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魔法の修行

「魔女」と聞いた時に想像するイメージは僕の中ではマイナス印象なものばかりだったが会って話てみれば僕の中のイメージは覆された。



「君がゼンの弟子かい。可愛い坊やだねぇ。私の名前はサーシャ=アレクサンダー=クローリーだ。サーシャと呼んでくれ。」

なんとこの世界のアレクサンダー=クローリーは錬金術師ではなく、魔女らしい。

「僕はムサシ=タテイシです。よろしくお願いします。サーシャ師匠!」

「はは、いきなり師匠と呼ぶとは威勢がいいな。いいだろう私の修行についてくるといい。ひょっとするとゼンの時より厳しいかもね。君にとっては。」

「君の魔法の才は一般人と相違からね。かなりきついかもしれないね。」


 一般人と同じ。

 そう言われて僕は久しぶりに武者震いをした。

「望むところです。」



そして、魔法の修行が始まった。



「この世界には空気中に魔法の素となる魔素が漂っているんだ。それを体内で魔力に変換させてから魔法を発動する。以上が魔法のプロセスだ。

 魔法を極めた者の中には魔素を吸収せずに体内で魔力をつくる者のいる。私はその一人さ。

 そして魔力の貯蓄量が多い程寿命も長くなる。仙気を持たない人でも長命者がいるのはそのためだが、それはさておき君には私の研究成果を全て覚えていってもらうよ。

 なんせ私は弟子を取ったことがなくてね。世界中で私の名前は有名なようだから目立たないように山奥に隠れ潜んでいると言うわけだ。」

「なるほど。そんなに凄い方だったんですね。」

「元々魔力量が多くて、不器用でもなかったから色々なことができたんだ。まぁそのせいで私を利用しようとする輩から常日頃狙われたりもしたけどね。

 それがめんどくさかったらここに家作ってひっそり研究生活をおくっていたわけさ。」

「その話を聞く限りいずれ僕もそうなるような気がするんですが…」

「ハッハッハ。まぁ実力は上手く隠すことだね。その方法も教えるから安心していいよ。」




魔法の修行も結論から言えば剣の修行の様な地味なものだった。

 最初に空気中に漂っている魔素を肌で感じられる様になる。

 次に魔素を肌から体内に貯蓄し、魔力に変換する。

 そして手から魔力の塊を放つ。

 この繰り返し。

これを何年もやった。




そして次の段階として属性魔法を学んだ。

 火、水、風、土、雷、光、無

 属性は七種類あるらしい。そして師匠が使っている魔法は詠唱が必要ないらしい。詠唱中は魔法師にとって弱点を見せているようなものらしい。

そして無詠唱の鍵は頭の中でのイメージする事らしい。余談だがこの世界の魔法師は9割以上が詠唱を必要とするらしい。なぜかと聞いてみると、僕のいた日本の様に学校は最低、義務教育必要期間は行かなければならないと言う法律はなく、学校に行くには多額の資金がないと行けないらしい。

 そして資金を払えるのは殆どが貴族であった。学校では貴族社会の弊害によって魔法を学べる貴重な機会は有って無いようなものだったらしい。この世界の学校には絶対に行きたくないと強く思った。


閑話休題


 魔法の修行を始めてまた千年以上が経過したと思う。何年経過したかすぐに忘れる程にきつかった。


「ムサシ君、きょうのごはんなーに?」

「今日はカツ丼だよ、姉さん。お味噌汁とお漬物もあるよ。」

いつの間にか姉弟関係の様な者になっていた。




無属性の魔法の中に、空間庫と空間転移がある。

そう、いわゆるテンプレ魔法である。前者は異空間に物を時間停止した状態で収納でき、後者は過去に行ったことのある場所に転移できるというものだ。

 過去に行った事があるところ、そう聞いて僕は元の世界(地球)も例外ではないのではないかと疑問に思い姉さんに聞いてみた。

「確かに説明文をそのまま捉えた意味ではそれも例外ではないだろう。ただし、具体的に深掘りすればする程泥沼にはまってしまうほどに難しい問題だな。これは。

 この世界の常識的観点から言えば、この世界以外にも別の世界がある、と言う仮説は一応存在する。但しそれは夜空に輝く星それぞれが別の世界であるというものだ。

 世界という言葉の捉え方次第ではこの仮説は立証できなくなってしまうからこれはあまり支持されていないんだ。」

「何となくわかります。確かに位置的な話なのか次元的な話なのかで大きく変わりますね。」

「そう、だから君の目的を叶えるのにはかなりの、それも今までの倍以上の時間がかかるだろう。

 それまでに君の精神が摩耗してしまうかもしれないりそれでもやるのかい?」

「はい。この世界での生活も楽しかったですが、やっぱり僕は故郷に帰りたいです。もう既に両親はゼン師匠の元で暮らしていた地点で他界していると思いますが。」

「ふむ、よく分かったよ。頑張ってみるといい。君の望みが叶うことを願うよ。」

「ありがとうございます、姉さん。」




そして、長い、長い年月が経過した。


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