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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
36/72

薬師

「___…さん____ナさん

______ルナさん」


遠くで誰かに呼ばれているような気がする…

「うーん?」



「ルナさん?

かごめさんが呼びに来てくれましたよ


ジェイドさん達の所に行きましょう?」




どうやらうっかり寝てしまっていたようだ

背もたれに預けきっていた体を起こし

両腕を上げ固まってしまった背中で伸びをする。



「フィリア…

起こしてくれてありがとう

待たせて済まない、行こうか」



「ルナさんだいぶお疲れだったんですね…

今日くらいは無理なさらなくても大丈夫だと思いますけど」



「ありがとう

でも無理などしていないよ、やっぱり2人が心配だからね」



寝所をでた所にかごめが待機していた



「御揃いですか、それではご案内致します」



吊り橋を渡って薬師の所に案内してもらう、

村の所々に先程は見かけなかった村人や子供が数名集まって遊んでいる様子が観てとられた


三角形の金属に紐を巻き付け勢いよく回してぶつけ合って盛り上がっている。


どれもこれも初めて見るものばかりで目を引かれた。



「かごめ殿、あの子供達は何をやっているのかな?」





「あぁ、あれはベーゴマという子供の遊びです

鉛で作ったコマをぶつけ合って土俵から相手を落としたら勝ち

我々の故郷では皆当たり前のようにやっていましたが、外の世界には伝わっていませんね


コマを回すのはけっこうコツがいるんですよ」



子供達は盛り上がっているがそろそろ夕飯の時間なのだろう、親らしき大人に呼ばれバラバラと解散していった。

こうして村を歩いて見ると、けっこうな人数が生活を営んでいるのが観てとれる。




その内、一軒の比較的大きい木造家屋の前でかごめが立ち止まる。

「こちらが、里で唯一の薬師様の家です

薬草の調合はもちろんの事、我々里の者たちの病気や怪我も診てくれる頼りになる御方で

癒術の心得もある偉大なお方です


ですが御高齢ですので、少々耳が遠い時があります。


御容赦下さい



それとルナ様・・・薬師様にはお気をつけ下さい

あまり近づき過ぎないことをお薦めしておきます・・・

私から言えることは以上です」





「___???

・・・わかりました?」


はて?

いったいどういう事だろう?




疑問を抱えつつも

ドアをノックし家の中に入る

扉を開けると、靴を脱ぐ為の専用のスペースが設けてありそこで靴を脱ぐ


なんだか馴れないなとも思いつつも、郷に入っては郷に従えと自分に言い聞かせ家に上がらせてもらった。



かごめが木製の横スライド式の扉の前に立って中に呼び掛ける。


「薬師様

患者様のお連れの方です、面会希望ですが、入ってもよろしいでしょうか?」



「あ、あ~?

おうおう、さっき言っておった子達か


治療はひとまず終わっておるから、入りなされ」




かごめにつれられ、ルナとフィリアは病室に入る。



ベットは無く、葦の草を編んだ床に布団が敷いてあって

2人はそこに寝かされており


2人の間には白髪に長い髭を蓄えた小柄な老人が1人

優しそうな顔をして出迎えてくれる。



「2人とも…大丈夫か?」



アッシュとジェイドがこちらを向いた時に意識の戻っている2人を見てルナはホッとした。




フィリアはジェイドの枕元に行き、ルナはアッシュの布団の横に座る


「アッシュ…

大丈夫か?」


「・・・あぁ」

チラリとこちらを見上げ、直ぐに目を臥せて小さく返事をした。



なんだか、元気が無い…

お互いに無事だったのだからもうちょっと喜んでくれても良いだろうに…

内心少しムッとしながらも、今はそんな事言っている場合ではない。


ルナは薬師の方に向き直って頭を下げた




「薬師様、初めまして

私はルナと申します、仲間を助けて頂いてありがとうございます。

心より感謝申し上げます」




「あぁ~よいよい

そんな堅苦しい挨拶はせんでも、話は聞いておるよ

まずは長旅大変じゃったのう…


厳しい道のりだったはずじゃ、お主も無傷ではあるまい

後で薬をあげるから、傷口に塗っておくんじゃよ」



「いえ、私はそれほどでは……」



「ああ、小さな傷だからといって怪我をなめてはいかんぞ

御主のような若くて綺麗なおなごはなおさらじゃ…

傷痕が残ったらいかんからのぅ

手の届かん所があったらワシが塗ってやろう…


背中か?尻か?」



「____オイ、じいさ___」

「___薬師様!

ルナ様に助けが必要な時は私が対応致しますので、まずは容態の説明を!」

アッシュが何か言いかけたがかごめが遮る




「なぁんじゃ、かごめ

枯れ草のような爺に意地悪言わんでくれ


若い独り身のおなごなど、滅多に触れ合えんじゃろう」



あぁ、そういうことか

薬師に気をつけろとはこういう事かと、ルナは1人納得し苦笑いをした。


「薬師様!

玉藻様の客人です!セクハラはお控え下さい!!」



かごめにビシッと釘を刺されブツブツと文句を垂れているがやがて、アッシュの状態について話してくれた。



「ああ~~

まずは、この小僧じゃがな

傷口の方は大体ふさがりかけとる、炎症もしとらんから命に別状は無いじゃろう


ただし、失血が酷い

顔色が悪かったり、意識がボーッとするのはそのせいじゃ


まぁ、これについてもワシが調合した薬を飲めばよくなるじゃろうが…」



「そうですか!アッシュ、良かったよ!」

ルナは幸先の良い話に笑みが溢れるが、薬師の話は続きがあった。



「まぁ、待ちなさい

問題なのは小僧の手足じゃ…


右足の方は見てわかるとおり切断されて失っておる

それに、とれちまった足先も行方不明

更に、だいぶ日が経っておる…


足先も揃っておって、切断されてから3日以内ならばなんとかなったかもしれんが…」




「そんな!

まさか、治らないのですか?」



「スマンがの、ワシの力をもってしてもどうにもならん、

癒術も万能ではないからのぅ」



後ろから強く殴られたようにルナの頭の中に衝撃が走る


てっきり、癒術さえあればなんとかなるだろうと思っていた。



「追い打ちをかけるようで度々スマンがの

左腕の方も治る見込みはほぼ無いじゃろう」



「そんな!」



「左肩の傷が深過ぎる…

加えて、時間が経ちすぎじゃ…


神経がバッサリいってしまっとるから腕はついとっても動くようにはならんじゃろう

酷な話だとは思うが

嘘をつくことがお主らの為になるとも思えん


受け入れるのに、時間はかかるじゃろうが…」



「そんな・・・そんな・・・!!」

ルナは激しく取り乱していた。



自分の護衛騎士であるアッシュの手足が失われた…

子供のころから共に育った、一番信頼できる相手だった…



私を護るために果敢に敵に立ち向かい

私が不甲斐ないせいで一生消えない傷を負ってしまった


この先想像もつかないような不自由な生活が待ち受けているだろう。

私なんかのせいで!!


頭が混乱し思わず涙が溢れる…



「・・・ルナ

泣かないでくれよ」

静かにアッシュが口を開く



「何を言ってるんだ?

君の事なんだぞ

私の・・・私のせいだ!


私の_______」




「首のアザ…

大丈夫か?」


アッシュはルナの首もとを見て言う


「へっ?」


「首だよ…

アザができてる…

痛くないのか?」


ルナの首は先の戦いでマルクスに掴まれた所がアザになっていた。

アッシュはそのアザを見て大丈夫か?

と繰り返し聞いてくる。



「いまはそんな話はしてないだろう?

君に比べたらこんなものかすり傷以下だ!!


私はこれからっ___

君のっ___


??」


突然、フラッときて言葉に詰まる

「ルナ様!」

「ルナさん!」

「ルナ!」



疲れ 寝不足 ストレス

様々な物が重なったのだろう、気がつくとルナはかごめとフィリアに介抱され、最初に案内された大木の寝所で横になっていた。

夜中に目を覚まし、体は起こせないほどダルく

ただひたすらに涙が止まらなかった。



_______________________


~薬師の家 ルナが倒れて運ばれた後~



天井をじっと見つめるアッシュが薬師に声をかける

「オイ、じいさん

ホントに俺のこの手足…


治る見込みはないのか?」



「・・・・・・・・気の毒じゃが()()()()では無理じゃろうなぁ」



「そのまま?

ってことは、俺が自分の手足に(こだわ)らなければ何かしら動けるようになる方法があるってことでいいんだな?」



「・・・お前さん、とんでもないことを言い出すんじゃなかろうな?」



「とんでもないことか・・・

確かにとんでもないことかもしれねぇがやる価値はあるだろ

手足が動かなけりゃ、護りたいもん護れないんだ」



「なぁんじゃ?

お前さん、あの()に惚れとるのか?」



「そんなんじゃねぇよ


ルナは特別だ、オーウェンから託された…

絶対護らなきゃなんねぇだ

これでも俺、ルナの護衛騎士だし…な」



「ほぅ…そうじゃったんか?

まぁ、それなりの事情があるのはなんとなくワシにも伝わったわい




心当たりが無いことも無いが…

危険じゃぞ?保証はできん

それでも、いいんかの?」



「あぁ、覚悟はとっくにできてる!

頼むよ」



「・・・・・・ちょっと待っとれ

玉藻の長に掛け合ってくる」

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