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売木式創作論

小説を書く力が上昇する『売木式短編チャレンジ』とは!?

作者: 一木 川臣

 みなさんこんにちは、一木と申します。最近暖かくなってきましたね。虫が侵入してくる季節となりました。


 突然ですが、皆さんはこんな言葉をご存知でしょうか?


『極限の状態、極限の環境で短編を執筆すれば小説を書く力がすげえ伸びる』という言葉を。


 これは、かつて売木という方がとある小説家に向けて放った言葉とされています。彼自身小説家ではなくごく普通の男子高校生でしたが、とあることをきっかけに小説を教える立場になったようです。


 さて、この名言については様々議論がかわされました。とにかく『極限状態』という定義が曖昧であること。根拠が全くない言葉であること、そしてどういう状態であれば『小説を書く力がすげえ伸びる』のかと……


 この議論の結果は長い間決着が付きませんでした。しかしながらここ最近になってようやく学者達…… これを通称売木学派と呼ばれる方々ですが、『これじゃないか?』というものをいくつか定義付けていきました。


 これに基づいた行為を『売木式短編チャレンジ』と呼び、これをやれば小説を書く力が大幅に伸びるのではないかと結論付けたのです。


 私自身、この理論には色々思うところがございますが、中々興味深いとも感じたことより日々執筆活動を頑張る皆様へ共有できればと思い本エッセイを作成しました。


 この『売木式短編チャレンジ』と有意義に活用すれば更なる飛躍へ導くと売木学派では叫ばれております。是非ともご活用していただければと思います。



 ・『泥酔した状態で執筆する』


 お酒を嗜みながら執筆されている方は多いことでしょう。お酒を飲むと脳にリラックス効果が働きじゃがいもみたいな貴方のカチカチな頭はたちまちに蒟蒻の如く柔軟になる効果を生み出します。柔軟な発想から飛び出す小説は時として抜群な独創性を作り出すことでしょう。それは良いとして……


 泥酔の状態であれば話は違います。どこからどこまでを泥酔と呼ぶのかはこれまた曖昧な定義ですが、言葉で表せれば『ベロンベロン』の状態でしょう。そう、『ベロベロ』でなく『ベロンベロン』。

 千鳥足、呂律もままならない状態はまさに『極限の状態』であること他なりません。そんな状態で短編を書いたらどうなるでしょうか?


 明日読み返したらこう思うに違いありません。『これは私が書いたのか……?』と。懐疑的な感情でなく、自身に潜んでいた『才能』に気づき怯えることでしょう。



 ・『極限まで夜更かしした状態で執筆する』


 『極限まで夜更かし』した状態とは一体どれくらいでしょうか? 巷では二日徹夜からスタートとも言われております。限りある時間の中で作品を仕上げないといけない作家様が多いweb小説界隈ですがそれ故、夜を明かしながら、眠い目を擦りながら執筆されている方も結構いることでしょう。


 ぼんやりとし始める頭の中、その厳しい状況の最中でも何か執筆をしなければいけない…… それはまさに『極限状態』です。


 確かに、夜更かしは健康に良くありません。忙しい日本人はもっと寝るべきと私も思います。しかしながら襲い掛かる眠気の中、それでも尚PCや端末に齧り付き必死に執筆を継続するという行いは間違いなく己を成長させることだと私も思います。


 ちなみに私は夜の9時に寝て朝の6時に起きます。このチャレンジはやりたくても難しそうですね。それなりのタフさも必要とされております。



 ・『マラソン中、音声入力にて短編を書き上げる』


 世の中は便利になったものです。時代が進むにつれて音声入力技術が発達し普通に話しても違和感なく入力できる程となりました。

 加えてマイク機能を備えたワイヤレスイヤホンの開発により文字通り『いつでも』『どこでも』音声入力を利用し短編を仕上げることができる時代となりました。すごいですよね!


 話は少し変わりまして、世のスポーツの中でやはり『極限状態』に近いものは何かという質問を読者方にしましょう。


 私自信も色々思い当たりますが、やはり大変なスポーツといえば2時間以上かけて42.195km走り切るフルマラソンが『極限状態』に近いと思われます。


 売木学派でもこれについては様々な意見が飛び交いましたが、概ね『マラソンは当てはまる』と収束したようです。分かりますよ、『400m走の方がきついじゃないか!』とか『トライアスロンの方が大変だぞ!』とかそう言いたいのはとても良く分かります。


 しかしながらこの議論、1つの前提条件がありました。それは『音声入力』ができる状態であることです。

 中々人類水中でお喋りすることはできません。そうなると売木学派界隈ではフルマラソンという『極限状態』の中執筆するのが『売木式短編チャレンジ』の基礎方針として成立しているのではないか…… と結論付けたのです。


 さて、ヨーイドンからゴールまで2時間以上の時間がかかることから短編作成までの時間的余裕は、よっぽど凝ったものを作らない限りはかなりあることでしょう。

 しかしながら距離を稼ぐにつれ耐え始める息、上がり続ける心拍数、痛む脚…… 時間が経つにつれ己の身体は過酷さを極めていきます。


 その状態の中、音声入力で短編を仕上げる…… 強靭な肺の持ち主ですら後半は頭が真っ白になっていることでしょう。その領域まで辿り着くことができれば己の成長は目の前です!


 終わった後は走り切ったという達成感と、書き終えたという達成感、2倍味わえるという付録付き! 数ある『売木式短編チャレンジ』の中でも最も効率性が高いのではないかとまで言われております。


 厳しいと感じられる方はハーフマラソンからチャレンジしてみるのが良いでしょう。距離が短ければ短い程気軽に始められると感じますが、逆に短すぎると時間的制約が厳しくなっていきます。何事もバランスが大事ですよね。




 ・『テーマパーク内で執筆する』


 軽快な音楽が流れるテーマパーク施設内、行きゆくマスコットキャラクターや、カップルそして家族連れを傍目に見つつ、ノートPCを開き一人で執筆…… 作業中、貴方はこう思うことでしょう。


「俺は何しにここへきたんだ……」と



 大丈夫です。何もそう思っているのは貴方一人ではございません。行きゆくマスコットキャラクターからも同じようにこう思われていますので。


「こいつ…… 何しにここへきたんだ……?」と



 側から見れば仕事中とも捉えられることでしょう。しかしながら明らかにテーマパークに似つかわしくない行いは、時間が経つにつれ焦燥感が加速する要因となります。


 悪いことをしている訳ではないのに、なぜか抱く罪悪感……


 決して安くない入場料を支払いアトラクション一つ乗らず、ショーやパレードを閲覧せずただ一人椅子に座ってPCに齧り付くという自分自身に対して抱く謎の背徳感……


 その心理状態こそ『売木式短編チャレンジ』における一種の『極限状態』であると定義づけられました。


 しかしながらロマンス溢れるテーマパークはネタの宝庫であり、その中で執筆することは決して悪いことばかりではございません。建物デザインから店員さんの笑顔まで……


 日常では味わえないような体験が貴方を待っていることでしょう。



 とはいえ、テーマパーク内ではネタに溢れているからといってパクってはいけません。特に千葉県にあるテーマパーク施設においては……





 さて、いかがだったでしょうか。数ある『売木式短編チャレンジ』の中でごく一部を掲載させていただきました。売木氏が提唱する理論を元に出来上がった上記行いが、本当に小説を書く力を高めることができるのか、私は全部そうだとは言い切ることができない立場です。


 しかしながら筋肉と同様に追い込むことが成長の一歩ではないかと、それは私も思います。


 このエッセイが行き詰まっている作家様のヒントの一つとなれば、私は幸せこの上ありません。


 またの機会でお会いいたしましょう。



 全ての作家様に愛を込めて……





 一木 川臣



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― 新着の感想 ―
[一言] 流石にテーマパークで書くはないかと、思ってしまいましたw。 確かになんのために来てるになりますね。 一人だけ浮きそうですw。 面白いお話ありがとうございます。
[良い点] 2日徹夜からスタートとは。 過酷過ぎます売木先生! 私は、36時間で力尽きました!(T^T) ・・・今度は、テーマパークのヤツに挑戦しようかな
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