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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
44/72

岩屋堂 4

ルナ達は既に結構な数の魔物達に囲まれている。

足音の数からするに、相当数いるようだ


「気を付けや…来るで…」


魔物達はカタカタと体を震わせ一斉に飛びかかってくる。

3人は集中的に狙われるのを防ぐために離散し、囲まれないように走り回る。



ジェイドは武器を振りかぶり、鎚の部分を使って次々と敵を叩き潰していく。

土でできているであろう体は打撃に弱く、一撃でバラバラに砕け散っていた。

「コイツら、数だけで大したこと無いで!」



ルナは敵の体のひび割れた部分を的確に狙って鋭く剣槍を突き立てる。

小さなヒビが剣槍によって押し広げられ、

腕や足が根元からボキッと折れて次々と倒れていった。


フィリアはひたすらに敵から逃げ、同時に体内で魔力を練り込む。

ジェイドやルナの戦い方を見て、敵の弱点は充分に理解が出来た。


正面に立ち塞がってきた敵の頭を「えいっ!」と杖で殴り付け、ベコッと凹ませた所で必要な魔力の精製が終わる。


「御二人とも、壁際に退避してください!

おっきいやついきますっ!」


ルナとジェイドは素早く反応し、壁際ギリギリまで待避して壁際にある手頃な岩の陰に身を隠す。


フィリアはドーム状の空間の中心目掛けて杖を構え叫んだ


「目覚めよ 全てを包みたる母なる大地

悠久の時を刻む 静かなる傍観者よ

今ここに姿を表し 汝の慈悲の心を持って 我が呼び掛けに答えよ


'ストーンクエイク.エル.ディレクション'」



大きな音がして地面が割れ、岩の柱が無数に飛び出した。

先の尖った岩に体を砕かれる個体や

斜めに飛び出してきた岩同士に挟まれ、砕け散る奴も多くいる。


部屋の真ん中から円を描くように魔術は広がり

端っこのルナやジェイド達のいる場所の手前までで止まる。




ものすごい威力だ。

舞い上がったホコリで視界が悪くしっかりと確認はできていないが

おそらく、殆どの魔物がフィリアの魔術にやられただろう

先程のように跳び跳ねるような足音は聞こえなくなった上に

土煙の中を動く影も見当たらない。


土煙が晴れると元から生気のない不細工な顔立ちの人形の破片が至るところに散らばっていた。



「ふぅ、お二人ともご無事ですか? 」


呼び掛けると、岩影からルナとジェイドそれぞれ出てくる。


「ふぅいー、相変わらずデタラメなパワーしとんな

こっちはモウマンタイやで」


「私も大丈夫だ!

全くもって、フィリアには驚かされる…

でも助かったよ、ありがとう」


「大したことありませんよ、ちょこっと練習すればコレくらいは誰でも…

それより、早いとこゴーレムの核を見つけてしまいましょう? 」


3人は一応辺りも警戒しつつ、魔物の残骸を漁り始める


聞いた話では、胸の奥に埋め込まれているとの事だが、

手分けしてしばらく探しても

それらしい物は特に見つからなかった。


「それらしい物は…見当たらへんなぁ…」

「そうですね…せめてどんな見た目かわかると良いんですが…」


「アッシュは一目見ればわかるみたいな事言うとったけど、コレでは(らち)がアカンで…」


「そんな…そんな…

どうしても必要なんだ…アッシュが動けるように…どうしても…」


ルナは焦り始めていた。



「ルナ、そろそろ…」

「待ってくれ!

もう少しだけ………


あの残骸の山だけ、調べさせてくれ! 」



「え?」「うん?」

この時ジェイドとフィリアは違和感を覚えた…


先程の魔物は大半をフィリアが魔法で倒しており

敵を一ヶ所に集めるような事はしていない。


敵の残骸を調べる際もその場で行い

各個がバラバラに散らばって土人形の核を探していた。


だが、フィリアとジェイドが振り返ると確かにそこには敵の残骸が集められ、山積みになっている。


焦りからか、ルナはこの違和感に気がつくこと無く、小走りで近づいて行ってしまうのだが…


___ドクン

と小さく波打つような鼓動がして、魔物の残骸の山が動いたような気がした…



「ルナさん! 危ない!! 」


「え? 」







________ガラガラガラ!!


洞窟内に響き渡る大きな音

敵の残骸の山が更に隆起し、中から巨大な腕のような物が出て来る。


続いてもう一本

両腕を地面に激しく叩きつけ、衝撃がルナを襲う。



「_______ウッ!」



砕けた岩の破片と共に吹き飛ばされ、ジェイドとフィリアの方に戻されしまう。


「ルナさん!

大丈夫ですか? 」


ルナに駆け寄るフィリア

「あ、あぁ何とか…

どうなっているんだこれは…」



「2人とも、大丈夫やなくても無理して立ってや…

本命のお出ましやで……」


3人が視線を向ける先には、巨大な腕

先程倒した魔物の破片同士が繋ぎ合わさり、巨大な腕の付け根の方に吸い寄せられて行く。


巨大な腕は破片を繋ぎ、次々と体が出来上がって残骸の山から姿を表す。


角張った四角いフォルムに部屋の天井に届きそうなほど巨大な図体

体に対して小さすぎる頭がちょこんと体に乗り

頭の真ん中にはT字型の溝

その溝の中には水色の目玉のような物が一つ

ルナ達を見下ろしていた



「恐らく、コイツが本命の土人形(ゴーレム)

土の魔力が体から溢れだしとる……

気合い入れていかんとヤバイで……」



土人形(ゴーレム)は魔物の残骸を全て吸い上げ、体が完成すると同時に歩き出しこちらに向かって来る

動きは遅いが、一歩踏み出す毎に地響きが鳴り

その巨体から放たれる重圧に圧倒された



「ボーッとしとる場合や無い!

行くで!! 」


3人は、戦闘態勢を整え巨大な土人形(ゴーレム)に向かって行く。

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