア!!

しっかりしてくれ! 聞こえないのか?

フィリア!!

敵はもう倒した、戻ってきてくれフィリア! 」



肩を掴んで揺さぶる。


「えっ? 」


突然、フィリアが気の抜けたような返事をした。

目をパチクリさせ、瞬きをする。

キョトンとした顔をしてルナと見つめ合うような体勢になっているのに、驚きを隠せないようだ。



「あれ? ルナさん……

大丈夫なんですか? 土人形(ゴーレム)は……


_____ッ!!!

ジェイドさんっ!? 」



突然、思い出したように辺りを警戒するフィリア

ルナはそんなフィリアに落ち着かせようと状況を説明した。



「落ち着くんだフィリア

敵はもうやっつけたよ……

ジェイドも生きている……

だからそんなに慌てないでくれ」



フィリアはほっと一呼吸おいて安堵の表情を見せる。


「ふぅ、そうだったんですか……

良かったです、てっきり私皆死んじゃうんじゃ無いかって怖くなっちゃって取り乱しちゃいました…

それにしてもスゴいですね、ルナさんは

土人形をどうやってやっつけたんですか? 」



「____?

変な事を聞くようだがフィリア?

何も覚えてないのか? 」


「え? 何の話ですか? 」


「土人形を倒したのは君じゃないか…

確かにいつもと様子が違ったが、私は気を失っていただけだ…

あれをやっつけたのは間違いなく、君の魔術だったと思うんだけど…… 」



「そ、そんな……私は何もしてませんよ?

私だって、記憶なくて………………あれ? 」

必死に思い出そうとするが、思い出せない。


(なんだっけ? 誰かとお喋りしたような気がするけど…

うーん、思い出せないや……)



____パン!


と当然2人の背後から音がする。

警戒して急いで振り返ると、土人形の残骸が割れる音だった。


土人形は体の殆どが塵となって崩れ、残った胸から上の残骸には縦にヒビが入っている。

先程ルナが見かけた黒い炎は既に消え、更には鐘の鳴るような低音も鳴り止んでいた。


____パン!!


更に音がして、土人形の体の亀裂が広がり、頭から胸までほぼ真っ二つに割れてしまった。

突然の事に驚いて、武器を構えた2人だったがほっと一息胸を撫で下ろす。


「私は、ジェイドさんの様子を見てきますね! 」


フィリアはそう言って、ひっくり返っているジェイドの元に近寄る


敵の残骸を注意深く観察するルナ

すると、胸の亀裂の中からキラキラと輝く水色の宝石のような物が顔を出していることに気がついた。



「あ…あれは!? 」


急いで残骸の元に駆け寄るルナ

少し興奮した様子で土人形を数回つついて、動かないのを確認してから胸の亀裂の中に手を入れてみた。


間違いなく、何かがある。


指の先に触れる、ひんやりとした物体を掴み

手を引き抜く


ルナの手には、キラキラと水色に輝く大きな石のような物が握られている。

触った質感はツルツルとしていて硬く、まるで宝石のような見た目をしているが、時折ルナの手の中で

__トクン__


と小さく脈を打つ


間違いない!

これが土人形の核だ!!



「フィリア!! ジェイド!!

見つけた! 見つけたよ!!!」


嬉しくなって、思わず2人の元へ駆け出す。

ジェイドもどうやら、目を覚ましたようだ。


「無事か? ジェイド? 」


「あぁ、何とかな……

ギリギリやったで……肋がちょこっとイッてまっとるかもしれへんけど生きとるわ…… 」


「無事で良かったよ!


2人とも、コレを見てくれ!

土人形(ゴーレム)の核を見つけたかもしれない」



「おぉ!あったんか?」

「うわぁ、綺麗」



2人とも喜ばしい反応を見せ、恐らくお目当ての物を手に入れただろうという結論がでた所でジェイドが洞窟の異変に気がついた。


「なんや、変な音せんか? 」



確かに、遠くでガラガラと重苦しい音が響き、頭上からパラパラと小石が振ってくる。


土人形との戦いで派手に暴れすぎたのか

広い洞窟の奥のほうから崩れるような音が聞こえてきた。


「確かに…

どうやら長居は無用の様だ、崩れる前に脱出するとしよう 」



3人は、急いで走り出す。

ジェイドは痛そうに脇腹を押さえていたが、ルナとフィリアの手助けを借り何とか、洞窟の入口までたどり着くことが出来た。



_____ズズン!!!!!____




大きな音がして、洞窟の入口の縦穴が潰れ土煙が舞い上がる。

3人は肩で息をしながら、洞窟の外でその光景を見ていた。

ゴーレム


土の魔力の影響を濃く受けた魔物

巨大な図体に頑丈な体

その体は頑丈さゆえに並大抵の攻撃では傷をつけることすら叶わず

魔術の類いを跳ね返す体を持っているため

基本的には魔術士が戦いを挑んではいけないとされている


頑丈な体はゴーレムにとってただの鎧であり

本体は胸の奥に埋まっている核


核を中心として岩等の固い無機物を寄せ集めて体を形成し戦闘を行う


核を破壊しないと永遠に生き続けいつかは復活するが

体を形成するのに膨大な魔力を使用しており

1度破壊されると再度体を作るまでに長い時間を要する


魔物のスペシャリストである傭兵達の中でも討伐した者は少なく故に情報があまり出回っていない

謎多き危険な魔物である

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