逃走劇
ジョー・ドルイドの街を脱出しひたすら南西に向かって移動を続ける。
急ぎつつも、目立たないように人通りの少ない街道を選んでひたすら移動を続け半日程経過していた。
途中、街道を少し外れた場所に泉を発見し小休憩をとる。
「ふぅ、朝からぶっ通しで移動やからな
さすがにちょっと休憩しよか?」
「は…はい、そうですね
私、水汲んできますね」
「フィリア殿私も行こう、手伝うよ」
「あ…ありがとうございます。
それとフィリアで良いですよ。
傭兵の世界に、言葉遣いを気にする人はいませんから…
普通に接してもらって大丈夫です。」
馬を降り、必要な荷物をほどいてジェイドが周囲の警戒にあたり
フィリアとルナは水を汲みに泉に向かう。
「フィリアは、行き先について何か知っているのかい?」
「す、すいません
正直ほとんど知らないんです。
アドニス様が隠れ里と呼んでいる場所があるというのは聞いたことあるんですが、色々聞いたりする時間があまり無かったので…」
「そうか・・・」
水汲み終え、ジェイド達の所に向かう
馬からアッシュも下ろし地面に寝かされ
小さい火が興してあった。
「おー、ご苦労さん
やっぱり、まだ銀髪の兄ちゃんは目ぇ覚まさへんな。
早よ、起きてくれると助かんねんけどコレばっかりはしゃあないでぇ」
「ありがとう、ジェイド殿
私はルナ、彼はアッシュだ」
「あージェイドでええで!
固っ苦しいのは好かんからのぅ
さて、色々聞きたいっちゅう顔しとるのはわかる
俺も聞きたいことあるからなぁ
でも、今日はもうちょい進もうと思っとる
質問はそんときにしたってや」
3人とも、泉で汲んだ水を煮沸してから飲み、干し肉で軽食をとる。
「さてと、こっから先も向かうのはひたすら南西や!
整備された街道があるんは終い
こっから先は街道を外れて歩くで
ルナ、街道を外れてを旅したことはあるんか?」
「すまないが、街道を外れて移動するのは経験したことが無いんだ。
ある程度戦えるように訓練はしているのだが、それも対人を想定したもの
魔物との戦闘に関しては正直素人だ…」
「そうかい、
まぁでも厳しいようやけど馴れてもらわんとアカンな
よっしゃ、こっから先は俺が先頭
ルナは真ん中、
フィリア!
後ろついてや、後方の警戒と援護頼むわ。
最初は見とってもろてええからボチボチ、魔物の対処っちゅうのを覚えたってな」
「あぁ、分かった
なるべく力になれるよう努力する」
「や、病み上がりなんで無理はしないでくださいね」
「さてと、出発や!」
整備の行き届いてない場所には魔物等の魔法生物が出ることがある。
人が整備した街道付近でも出ることは出るのだが、人馴れしていたり、無害な魔法生物が大半である。
対して、ひとたび街道から外れると強力で縄張り意識の強い魔法生物が容赦なく襲ってくる。
ジェイド達傭兵はそういった魔物等の脅威に対抗するスペシャリストだ。
総じて、傭兵達は人間よりも大型で屈強な魔物との戦いを想定するため、大型で攻撃力の高い武器を備えている事が多く
ジェイドに関しても巨大な戦鎚を背負っている
片側は硬い鱗や骨に攻撃が通りやすいよう打撃用に丸みを帯びたハンマーの形状をしているが、反対側の面は分厚い斧のような形状をしており、鋭く研がれた刃がついている。
一方、フィリアは全身すっぽりと被れるローブを着て
黒い帽子を被り
身の丈程もある長い樫の木の杖を持ち、先端には大きなブラックオニキスの宝石が嵌め込まれている。
見た目はとても幼く、子供にしか見えないが
魔術をメインとした戦いで傭兵連中の中にフィリアに敵うものはいないと言われる程だった。
準備を整えたルナ達は馬に乗り
街道を外れ、ひたすらに南西に向けて移動を続ける。
途中、牙ウサギや単眼オオカミに出くわしたがフィリアが遠くから魔術で蹴散らしてくれたため、夕方を迎えるまで戦闘らしい戦闘は特に無く平和に旅することができた。
夕方になり、水の綺麗な小川を見つけ、近くにあった木立の中でその日は野宿することになった4人
早速荷解きをし、日が落ちて辺りが暗くなる前に野宿の準備をするのであった。




