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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
37/72

悲嘆の朝

____朝

静かな森のざわめき 小鳥のさえずり

キラキラと朝露が陽のひかりを受けて輝くなかフィリアは目を覚まし、神秘的な朝の空気を体いっぱいに感じていた。



爽やかな朝の様相とは裏腹にフィリアの心はどんよりとしている。



「はぁ、ルナさん…大丈夫かな?」




昨日のルナの憔悴具合は、見ていて心が痛んだ。

彼女達と一緒に旅をしたのはほんの数日だ

お互いの事など、殆ど知らないと言っても過言ではないだろう。



それでも、少ない会話の中でルナがとても芯の強い女性であり

アッシュの事をとても信頼してるのははっきりと伝わってきていた。



それだけに、アッシュの怪我が治らないと聞いたときのショックは大きかったのだろう。

正直、アッシュの手足が治らないというのはフィリアも驚いた。



癒術の知識を十分持ち合わせているわけでは無いがそれでも、大体の怪我は本人が死亡していない限り治るものだと思っていた。

この世界では癒術を使える人間は大変数が少なく、その数少ない癒術士はほぼ全て教会が囲ってしまっている。



その為、一般の人間は癒術に対する知識が浅く

触れる機会も少ない


大怪我した時や病や毒に侵されたときに、教会に莫大な金を払って助けて貰う位だ。

だから里の薬師が癒術を使えると聞いた時、驚いたと同時にほっとしたのだがどうやら、そう都合良くはいかないらしい。



昨夜はかごめと協力してルナを寝所に運び込み介抱していたのだが、うなされるように時折小さな声で「アッシュ…」と呟いていた。



深夜も気づかないフリをしていたが、ルナが静かに泣いているのを聞いてしまっている。



「はぁ、どうしよぅ・・・」

朝食の時間になっても起きてこないルナの事が心配なのだが、どう声を掛けて良いのかが全くわからなかった。




結局、どうすれば良いか答えの出ないまま自分も朝食を食べず、グルグルグルグルと同じとこを歩き回るばかりだった。




昼前になって、かごめがフィリアとルナを呼びに来る。



「ルナ様、フィリア様

お迎えに上がりました、長の所へお連れします



・・・里の食事は、お口に合いませんでしたか?」


机の上に並べられたまま手をつけられていない食事をみて、かごめが言う。

少しガッカリしたような表情が見てとれた。




「いえ、ごめんなさい!!

そういうわけでは無いんです!!


ただ・・・その・・・」

フィリアは悲しそうな顔をして寝室の方を振り返る。



「あぁ、そういうことでしたか

大変申し訳ありません、私の方も配慮に欠けていましたね

では、長のもとへはフィリア様御一人で


食事の方は、こちらで新しいものを用意しておきますので…」



「はい…ありがとうございます




______ルナさんっ!

ちょっと私出掛けますねっ!


今日はゆっくり休んでくださいね!」


寝室の入り口で声をかけるが返事は無かった…




「では、参りましょうフィリア様

長がお待ちです、ジェイド様も回復なされて長の所に向かっております」





かごめに連れられ、寝所をあとにし里長の元へ向かう。

里の中心部から少し奥、巨大な樹に半分めり込むように造られた立派な屋敷が見えてきた。



「ジェイド様はお先に中に入られたようですね、

このまま長の元までご案内致します」




かごめに連れられ屋敷に入る

屋敷のなかは大変美しく荘厳な作りをしていた

木彫りで造られた動物の置物や見事な絵が描かれた屏風などが飾られ、藺草(いぐさ)で編まれた絨毯のようなものが敷き詰められている。




屋敷の中は先日森で見た、黒装束の兵隊らしき人や異国の服装をした使用人らしき人が働いており、皆すれ違うときにはその場に頭を垂れ挨拶をしてくれた。




長い木の廊下の先にジェイドの姿が見える。


「おぅ、遅かったの」


「ジェイドさん、体調の方はもう良いんですか?」


「おぅ、バッチリ元気モウマンタイや

昨日の時点で毒抜きはおわっとったからな、

大事をとって、一晩薬師んトコおったけどもう、ええらしいわ!」


「そうなんですね!

良かったです」



「ルナはどしたんや?」



「・・・それが、昨日のアッシュさんの事がだいぶショックだったみたいで

今日は来ないです」



「せやか?

まぁ、無理もあらへんけど…」

「………」



「お話中失礼します、これより先が長の部屋でございます。ご案内してもよろしいでしょうか?」



一旦、話を止め

かごめの方に向き直る


「はいかごめさん、お願いします」



「では、




______玉藻様

ジェイド様とフィリア様をお連れしました!」




「入るが良い」



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