ジョー・ドルイド2
ジェイドとハンマが振り返ったそこには、扉にもたれかかり肩で息をするアドニスの姿があった。
「ハハ…
ただいま
ちょいと予定が狂っちまってねえ…」
「アドニス様!」 「アドニス姐!」
その場にへたりこむアドニス
酷く疲れた様子でうつむいて、服装も大分汚れている。
ハンマとジェイドが駆け寄ると、なぜアドニスがそこまで疲弊しているのかがわかった。
身体のあちこち怪我をし、出血も多い
恐らく戦闘によるものだと思われる傷だが、数ヶ所火傷もしている。
2人は大急ぎで救護施設までアドニスを運び込んだ。
治療師によると重症ではあるが命に別状は無いとの事なので、そのまま病室で目を覚ますのを待とうとしたのだが、看護師にその日は帰るように言われてしまった。
「なんやて!なんでおったらアカンねん」
「タダでさえ忙しいのに今は重症の人が多いんで迷惑なんです!
帰って下さい!!」
_____バタン!
目の前でドアを閉められ追い出されてしまった。
「はぁ、どないする?」
「仕方ねぇよ、儂は詰所に戻るぜ
仕事もあるしな」
といってハンマは詰所に戻っていった。
「しゃあない、フィリア探しておふたりさんの様子でも聞いてみるか…」
朝方に運び込んだ2人の病室を探してブラブラと歩いていると、不意に廊下でうたた寝をしているフィリアの姿を見つけた。
朝からずっとここで待っていて疲れたのだろう、近づくとうっすらと目を開け、こちらに気がついたようだ。
「ハッ、ジェイドさん!
私寝ちゃってました………
ふぁぁぁ__
え、えっとどうかしたんですか?」
ローブを被った少女がオロオロしながら立ち上がり
近づいてくる。
「おはようさん、自分も疲れてんねんからムリしたらアカンで、おふたりさんの様子見に来たんや、どや?」
「えっと、女性の方は少し頭を打ったみたいで軽い脳震盪だそうです。
その内、目を覚まされると思いますと先ほど、治療師の方がおっしゃってました。
でも、男性の方はなんとも…」
「まぁ、そりゃそうやろなぁ、どうみても男の方が重症やったもんなぁ…」
「一応、治療師の方はできるとこまではやったと、後は本人次第とおっしゃってました」
「そぉか
なら、ちょびっと付き合ってーな、昼飯まだやろ?
耳に入れときたい話あんねん」
街へでてメインストリートを歩く
朝とは違って活気づいた街に人通りもとても多い
ガヤガヤとうるさい通りを抜け静かな店に入る。
フィリアに今朝起きたことの顛末を説明する。
「____そ、そんなこと
アドニス様は…今…」
「心配せんでええ、とりあえずは無事や
救護施設で治療中やけど命に別状はないっちゅうことらしいで」
「そうですか…
この後、この街はどうなってしまうんでしょう?」
「とりあえずは王国軍の出方を伺うしかできることがないんちゃうか?
噂やと、新しい辺境伯がくるらしいんやけどな
オレも含め街の連中が言うこと聞くとも思えへん
憲兵隊引き連れてくるっちゅうこっちゃ
下手すると弾圧されるような形で押さえ込まれるかもしれへんからな
荒れるのは間違いないやろうなぁ」
「そんな、やっとここまできたのに…」
「どないする?
トラブルになる前に離れるか?
別に、悪いことやとは思わんで
元々はこの街のほとんどのモンは流れ者や
また居場所を求めて流れるっちゅうのもアリやけどな」
「私…私は………
そんな事…」
「まぁな、そんな簡単に答えなんかでぇへん
なんだかんだ言うて、皆ジョー・ドルイドの街も
姐さんの事も慕っとるからな
ま、とりあえず今日の所はお開きにしよか
ちゃんと身体休めて、これからの事考えなかんしな」
「ジェイドさんはどうされるんですか?」
「俺か?
軽くやけども、とりあえずは憲兵隊が来るっちゅうウワサを確かめてみよか思っとる。
足掻く時間がどれだけあるんか?
バレたら終いや、あくまでこっそりな」
「お、お手伝いします!
どうせ家に帰っても寝れないと思いますので!」
2人は店を出て手分けしてジョー・ドルイド周辺の街に脚を伸ばし、聞き込みを行う
どうやら、周辺の街でもウワサにはなっているものの正確な情報元を持っている者はおらず、皆漠然とした不安とアドニスを案じる声が聞こえるばかりであった…
夜、傭兵の詰所によってハンマに預けていた武器を受け取りフィリアと成果を報告しあったが、あまり実りのある情報は得られなかった。
ジェイドは今日は諦め明日から調査をしようと家に戻って床に着く…
__真夜中__
部屋の窓の方から音がする。
(なんや、うるさいのぉネズミか?)
目を擦り、窓の方を見ると閉めた筈の窓が開け放たれそこには、救護施設にいるはずのアドニスが立っていた。




