最終戦
初投稿作品ですが頑張ります。
1人でも多くの人の目に止まってくれると嬉しいな。
よろしくどうぞ。
敵の反撃が激しくなる。
辺りでは血飛沫が舞い、魔物の首が飛び、鎧は砕け、剣が折れる音が絶え間なく聞こえている。
ひび割れた大地に無数の死体・・・
地獄の方がマシだと思えるような、戦場の最前線でバルログはただひたすらに戦っていた。
(もう少しだ…もう少しで勝てる…
さっきから敵の魔物の数も強さも上がるばかりだ…
親玉は近いぞ。)
長い戦いだったが勝利は目前に迫っていた。
初めは8人で始めた旅だった。
『魔物に奪われた国を取り返す』
その大すぎる旅の目的に誰もが口を揃えて言った、
「そんなことは無理だ、止めておけ、死ぬだけだ」
しかし、バルログ達は諦めなかった、自らの腕を鍛え上げ、魔物や戦術の研究を重ねて、少しづつ魔物から土地を奪い返し、功績を重ねる。
いつしか、それは大きな波紋となり、大軍勢を率いるまでに成長したバルログ達はこうして今、最後の戦いに決着をつけようとしているのだ。
「――――――ッ!!??」
嫌な予感がした………背中に走るヒヤッとした感覚と戦場で培ったカンを信じて大きく横に飛ぶ。
先ほどまで立っていた場所に頭上から大きな火の玉が落下してきて味方が何人か巻き添えになった。
が、巻き添えになった味方の生死を確認している暇など無い。
避けた先に突き出される槍を剣で弾き、勢いそのままに前蹴りをくり出す。
体勢を崩した敵に剣を突き立て、敵が持っていた槍を奪い取り、そのまま次の敵目掛けて投げつける。
「お前達!ここまできて負けるわけにはいかんぞォ!!後少しで、勝利だ!」
味方を鼓舞するため後ろを振り返り、大きく叫ぶ。
「オオオォォォォ!!!!」
バルログの声に味方の兵士が答えた瞬間だった。
―――――――――――ヒュッッッッ
風切り音が聞こえると同時に、先ほどまでバルログの目線の先にいた兵士4人の首が落ちた。
「なに!!??」
――――――――――ズルズルズルズル…
と音がして、味方の死体の足元から真っ暗な闇の煙がゆっくりと立ち上る。
バルログはその光景からなぜか目を離すことができなかった。
2メートル程の高さになったところで、暗闇の中から2体の魔物が出現した。
全身が暗闇に覆われており、人型をしているが、手足が長く、顔や表情といった所は判別できない。
明らかに異質な見た目だがバルログには確信があった。
(間違いない コイツらが親玉だ とうとうたどり着いた コイツらさえ倒せば・・・・・・・・・・・・・・倒せば????)
2体の魔物から放たれる重圧は他の魔物とは比較にならないほど重く、息苦しい。
あれだけ、悲鳴や怒号、叫び声で埋め尽くされていた戦場が、今は静まりかえっている…
冷や汗が止まらない。
剣を持っている腕が痛い。
兜も鎧も重い。
足が前に出ない。
息ができない。
(これは…………………勝ち目はあるのか??)
バルログがそう思いかけた瞬間
――――――――ゴゥン ゴゥン ゴゥン…
と、特徴的な音がして足元に巨大な魔法陣が出現した。
あまりに巨大すぎて、魔法陣かどうかの判別が危ういほどだったが、いくつか見知った古代語が使われていたので、おそらく魔法陣で間違いはないだろう。
「何だこれは?一体どうなっている??」
と言葉を発した瞬間、バルログは自分に向けられている重圧が弱まっていることに気がついた。
闇を纏った魔物のほうを見ると、体を曲げ苦しんでいるようにも見える。
それになんだか、体が温かい。
気分が高揚し集中力も増した気がする。
体が軽い。
腕の痛みがない。
(正体はわからないが、魔法陣が何らかの作用をしていると見て良いだろう)
「なんだかよくわからんが、この好機を逃すわけにはいかねぇ!ここで決着つけてやる!!!」
剣を構え駆け出す彼の目には、輝かしい勝利の未来が映し出されていた。