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オルビア国物語  作者: バルカン
第2章
27/72

グレートケイブベア

2日目の朝…

日の出と共に4人は出発する。


昨日と同じく、縦長の隊列でひたすら南西に向かって進む。



昨晩少しだけ目を覚ましたアッシュだったが、やはりまだ怪我の具合が悪いのだろう…


目を閉じてうなされているような状態が続いている。



「ジェイド、私達が向かっている具体的な場所を聞くことはできないだろうか?

隠れ里という所に向かっているのは聞いているのだが

ひたすらずっと同じ方角に進み続けるというのも…」




「スマンな…

正直、俺も場所は知らんのや


南西方角にある安寧の森に入って

更にそのまま森の奥に進めとしか言われとらん…」



「安寧の森…?

人が住んでいるような場所じゃ無かったと思うのだが」



「まぁ、隠れ里って呼ぶくらいやからなぁ

簡単にバレへんようになってんちゃうか?


いずれにせよ今は向かうしか無いんや

行くで」




安寧の森というのは、オルビアの南部と西部に渡って広がる大森林だ。

大半がまだ人の手が入っていない未開の地であり

踏み入るには危険がつきまとう。




4人は馬に揺られながら、安寧の森に向かって進む。

順調に、進み続け昼を少し過ぎた辺りの事だった…




最前列で警戒に当たっていたジェイドが突然足を止め、後ろのルナとフィリアに向かって叫んだ。



「前方から魔物や!

デカイでぇ!!!」



ルナもフィリアも警戒し身を固める。



正面の小高い丘の岩の陰から巨大なクマのような生物がこちらを見ている。

後ろ足だけで仁王立ちし、馬に乗っている4人を品定めするように見下ろしていた。




___ガァァァッッ!___


と大きく吠え

前足で岩を叩いて砕き、4足でものすごい速さで丘をかけおりこちらに向かってくる。

あの、速さで追ってくるのであれば馬で走っても逃げきることはできないだろう。




巨大な体躯にクリーム色の毛皮

大きな前足に鋭く伸びた爪



「グレートケイブベアや!ヤル気満々やな

こいつは小細工するような奴やないけども

単純に強いで!


フィリア!ルナ!援護頼むわ!」




馬を飛び降り、背中の戦鎚を構えるジェイド

ルナも槍を構えジェイドの援護に回った




正面から迎え撃つ形で戦鎚を振りかぶるジェイド

ケイブベアも怯むこと無くジェイドに迫っていた。



「おっしゃあぁぁぁあ!」

_____バキィィィィィンン!______



ジェイドが戦鎚を振り抜き、ケイブベアの顔を打ち砕いたかのように見えたが…



甲高い音が響き、ケイブベアがジェイドの戦鎚をその鋭い牙で挟み込むように受け止めていた。



「なっっっ!!」


___グルルルルルルル___



ギラギラと鈍い光を放つ目がジェイドを睨み付ける。





「隙ありだっ!」



ジェイドがケイブベアを止めている隙にルナが横に回り込み

がら空きの脇腹目掛けて

鋭い槍の一撃を叩き込む



しかし、異常に固く頑丈な毛皮がルナの槍を防ぎ、刃先が浅い所で止まってしまった。

かすり傷程度だろうか、少々注意を引くくらいの攻撃しか与えられなかった。



ケイブベアが前足を振りかぶり地面に叩きつける。




衝撃波と共に破砕された岩の破片や鋭く尖った石が肉薄した2人を襲う…




「うわっっっ」

「チィッッッ」



「厄介やな…

毛皮が分厚くて刃が通らん上に知能も高いみたいやな。

それにどうやら、今の一撃…魔力が込められとる

まともに喰らったらアカンで…」


「あぁ、そのようだ…」



ケイブベアが立ち上がり、一声大きく吠えて両腕を地面に叩きつけた。



すると、ルナとジェイドの足元から鋭く尖った刺の形をした岩が無数に生え2人に襲いかかる。



ジェイドは上に飛び退き

ルナは、シルフの風を脚に纏わせ離散する。




ケイブベアはジェイドに狙いを定め、着地の瞬間を狙って襲いかかる。

ジェイドは戦鎚の柄を普段よりも短く持ち、鋭い爪の連撃を受け流すので精一杯だった。




_タタタタッッ_


ジェイドがケイブベアの相手をしている間にルナが再び迫る。


「単純な突きでは効果が薄い…

なら、コレならどうだ!


ラウル!!」




ケイブベアの後ろから迫るルナ

シルフ以外に契約をしているもう一体の雷の精霊 ラウル

彼の力を槍の穂先に纏わせ



大きく飛び上がりケイブベアの背中に鋭い一撃を繰り出した。




___グゥァァァァァ____

先程とは異なり、背中から前足の肩付近まで広く突き刺さり苦しそうな声をあげる。

先程とは違い、ルナの一撃はかなりの効果があったようだ。



「___!!

フィリア!

奴の弱点は魔術だ!私とジェイドが引き付けている間に頼む!」




「は…はいっ!!

もう、いけます!


お二人とも離れて!」




後方で詠唱を完了させていたフィリアが呼び掛ける。




「''彼方より来たりし旅人よ、

切り裂け!ストームカッター''」



ケイブベアに向かって、大きな風の刃が飛んで行く。



ルナとジェイドに注意が向いていたケイブベアは避けきれずフィリアの魔術をまともに喰らってしまった。



___グゥ…ルルルルルルル___


顔面と肩口が大きく切り裂かれ、血が流れ落ちる。

大きなダメージを受けながらも、ケイブベアはフィリアが1番の脅威と判断したようだ


武器を構えるルナとジェイドを無視して、一直線にフィリアに向かって駆け出した。


一撃目の'ストームカッター'で片眼は潰れ

後ろの左足は少し引きずり気味だが、それでも走るスピードと迫力は十分だった。



「フィリア!危ない!」


ルナがケイブベアを追って駆け出す。



「ご心配有難うございます、

でも私なら大丈夫

これで終わりにします。


''穿て バレットスプラッシュ''」



フィリアの構えた杖の先から圧縮された水の玉が飛び出す。

あまりの速さに目で追うことができない程だったが

放たれた水弾はケイブベアの巨大な体を一直線に貫いた。






力を失って地面に倒れこむグレートケイブベア


その倒れた背中越しにジェイドとルナに向かってニッコリと微笑むフィリアであった。

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