帰還
もしかすると1万年は経っているかもしれない。そう思えるほどに長い時間を過ごしているが精神的に疲弊することはなかった。これも仙人になったからであろう。感情の起伏はあるが、普通の人間よりコントロールができるためストレスが溜まる事がないのだ。仙人の中には修行の成果がでずに、躓き己の命を絶つ者もいる。しかし、僕には地球に帰るという目標を諦めきれずにいたためそんな心配はなかった。
何よりも進展があったのが大きい。この世界と地球は何万光年、何億光年というような距離的関係にある別の銀河の一つというわけではなかったことがわかったのだ。
仙術の中には想像した対象の場所を空間的に把握する術がある。それを利用した結果宇宙のある程度離れた所で空間歪みが見つかった。そこに仙気を後の様に伸ばして歪みの中を探ってみた結果、皆がよく知っている宇宙から見た地球の姿が見たかったのだ。
そして本当に地球であるか確認するために糸をさらに伸ばしたらよく知っている日本の形をした地形が確かにあったのだ。
ようやく帰る事が出る。そう思うとつい涙が出てしまった。
ゼン師匠とのお別れを改めて済ませていよいよ日本に帰る時が来た。姉さんは僕と一緒に行きたいといってきかなかったので連れて行くことにした。
そして無事に日本に帰還した。