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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
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小会議

昼下がり

ルナは布団で目を覚ます。


いい匂いがする…

お腹が空いてきた


寝室を出て、キッチンの方へ歩いていくと

机いっぱいにたっぷりと食事が用意されていた。


思えば、久しぶりの食事だ

寝室に籠っていた間は全く食事をとっていなかったため、お腹の虫がぐうぐうと鳴りまくり

思わず、手を伸ばす。



___パクっ!

「ッッ!!!美味しいっ♪ 」



あまりの空腹に耐えきれず、無我夢中で食べる


卵焼きに焼き魚 塩漬けの豚肉に焼いたキノコ

あまりに、食事に夢中になりすぎ寝所の扉が空いた音にも気がつかなかった。



「元気になったみたいですね!良かった! 」



背後から突如として声をかけられビクッと

肩を震わせ振り返る。



そこには、ニッコリと満面の笑みを浮かべている

仲間達がいた。



「みんな…」


「ルナさん!

元気になって良かったです!

心配したんですからね! 」


「全くだ、まぁでもどうやらちょっとは前を向いてくれたみたいで一安心だな 」


とアッシュとフィリア


ズイとジェイドが前に出て来て、なんだかモゴモゴ言っている…


「ジェイドさん!

約束ですよ、ちゃんと自分の口で言ってください」



「わ…解っとるわぃ… 」

気まずそうにこちらを見たり、目をそらしたり

オロオロと目が泳いでいるがやがて何か決心したように表情を変え

いきなりバッと頭を下げてきた。



「スマン!!

ジョー・ドルイドの街を出た日の夜

酷いこと言ってしもうた


まぁ、なんや俺もいじけとったっちゅうか

八つ当たりしてもうたと言うか…

余裕無い所見せてしもうた


アドニス姐さんに着いてけんかって焦っとったんや

この通りや

堪忍したってや」



「ジェイド…頭をあげてくれ

謝るのはこちらの方だ


せっかく君達やアドニス様が必死に逃がしてくれたのに私は…


反省しているよ

私こそ、周りが全然見えていなかった


本当にすまない

そして、ありがとう」



互いに頭を下げ

全員がスッキリとした所で、今後の事について話し合いが始まった。



「とりあえずや、アドニス姐さんとは連絡がついた

傭兵の奴らも皆無事らしいわ


しばらくは、里と連絡とりつつ潜伏を続ける言うとったな」



「ジェイドとフィリアはこの後どうするのだろうか?

私達とは別れて、アドニス様に合流を? 」



「いえ、私達もしばらくはルナさん達についていこうと思います

アドニス様達の潜伏場所は万が一の事を考えて、詳細は言えないらしくて…

アドニス様からの手紙にも、助けてやってほしいと書いてありましたし

なんだかお二人を放っておけなくて…」




「となると、俺らがやるべきは襲って来た連中について整理する事か…

なぜ、ルナを付け狙う?

アドニスが囮で兵隊を引き付けたのにも関わらず、居所を突き止めて来たんだ。


屋敷を襲う手際の良さや全ての罪をアドニスに被せる手口、こちらを襲う手筈もその辺の小物の殺し屋やチンピラの類いって訳じゃ無いだろう


とりあえずは敵にこっちの情報はバレてると思った方が良いな」



「蠍の刺青………」



「ん? 」



「いや、私を襲って来た連中

手の甲に蠍の刺青が入っていたんだ


屋敷でアッシュの腕を切り裂いた男も魔物使いの男も

手の甲に黒い蠍の刺青が入っていた」



「ちゅー事は、敵さんはそれなりにデカイ組織ってことやろうな…

どれ程の連中かはわかれへんけど、里長に頼んで調べて貰えばええんちゃうか? 」


「良いのだろうか?

そんな事頼んでも… 」


「玉藻様は協力してくれると思いますよ

ルナさんも1度挨拶に行った方がいいと思います」


「そうだな、助けて頂いたお礼も碌にできてない

挨拶にはすぐに行くとしよう




その他にもやるべき事は山ほどある

お姉さまや父上も、今頃どうしているのだろうか… 」




「・・・・」

ほんの少し目線を逸らすアッシュ



「アッシュさんの手足も、動けるようにしないとですね! 」


「ん? あぁ

そ、そうだな!


このままで戦うのはちょいキツいからな

なるべく早く'核'が要るな」


「すまない、何の話かな?

ついていけてなくて申し訳ないのだが…」



その後も話し合いが続き、当面の目的が固まりつつあった


1.ルナを襲う連中の正体と目的の調査

2.ボールドウィン家の安否と居所の調査

3.アッシュの義肢が動くように'核'を手に入れる



____________________



「この里のカラクリ師ってのに自由自在に操れる手足を作ってくれって頼んだんだ


際どい手術だったが、なんとか手足が付けれるようにして貰ったよ


そのカラクリ師の話では、この手足は里に伝わる秘伝の技術と土の魔法を掛け合わせて造られた

'器'らしいんだが、肝心の中身が入っていないんだとよ…


そこで必要になるのが土人形(ゴーレム)の核と言っていた

土人形(ゴーレム)の体の奥に埋め込まれている核を義肢に融合させる事で俺の意思に反応して、自由自在に手足が動くようになる!

…………らしいぜ? 」



「なんや、聞いてもサッパリ解らへんな?

魔女っこフィリアはどや? 」


「うーん、理論的には説明がつかないことも無いですがなんとも…

ホントにそんな事ができるんでしょうか? 」



フィリアとジェイドの頭には?が浮かんでいるが

ルナが口を開く


「私が言えたことでは無いが、

悩んでいても仕方ないさ、可能性があるならやってみよう


それに、アッシュはもうそれに賭けたんだろう?

勇気の要る決断だったと思う

私も主人としてアッシュの決断には応えなければ」


「おお?

格好いいこと言ってくれるなぁ」



なんだかルナはニヤニヤしている。


「いや、過酷な運命を共にすると宣言してくれたんだ


動けるようになったら

徹底的に働いて貰うつもりだよ

それこそ、ボロ雑巾になるくらいまで使い潰してやらないと___」


「___勘弁してくれよ!! 」



和やかな雰囲気を取り戻し

前を向くことができたルナ


一向の当面の目的も決まり、改めて里長の元に向かうのであった。





東人の霞里


オルビア南西

安寧の森の中にひっそりと存在する隠れ里


年中深い霧に覆われ、常人が立ち入ることは不可能とされている。

里長玉藻の力により長年守られて来た里は現在アドニスと協力関係である。


一見平和そうに見える里は凄惨な戦いの歴史で塗り固められており強力な'忍'部隊を多く抱えている

また、諜報活動に優れた者が多く世界中に諜報員が潜伏していると言われているが、正確な数は里長以外知る術は無い


かつて、極東の島国より海を渡って来た先祖達は何を求めてこの地に根付いたのか?

戦いか 平和か 繁栄か


いまとなってはそれを知る術もなく

この国の人間にとっては未開の技術と閉鎖的な文化を守って暮らし続けている。

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