ジェイドとフィリア
朝の日差しを背後に背負い一気に丘を下って奇襲をかける。
目標は丘の下の木立の中に巣食っているマンティコア数匹の群れだ、
下調べは完璧に済ませてある。
夜通し狩りをするマンティコアは朝方になると
日の光を避けて巣に帰り、群れで今日の成果を分けあって食べるのだ。
奴らが一番油断するのは、この食事時
タイミングは完璧!
奴らが嫌うビリビリアロエの精製オイルも刃に塗った
相棒も詠唱を終え、マンティコアの巣に火の玉が直撃する。
_____ギィィィィィィイ_____
叫び声が聞こえ、奴らが巣から飛び出して来た
巣から顔を出したマンティコアが辺りを威嚇するように牙を剥き出し大きな口を開けて吠える。
怯んではいけない
構えた巨大な戦鎚をしっかり握り直し、
丘を走って下る勢いそのままに高くジャンプし
太陽を背に、朝日を目隠しにして背負った武器を振り下ろす。
ズダン!
派手な音と共にマンティコアの首が落ちた。
続けざまに1回転して回りに群がった小さな奴らも切り臥せる。
最初の一撃で倒したのが恐らく群れのボスだったのか、他の個体は統制が取れなくなってワラワラと逃げ出す個体もでてきた。
「フィリア!
あと頼むで~」
「は、はいぃ~」
___ゴゥ___
と火柱が多数上がって逃げ出したマンティコアも一掃される
これにて殲滅完了
一件落着だ。
「いや~、よかったよかった
フィリアもお疲れさんっと
今日も無事に仕事終わったで!」
「お、お疲れさまです~
ジェイドさんもお怪我はありませんか~?」
丘の上から
ローブを羽織って自分の身長よりも長い杖を持った少女が声を掛ける
「おぅ、だいじょぶやで!
モウマンタイや!
さ、ボサッとせんと片付けて街もどろか?」
彼らはジェイドとフィリア
アドニスの街ジョー・ドルイドで仕事をしている傭兵で
今日は近隣の村で最近暴れだしたマンティコアの討伐を依頼され魔物退治にやってきていたのであった。
朝早い時間に、仕事の依頼をしてきたイグリの村へ報告を済ませ
オルビアを南北に分断するように走るロレイン川沿いを
馬車に乗って南下し街に帰る途中だった。
ぼんやりと外を見ていたフィリアが何かに気がついて声をあげる
「あ……あれ………」
「ん…どないしたんや?
仕事も終わったんやからお前もゆっくり寝ときや…」
ジェイドはうつらうつらとまどろんでいるようだ。
「あそこ………誰か…」
「んああ?」
ジェイドも身体を起こして、フィリアが指をさす先を眠い目を擦りながら凝らして見る。
朝っぱらから河岸で男女が折り重なっているのが見えたので呆れて悪態をつく。
「お~お~
朝からお盛んなこって
しかも、外でおっぱじめるたぁ見上げた根性や
フィリア、お子様が見るにはちょい早いで!
あれは大人の世界でも特殊な方や!
もう少し大人になって、ちゃーんと相手見つけたら勉強せや」
「ち、違うよ
あの人達ケガしてる!」
____________バタン!
馬車の扉を開け放って駆け出していってしまう
タッタッタッタッタッタッタッ!!
______________!!
「ひ…ひどい…
こんなに…なんとかしないと」
フィリアの目の前には河岸に打ち上げられた2人の男女
男の方は女性を抱きかかえるようにして気を失っている。
出血の量も多く、背中には折れた数本の矢がささり、左腕は大きく切り裂かれているうえ右足は膝付近から下が無い。
それでも、男は生きていた。
意識は無いが僅かに息をしている。
女性の方は腕や脚に切り傷
頭から少し血を流しているがこちらも意識がほぼ無い。
「うへぇ!コラ、アカンわ
さっさと治療せんと取り返しつかんコトなるで!
おっちゃん荷台開けたってぇな」
駆け出したフィリアをジェイドと馬車が追いかけてきて御者と協力し怪我人2人を馬車に押し込む。
怪我人の積み込みが完了するや否や颯爽と馬に乗り
ジェイドとフィリアは御者を置き去りにして、
超特急で馬車をジョー・ドルイドに走らせるのであった。




