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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
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土人形

ルナとジェイドは土人形(ゴーレム)に向かって行き、フィリアは魔力を練り始める。


「集中放火で一気に叩くで! まずは脚や!! 」


幸い、土人形は図体が大きいぶん動きが鈍い。

足元に入り込むのは容易だった。


人間で言えば膝にあたる稼働部を狙い

まずはルナがシルフの力を纏って先制する。

__ガキィィィン__

続いてジェイドが鎚を大きく振りかぶり同じ箇所を強打

__ガキィィィン__


手のひらがビリビリと震え、ジンジンと痛みが伝わって来る。



2人の攻撃は土人形に傷一つつけることはなかった…


「か、硬すぎる…」


「お二人とも離れて! 穿て'バレットスプラッシュ アシェット(連弾)'」


複数の高圧の水弾が一斉に放たれ、土人形の膝に直撃する…




筈だった…


フィリアの魔術は土人形の体表で弾かれ威力を失うこと無くそのままに、あらゆる方向に乱反射する。


「のわっ!」

「うわっ!」


予想外の結果に不意をつかれ

反応が遅れたジェイドとルナにフィリアの魔術が襲い掛かる。


戦鎚で魔術を防ぐジェイド

大きく後ろに跳躍して距離を取ろうとするルナ


ジャンプで上に逃げ、態勢を立て直すため正面に顔を向けたルナの視界に飛び込んできたのは目前に迫る土人形の巨大な拳だった。


__ゴッ!!

__ズダァァァン!!


土人形の拳を喰らい、吹き飛ばされる

部屋の端の岩壁に叩き付けられルナの意識はそこで途絶えた…



「ルナさんっ!! 」


ルナが弾き飛ばされた所まで、フィリアは走る。


「大丈夫ですか!? ルナさんっ! 」


返事は無い…

「うぅ…」と小さく呻いている声が聞こえたため、生きているのは確認できるが頭から一筋血を流し

頭を打ったのか、意識はとんでいるようだった…



(どうして?)

フィリアは困惑していた


魔術の行使に必要な過程は間違ってない筈だ…

打ち出した時の手応えもいつも通り

なのに何故?


何があったのか全く理解が追い付かないまま

ジェイドと土人形の方に顔を向ける


「ジェイドさんっ! ルナさんがっ! 」


大きな声で呼びかけるが、ジェイドは反応する余裕がなかった。


何度、鎚を打ち付けても土人形にダメージが通っている様子は無い

それどころか、ゆっくりとした動きで徐々に壁際まで追い詰められつつあった。


「こうなったら… 」



フィリアは土人形の真後ろに陣取り詠唱を始める


「来たれ炎蹄(えんてい) 大地を駆け 万物を焼き尽くす轟炎の(いなな)きよ 猛り荒ぶる怒りを放ち 灰塵(かいじん)舞い散る景色を我に見せよ

''ディアブロ ストーク ボルケニオン''」



フィリアの杖先から巨大な火球が放たれる

その熱量は(はかり)知れず、火球が通った後の地面は溶け、溶岩の川のように一筋の軌跡を残した


一直線に敵に向かって行く火球はさながら太陽のよう…




フィリアの魔術が土人形の背中に直撃する

土人形を溶け崩すつもりで放った魔術はダメージを与えること無く、再び反射され、反対側の岩壁に直撃し爆発する。



「そんな! どうして!? 」


ゴーレムが手を足元の地面に叩きつけ、何かを掴み上げる。

巨大な手の中にはジェイドが掴まれギリギリと締め上げられていた…



「ジェイドさんっ! 」


「フィ……フィリア…… 逃げろ……

コイツには敵わん……今のうちルナを連れて……早よ…… 」


「そんな! イヤですっ! 」


杖を構え'ストームカッター'を土人形の腕に向かって放つ

案の定、風の魔術も土人形に弾かれフィリアの元に帰って来た


____ズバッッ!


「あうっっっ!」


肩口と太ももが切り裂かれ、血飛沫が飛ぶ



「よせ… コイツに魔術は効かへん……

魔術師が戦ったらアカンのはこういうこっちゃ……

ええから、早よ…… 逃げ……」


苦しそうな表情のままジェイドも意識を手放す


やけくそに魔術を放つが、いたずらにフィリアの体に傷を増やすだけだった。


(そんな……こんなことって…… 私、何もできないの?

魔術の修行だってあんなに頑張ったのに

大事な時に仲間を守れないなんて………


嫌………………………


嫌………………………


嫌………………………


嫌ぁぁぁぁ!!!!)



絶望し目の前の悲劇に耐えきれず目をつぶるフィリア

暗闇のなか突然、何者か彼女に語りかける声が聞こえた




「何をしておる?

その程度の弱き者相手に… 力を使えば良かろう?」


(力……? なに……? あなたは…だれ……?)


「誰かだと?

お前にはまだ私の声が届かんのか?

何度呼びかければ聞こえるのだ?、■■■■■だ! 」


(だれ……? わからないよ……)


「やれやれ……嘆かわしい……

私の加護を受けておきながら、自覚も無いとは……


しかし、今まではこの会話もできなんだ

牛歩(ぎゅうほ)ではあるが、これは進歩と捉え、我の力の一端を貸してやろう

少し、体を借りるぞ……」



(やだ…… やめて…… そんなことより…… 2人を…… )



フィリアの意識はここで途絶えた。


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