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オルビア国物語  作者: バルカン
第1章
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成人式前日

_____バタン!

「おはよう、お父様」

食堂の扉が開かれルナがあいさつする。



「あぁルナ、おはよう」

スラッとした細身で綺麗な服装に身を包み、メガネをかけた

いかにもインテリ風の男が答える。


この男性が、現在のボールドウィン家当主



オーウェン・ボールドウィン



現在のオルビア国王であるギデオン王とは親戚にあたる人物なのだが、権力や地位というものに全く興味がない。


噂では

「考古学の研究をするのに好き勝手できる地位と金があれば良いから、政治や権力の下らん争いに私を巻き込むな」


といって王宮を飛び出してきてしまった、いわゆる変わり者という奴である。



「ルナ、明日の式典の案内が届いていたぞ」



「う…やはり、行かないとダメですか…」



「仕方ないだろう?

新しく成人を迎える貴族は全員出席せよとのお達しが出てるんだ、さすがの私でもこれはちょっと断れそうにないな…

主催者が国王なら料理は豪華なものがでるだろうから、食べたいものだけ食べて終わったらさっさと帰ってきたら良いよ」



「しかし、他の貴族が放っておいてはくれないでしょう?

それにリチャード王子の噂の事も気になりますし…」



明日はオルビア国主催で行われる成人の儀式の日

毎年行われているが

今年はギデオン王国の第1王子


リチャード王子


が成人を迎える為、今年は特別な式典が開かれる予定だ。




貴族出身の新成人が王宮に招かれ、大広間で豪華な食事会が開かれるのだが、これは単なる食事会ではない。



貴族の子供が成人するということは、国内外に公として家名を背負って立つ年齢に達したと認められることである。



オルビア国において、貴族同士の結び付きというのは非常に重要であり、自分はどの派閥に属するかというのを見誤ると大変な事になる。



大人と認められたばかりの新成人とてそれは変わらない。

皆、自分の家名と地位と利益を守ることが最優先で、

その貴族同士の戦いというのが、こういった大規模なパーティで陰ながら行われる。


さしずめ、新成人同士による派閥争い 第1回戦といったところだろうか…



父親譲りなのだろう、ルナはそういった付き合いや争いは苦手なのだ。



加えて、変な噂も囁かれていた。


『リチャード王子が花嫁を決めるらしい』



以前より、リチャード王子の花嫁候補として噂されてきたのは3名



王国軍 軍団長の娘 マーガレット・ハウエル



ランバラード大商会の娘 キャサリン・ランバラード



そして、ルナ・ボールドウィン



ルナは3名の中でも最有力候補だと言われている。

しかし、ルナ本人は花嫁候補になぜ自分が入っているのか全く理解ができなかった。


そもそも、父親はルナが生まれる前に王宮を飛び出してきているし、リチャード王子なんて幼い頃に何度が遠巻きに見かけたことがあるくらいだ。



なぜ自分に?

それも王宮を飛び出したはみ出し者のボールドウィン家の人間を?

考えれば考える程わからなかったが、先日王宮より



『成人式典の食事会の最中に時間を開けておくように』



という、短いメッセージが書かれた手紙が届いていた。

リチャード王子が書いたものか、定かではないがルナは嫌な予感しかしなかったのだ。



「噂なんていちいち気にしていたら、王都で貴族なんかやってられないよ?

ルナもボールドウィン家の人間ならはっきりと王子様に、好みのタイプじゃないって言ってやればいいじゃないか?」



「もぅ、無茶苦茶言わないでください。相手は王族です、言えませんよそんな事」




_____コンコン!!


無茶苦茶なことをいう父親に振り回されながらも反論しようとした矢先に食堂のドアがノックされる。



「失礼いたします」

「し し 失礼…いたします」



扉が開かれ、そこには老年ながらもキリッと美しいメイド長とルナの専属護衛騎士であるアッシュが顔を赤くしながら立っていた。



「お お食事中、大変失礼いたしますオーウェン様

ル ルナお嬢様の成人式用のドレスが…届きますた」



ブゥッと吹き出す声が聞こえてオーウェンが笑い出す。



「ハッハッハッハハハハッ

どうしたのアッシュ?

そんな言葉遣いできるような子じゃないでしょ?

慣れない話し方だと、変に聞こえるよ」



赤い顔をしながらアッシュが答える

「い、いや……これは……その……メイド長が」


「旦那様!!

いけませんよ、あまやかしては。


この子もボールドウィン家に使える者!

旦那様達とお付き合いが長いのは重々承知ですが、あくまで、使用人!


明日はルナお嬢様の護衛として、貴族のパーティに参加するのです。


貴族に使える騎士が言葉遣いも知らないとなっては、ボールドウィン家の名前が地に堕ちてしまいます、屋敷を預かるメイド長として、断じてそんな事は許しません」




メイド長は過去に王宮勤めの経験もあり、貴族同士の作法や、上品な振る舞いについても詳しい。

マナー講師として王族が子供の教育のために雇うほどだ。

そんなメイド長にアッシュは朝からスパルタ指導を受けたのであろう。



背が高く、筋肉質で研ぎ澄まされた肉体をもつはずのアッシュがなぜか老年のメイド長よりも小さく見えた。







その日のルナは、成人式用に届いたドレスを実際に着て仕上がりを確認をするのと、部屋での読書

ルナ宛に届いていた手紙の返信等に費やし、寝不足解消の為にいつもより早めに床についた。

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